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一人

地上へ戻るとマーカスが探し回っており、まさか迷宮にと絶句している。

「そんなことで、じゃあ」

私はさりげなく去ろうとしていると、

「ドレークおまぇ・・・」

言おうとするときライネルが立ちふさがりマーカスをにらんだのか何もいってこない。

私は手をヒラヒラさせて宿へ戻ると昨夜の飲み比べなのか男達が二日酔いで寝ており、女将さんも売上が上がるのはいいが日に日に増える酔っぱらいに困り顔だった。


私は部屋に戻るとアポロニアはあられもない姿で寝ており、私は下着姿になると空いているところに潜り込んで寝てしまった。


「訪ねてきてるよ」

そう言われて目をさますと目の前に顔を赤くしたライネルが立っており、私の姿かアポロニアの生まれた時の姿に顔を赤くしているようだった。

「すいません寝ているとは思わなかったので」

そう言われて丸一日以上寝ていたようでボケた頭を起こしながら水差しの水を飲み干す。


「どうしたんですかライネル様」

顔を赤くしているライネルは大きく一呼吸おくと、

「マーレスさんの所で話しておられて知っておられると思いますが貴族同士の権力闘争が大きくなり宮殿は危険になりました。そこで雲隠れするには迷宮がいいとその時ドレーク様が言っておられたのを聞いてマーレスさんの家に居ようかなと思いまして」

そう言われて何て耳がいいのかと思いながら、

「マーレスの所にいきなり押し掛けるのも」

そう言うと嬉しそうに、

「実は帰り際に、上は物騒だから何かあればここにいてもいいよと、言っていただいたので」

そう言われてなんだかんだ言いながらも火中の栗を拾うのかとマーレスの嬉しそうな顔を思い出しながら立ち上がり、

「了解、必要なものを揃えて行こう、先ずは買い物を」

そう言って町へ連れ出し色々と物を購入ししていき、ライネルは嬉しそうについてくる。バックパックにかなりの品物を無論ライネルの支払で全てを準備しして戻る。


宿へ戻るとアポロニアが着替え終えており、

「私も酒ばかりで飽きたからそのマーレスとか言うところに行くぞ」

そう興味津々で言い私は少し悩みながら、

「大人しくできればいいけど、それと自己紹介忘れてたなアポロニア、この子がライネル公女、ライネル、ドラゴンのアポロニア」

そう言うとアポロニアは自分の胸くらいしかないライネルの顔をのぞきこみ、ライネルはドラゴンと言われて意味がわからず美しいアポロニアが顔を寄せてきたので赤くなっていた。

私が言うまでアポロニアを見とれているライネルに、

「さあ行くぞ、地上にいればいるほど面倒だからな」

そう言って二人を急き立てながら迷宮へと潜っていった。


「さっきから何をこそこそしている。」

そう言いながら私は見つからないように歩いている行為を無駄にしてアポロニアは通路を歩いていく。


匂いか雰囲気か会う相手、会う相手全てがアポロニアが歩くと逃げ回り生存本能のなせる技なのか必死であり、私はライネルと並んで歩くアポロニアを見ながら「理不尽」と呟いた。


コボルト達も遠巻きに見ており、ライネルが呼ぶと恐々と集まっていはいたがライネルと会えたのが嬉しいのか尻尾だけがちぎれんばかりに左右にふっており、私にも気がついていたが茅の外だった。

アポロニアは黙って見ており、コボルト達も恐ろしくないと言うことがわかり始めておりだんだん騒がしくなっていく。

「ドラゴンを連れる少女、我々にとっての女神だ」

マミアが私に並び呟く。

「それはいいがお忍びなんだがな、早々に移動したいので頼めるか」

コボルト達に取り囲まれた状況を指差すとマミヤ口笛を数回吹く。

コボルト達はお名残惜しそうにしながら散らばっていき感謝をすると二人を連れてさらに階層を下っていった。


「全くお嬢ちゃんには呆れるよ、きていいとはいったがこんな女性を」

マーレスはため息を大きくついて紅茶を入れてくれる。

「マーレスすまんそんなことだから頼む」

私は申し訳なさそうにバックパックから色々な品物を次々と取り出しては並べていく。

「マーレスさん好意に甘えさせていただきます。」

ライネルは嬉しそうに言うと、

「ゴブリンか婿は面白い知り合いがいるな」

アポロニアが私との関係を面白そうにしており、

「ドレーク、これがお前の嫁かい何て言うことだよ、驚かされると言うかあきれると言うか」

「まあ成り行きだ、それじゃあ女性達で楽しんでくれ」

そう言って早々に地上へ戻ることにした。


戻って情報集めついでにギルドへと顔を出すと、

「ドレーク、ライネル様を見なかったか宮殿にも帰ってこられてないようで探し回っている。それと24階で回収の仕事だ。」

そう言いながら契約書を出してくるマーカスに、

「相変わらず鬼ごっこかお守りも大変だな、それと24階って攻略中のか危険だな」

私はまだ潜った事の無い階層に不安を覚えながら、

「なにかわかったら知らせてくれ護衛は泣きそうだよ、それと24階はTOP3のクロームザザのパーティーだ一週間以上たっている。さすがにかかりすぎだ行ってくれるか」

「状況もわかっていないからな、失敗を認めてほしい。」

「失敗前提でか、本来なら拒否するが到達している最深部だからな場所さえつかめれば回収もしないで良いと認めよう」

場所と言ってもわかるのか疑問だが受けない訳にもいかず、

「場所か、マップしながらだからな成功報酬は一人頭金貨7枚と状況だな」

「わかった、書き加えて契約成立だ。」

そう言って契約書を交わすとマリーネのお店へと向かった。


私が顔を出すと嬉しそうにしており

「どうやらお嬢ちゃんを追い出したみたいだね、男共が嘆いていたわよ。」

犬猿の仲かと思いながら、

「色々わけありだ、聞いてると思うがクロームザザを探しにいくこのアイテムがほしい」

マリーネは舌なめずりしながら注文の紙を受け取り、私はサキュバッシュの淫陽な赤い唇に引き込まれそうになりながら追加の装備を頼んだ。

「金貨2枚だね、しかし相変わらずマーレスは元気にしてるかい」

そう言われて何の事だかわからずに頷いてしまう。

「下との繋がりは商売上必要だからね、次いくときにこれを届けて」

そう私をからかうように小さな袋を品物と一緒にカウンターに並べ私はバックパックに仕舞った。

全て出揃い長居は無用と思いながら軽く挨拶すると急いで迷宮の入り口へと向かう。

丁度top1のアルティマイトが帰還してきたようなので情報がてら挨拶をしてみる。


「アルティマイト久しぶり、クロームザザが遭難したみたいなのだがなにか知ってるかい」

私は先頭の黒いプレートメイルをつけたアルティマイトに話しかけると、

「ドレークか、24階では会わなかったな、俺たちの方が後に入ったけど、24階の奥はトラップがあるぞ寝ている間に壁が動く。我々も予定を2日もオーバーして帰ってきたのだからな」

いつも以上に疲れた顔をしていたが自分達もいつ世話になるかわからないのを知っているので丁寧に対応してくれる。

「パターンはわからないか」

「残念ながらな、しかし安全地帯はある。床に魔方陣がありそこにはいれば争い事が無くなる。」

そこにいけば休めるが通路が変化すると言うことかと思いながら礼を言うと20階まで一気に転送してもらい崩れ落ちた巣の間を抜けて階段をおりた。


アポロニアと一緒の時のように歩く訳にもいかず、聞き耳をしながら進む。

本来ワーウルフやリザードマンがいる階層だがこないだのドラゴン事件で戻れず無人のようだった。

23階はドラゴンとワームの巣でありこないだの様に活発に動きまわっている気配はなく24階への階段を見つけておりた。


「なんだこりゃ」

おりてきた私は声をあげてしまう。

壁はきれいに磨かれた岩でできており印をつけようとナイフで削ろうとしたが傷もつかない。私は安易に壁に傷をつけそれで動く壁のパターンを読めば良いと思っていたがあてが外れてしまう。

しかしこのままではどうしようもないので糸を石にからめて置くとフードをかぶり音をたてないように歩く。


しばらくすると床に糸が落ちており同じようなことをしたけど通路が動くから切断されたようで、やって来たことが無駄なのを自覚して進み続けるしかなく、暗闇のなか大きな息づかいが聞こえはじめ緊張しながらその音のもとへ向かう。

通路は真っ直ぐであり、光源があるのか先の方は徐々に明るくなりその元には何と牛の顔をしたミノタウロスがしゃがみこんで寝ており、その横には大きなこん棒が立て掛けられている。


近づいて寝込みをとと思ったが角の横の耳が小刻みに動いており不意を襲うのは無理と判断して引き返す。

引き返すと途中で糸が通路の境目で切れており通路が移動したとわかり、暗闇のなか進むと右に折れ曲がりまた進む。

途中で何度か引き返しその度に通路が変更されている。しかしと言うか自分のいた場所は動いたような感覚はないので方眼紙に通路は書かず移動したブロック分だけ線を引いて通路でなく自分の位置を拾うことにした。


何度か行くと魔方陣が書いてあるところに出たのでアルティマイトの情報を信じて休憩をとることにした。

警戒用に糸を張るかとも考えたが通路が移動してしまうし無駄だと思いおとなしく寝ることにする。

床に耳を当てたが移動している音はせずそのまま吸い込まれるように寝てしまった。


数時間だが深く眠ることができ魔方陣が安全地帯であるということを再確認して探索へと向かった。


それから暗闇に紛れ数時間歩き回るとだいだい通路の概要がわかる。

左右それぞれ一ブロックに隠し通路がありそれがスライドしてくることがわかり、通過して三ブロック進むと後ろの通路は入れ替わるようで作動音はせず静かである。

モンスターは最初に見たミノタウロスとサイクロプロスそしてハイオークとオークがおり、この階層には真ん中に大きな部屋がありオーク達が住んでいてミノタウロスとサイクロプロスは通路を徘徊して生活しているようでオークを食べているところも見つけた。

迷宮にもぐって4日目、24階を探索して3日目で7割は通ったが残りの三割は行ききれず何度か戻ったりしながら試したが今いる通路からはいけないと結論をたてて中央へと向かった。


部屋の中はオークの砦になっており周囲は畑でゴブリンが働かされている。

オークは砦からこちらの入り口を監視しているようで少し手前に戻ると部屋の中が暗くなるのを待った。


夜になりのぞきこむとミノタウロスは寝ている時間なのかオークの見張りはおらず私は部屋の壁沿いに歩く。進んでいくと所々にヒモが張ってあり鳴り子が吊るされている。

慎重に通り抜けるのにかなりかかりようやく反対側まで出るが砦の中に壁が続いており舌打ちしたくなり、入り口は正面からだけだったのを確認していたので壁と砦の壁の下を試しに堀はじめてみた。


後ろからシャベルを取りだし掘る。順調に堀続けると3本の砦の壁になってる丸太は中央の1本だけ深く埋まっておりそれ以外の場所を堀続けていく。

日が上がりゴブリンがオークに槍で突っつかれながら畑作業を開始しており私は穴のなかで様子を見ながら穴を堀続けお昼には向こう側へと顔を出す。

そこはとても臭くごみ溜めのような場所であり誰もいないのを確認してから穴から這い出ると外壁に沿って歩いていくとようやく通路が見えて中へはいることができた。


中へはいると直ぐに大きな扉があり鍵がかかっており私は道具箱からピッキングの道具を取り出すと久しぶりに鍵の解除を試みる。

最近久しく宝箱の解錠をしていないので指先の感覚が鈍っているのかかなりてこずりようやく外れるとゆっくり開いていく。

閉められれば面倒なのでロックが出るところに詰め物をして直ぐに開けられるようにすると通路へと入っていった。


カビ臭く空気はよどんでおり私は布でマスクをして進む。通路を一度途中で戻るが動いた形跡が無いので安心して進むと小部屋に出る。小部屋の中には何もなくその向こうにはどうやら25階に続く階段かと思われるのが見えたが慌てて奇襲を受けたらと思いながら様子を見ていると何かがいる気配はするが視界には動くものがない。


私は少し下がり弓矢を取り出すといないはずのところに矢を放した。

空間に矢が飛んでいき何もないところで突きささる。その瞬間に大音量の叫びが響き渡り私は耳鳴りで何も聞こえず、でも危険なことだけはわかったので慌てて通路を走って戻る。

後ろからは何かが床を引きずるように動いている感覚が足から伝わっていて、ふりかえるひまもない程の恐怖を覚えながら悲鳴を噛み殺して突き当たりのドアを蹴破り右へおれてゴミ捨て場の穴へと飛び込んだ。


穴で丸まった瞬間大きな叫びが上がる。冷や汗を全身にかき物音に聞き耳を立てると、オークが騒ぎ砦にいたのかその数は増して扉の前に集まる。


私は恐る恐る穴を登り顔をゴミの山から出すとそこには光が当てられ半透明だが何かがいる。

入り口の高さは5m程であるが出てくるよそれは延び上がり半透明の触手をオークに伸ばし、オークは槍と松明を使い集団で押し返していく。


私は手のひら大の油壺を取りだし火種を引っ掻けてからついている紐をつかい回して扉と半透明のモンスターの間に落とす。火は広がりそれから逃れようとして半透明の本体はオークに向かい動き始めオークはいつもと違う状況に騒ぎ始め建物内へと逃げ始め私は穴から出ると通路へと走り抜けて25階への階段に到着した。


階段の右には部屋がありあの半透明がすみかに使っているのか独特の酸っぱい臭いと餌にしたらしい者の装備の金属部分だけが錆びて落ちている。錆びているので物としての価値はなく残念に思いながらクロームザザの装備がないか探したが見当たらず階段を調べることにした。

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