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善悪

「あばずれは一緒じゃないのかい、別れたなら私と一緒にならない」

そうサキュバッシュである店主からの本気と思われるお誘いを受ける。

「家にいて私だけマイペースに潜ってるだけだ、はそれがこれ」

そう言いながら13階の希少な品物を並べると、

「なんだ、宿に一人で戻ったって言うから今日あたり夜這いをしようかと思ったのに、まあいいわこれを待っていたのよこんなのを取ってこれるのドレークしかいないしね。ん上玉上玉」

そう言うと13階での購入金額の3倍で何時ものように支払いをしてくれる。

「何時でも待っているからね」

そう言う声を受けながら店を出て宿へと戻った。

私は明日13階へ向かうことを考えながら装備を点検して足りないものは購入すると宿で食事と酒を飲見はじめると目の前にアポロニアが座り、私がエールを一気に飲み干すとお代わりを二杯頼む。

女将さんがアポロニア呆けたように見つめながらジョッキを置くと私は一杯を手に取りもう一杯を渡して乾杯をして飲み干す。

「ドラゴンの様に気まぐれだな、まあ良いが小娘が何かいっていたぞそが要因か」

「まあ冒険者をするのに宿のほうが都合が良いだけ、アポロニアは向こうにいて気ままにしてもらっても構わないから」

「特にきにもしてないが面白そうな匂いがしてきたから来ただけだ。」

そう言われて匂いってと思いながら、

「今日あたり新人からランクをあげた3つのパーティーが最初の関門である13階に挑んでいる。ホブゴブリンの新しくなったリーダー相手にどうなるかなと」

「全滅すればその方の仕事が増えると言うことか、面白い私も見させてもらおうか」

そう嬉しそうに笑っている美人にまわりはじっと見とれており、私はあまり目立ちたくは無いのだけれどもと思いながら酒を頼んだ。


翌朝起きるとアポロニアも寝ており、昨日は家に帰らずにここで寝たんだっけと思いながら起きて顔を洗う。

準備を整えると朝食を食べてからギルドへと向かった。


「依頼があったけど無いって言うことか」

いつもと違うギルドの職員に思わず声を荒らげてしまう。

「誠に申し訳ありません。3つのパーティーが遭難したと偵察に出させていたギルドの依頼を受けたパーティーが確認をしたのです。依頼をと思っているとラザルさんのパーティーが来られて依頼を受けるから出せと言われ、拒む理由がなく了承しました。」

そう言われて私はため息をつきながら言いたいこともったが黙って宿へと戻った。

「こんなこともあるのか冒険者は面倒だな」

そうアポロニアが言いながら服を脱ぐとベットへ潜り込み、私もすることがなくそのまま潜り込んで寝てしまった。


翌日もそのままふて寝と思いながら寝ていると夕方にヘルネリアが私を起こしにきた。

「二人でベットに入って何をしてるんですか」

顔を真っ赤にして叫んでいるので、

「寝てるけど何かあるのかな」

「それもはだかで信じられません、ギルドからの依頼です。」

そう言われて眠い目を擦りながら依頼書を受けとると13階での回収依頼で、

「ラザルが依頼を受けたはずだが失敗したと言うことか」

「そうなんです。装備だけ回収してきたのでそれでもめてまして」

「大方依頼内容を確認せず装備だけ回収してきて違約金の金額が高額というのでもめているのか」

「はい、通常の違約金なら装備を払えば問題ないですがこの依頼は知っての通り装備だけ回収してきても売ることも出来ず、さらに回収できなければ違約金も3割ですから、それを説明受けてないともめているんです。」

「わかったが今回はいつもの内容では受けることできないとギルド長に伝えてくれ」

私が依頼をすんなり受けないのでヘルネリアは驚くので、

「一番の問題はラザルが装備だけ回収してき他ということだ、ホブゴブリンは怒り狂い警戒しているだろう。下手したら骨ごと食べ尽くしたとも考えられるはずだ。有るかどうかも不明で必要以上に警戒している。私でもかなり難しい。」

そう言うとヘルネリアは納得して、

「ギルド長に確認をとります。」

そう言って慌てて出ていった。


「お主にとってそんなにも難しい事なのか」

そうよこで眠りながら私を見ているアポロニアが聞いてきたので、

「難しいかと言えば微妙かな、食料と酒を大量に持っていき交換が一番楽だけどね、交渉してくれる人を介してだけど、ライバルを蹴落とすというか簡単なことじゃないと言うのをわかってほしかっただけだけど、良いきかいということだね」

「面倒な生き物だまあ私もついていくことにしよう、面白そうだし」

「いいけど大人しくしてくれないと」

そう言ってもうしばらく布団の中にいたがヘルネリアがなかなか来ず、拍子抜けながらその日を過ごした。


「さらに5つのパーティーもそれもミマスのところが全滅だって」

私はヘルネリアに朝から起こされ依頼が結局なく三日後に聞かされた討伐隊が全滅したことを知らされて驚かされる。

「だって20階に到達していたセカンドクラスのパーティーなのに、何があったんだい」

私は飛び起きてトランクスをはくとヘルネリアは顔を赤らめながらも、

「後ろからついていった偵察のギルド専属のスカウターからの話なのですが、夜中に13階に到着してそのまま畑を通り抜けてゴブリンの館に向かっていた途中、いきなりブロウズンバッファローの集団に突撃をくらいちりじりになり、寝ていたはずのゴブリン300以上に奇襲を受けて全滅に誰も逃げることができなかったそうです。」

そう言われてゴブリンの大切なはずのブロウズンバッファローを使って攻撃を仕掛けてくるとは、想像以上にホブゴブリンは怒っているということで回収はしばらく無理だと考えざる終えない状況だった。

「なのでギルドで緊急会議が開かれることになり今町にいるパーティーリーダーに召集がかかり私が呼びに来たのです。」

私はため息をつきながら、

「それってやっぱり参加しないと駄目なの」

「ギルドに入っている限りは義務ですから。」

そう言われて着替えたらいくことを伝えて身なりを整え軽い食事をとると興味津々のアポロニアをつれてギルドへと向かった。


「全員揃ったようだな、会議を始める。」

ギルド長のマーカスが最後に遅れて入ってきた私を一別すると今回の概要を話始める。

3つさらに5つものパーティーが全滅したことを聞いて皆ざわついてマーカスが静かにするようにと言っても収まらないくらいの衝撃であり、私がアポロニアをつれて入ってきてやっかんでいた雰囲気も消し去ってしまった。

「ドレークが回収をしてくれば良いんじゃないのか、我々が行くより」

トップのパーティーの中の1つであるリーダーのカーバインがマーカスに聞き私を見たが、

「ここまでこじれてるところには無理だ。」

そう今回の判断ミスをしたマーカスに言って私はだまりこんだ。


「しかし300ものゴブリンを統率する相手は何者なんだ。それとギルド長には今回の事は不幸だが回収を諦めたほうが良いんじゃないかということを提案する。」

カーバインの言うことにいくつかのパーティーリーダーは同意する。

「それはダメだ、君達冒険者が迷宮へもぐることはリスクが大きい、なので掃除屋が回収をしてくれる前提が崩れれば君達も迷宮へ入るのに躊躇せざるおえないだろうし、何よりギルドの信用にも関わる。今回のミスの一端はは我々ギルドの判断ミスが重なったのが原因と考えている。」

そう言って一呼吸おくマーカス、

「なればこそ今回はギルドとしての強制依頼として8パーティーの回収をお願いしたい。」

そう言って報酬の金額や参加をしない場合のペナルティーについての説明を行った。

今日一日考え明日朝一番に返事をすることを言われて解散となった。


「ドレーク、公私共に私の誤解から大変なことになってしまった。謝罪する。」

そうマーカスに言われ、

「私も大人げなかった。今回の件で私なりに情報と解決策を探しに13階へ潜ってみる。戻るまで遠征は待っていてくれないか」

「長くは無理だが明日から2日待つことにする。頼む。」

そう言われて私は頷くと宿へ戻り今回は戦闘を行うつもりはなく軽装の格好で潜ることにした。

「今回は館で待っていてくれないか、隠密行動をしなければならないから」

そうアポロニアに言うと10階までのテレポーターの許可証と石をヘルネリアが届けてくれ私は入り口にいき衛兵のベーネに渡すと急ぎ10階へと飛んだ。


12階までモンスターをやり過ごしながら向かいいつもの壁面からおりていく。

昼間の明るさで天井が光っており私は周囲を確認して降り立つと迂回しながら何時ものようにマーレスの家へと向かう。

途中広場に柱がいくつも立ててあり冒険者が生死は不明だがロープで縛られており本数を確認すると45本あり、8パーティーには少し足らないと思いながらマーレスの家に潜り込んだ。


「全くお前さんたち人間は何をしてるんだいお前さんの言うとおり3パーティーは来たのはいいがそのあとにも送り込まれてドガギャクが怒り狂ってブロウズンバッファローを使って殲滅してしまった。てっきり何時ものようにお前さんが回収しに来るはずなのに来ないから私の交渉も危うく殺される所だったのだから」

そう言いながら頭に巻かれた包帯を示す。

「今回はこちらの不適和でこんなことになるとはすまないマーレス、怪我したところは大丈夫なのか」

「一回だけだけど年寄りには下手すれば死ぬよ」

「これは何らかで謝罪をしたいのだけれど何かほしいものはあるかい」

「なかなかものわかりがよくなったね、初めてあったときは他の冒険者と同じでただの追い剥ぎに見えたがのう」

初めてマーレスと会ったときのことを考えて耳があつくなる。たしかにこちらから見れば討伐だが相手から見れば追い剥ぎや一方的な攻撃に対しての防衛であり

我々のことをモンスターは蛮族と呼ぶのも頷ける。


今回は効果的な防衛ができてホブゴブリンとゴブリンは気勢を上げているが大挙して来るであろう冒険者と血を血で洗う戦いを行うだろう。私としては遺体の一部でも手にはいれば復活をする司祭に任せれば完全な体へと生き返らせてくれる。ただし補ったところは違和感があるらしくしばらく基礎訓練をしないともとに戻らないというのがあるようだが、

「本題だけどからだの一部でも手にはいるならお金を支払うけど、それと外には45しかない残りはどうしたのかな」

「前回のことがあるからわしが直接働きかけるのは難しいがなんとかなろう、三人かどうかはしらないがドガギャクの慰め者になっておろう。」

そう言われて3人を助けるにはかなり難しいと考えられる。

「死体の一部を一人あたま銀貨2枚で1枚はマーレスにもう1枚は協力者に全部成功したら金貨1枚をそれぞれに渡すと言うのでどうかな」

「大きく吹っ掛けてみたもんじゃな、わかったすぐに集めさせよう。前金じゃな」そう言われて銀貨90枚をカウンターに並べて家を出ると地上へ向かった。


「ドレーク感謝する。報酬は何時ものとギルドからの取り分も渡すので一人金貨4枚でどうだ。」

「わかった。生きているものに関してはそれに実費を足した値段で、大量の眠り薬の入った酒樽と眠り草を使うから」

「ギルドに請求は回してくれ、ギルバートのオヤジは酒がはけるからウハウハだな」

そうして契約を交わすともう一人のウハウハになるサキュバッシュのもとへと向かった。

「在庫だけじゃ足りないが今日中に揃えてギルバートのところに送っておくよ、ところであの小娘の匂いをつけてくるとは良い度胸だね、料金割り増しにしておくよ急ぎのも含めて」

そう言われて生きている女性とそのパーティーに何れだけの請求という借金がいくのかと思いながら宿に戻りまだ寝ているアポロニアの横に潜りこむと次の日の早朝まで寝てしまった。


翌日バッカスドリンカーズの店の前に来ると疲れた顔で大きな樽のようなお腹と長い髭がトレードのギルバートとドワーフが座っており、

「くそぼうずめ、いきなり100樽に眠り薬をいれて準備しろなどと、徹夜だったが間に合ったわい」

「感謝します。請求はギルドへ」

そう言うと横に山積みになっている樽を次々にバックパックに入れていくと、

「ドレークよそのバックパックどれだけはいるのだ。それと重くないのか」

そう言われて、

「いくらでも入るよ生き物をいれたら死ぬけどね、重さは一定だからかわらない」

ドワーフ達は集まって次々と樽を入れながら感心して、

「これほしいないくらするんだ。」

そう言われて苦笑しながら、

「金貨200枚」

そう言うとビックリして諦めたようだった。

挨拶もそこそこにテレポーターで10階へそしてマーレスの元へと急いで向かった。


「そこにおいといてくれ」

そうボロ倉庫に酒樽を次々と並べ、マーレスには何度も見せていたので驚きもせず私の作業を見るわけでもなく家に戻り、私が終わるのを待っていた。

「協力者には話がついてるよ、明日戦勝の宴会を行い焚き火に眠り薬を入れる。夜半に宴会の中央広場で協力者が遺体の一部と3人を引き渡すことになっておる。そこで金貨を1枚渡す。そこで何があっても戦いはご法度じゃ受けとるものを受け取ったら地上へもどれ、わしの報酬は例の紙の物を買えるだけ買ってきてくれれば良い。」

そう言われ感謝すると眠り草を粉にした薬を入れた袋を渡して外へ出ると13階の隠れ家へと戻った。

そこで一日すごし翌日賑やかになったゴブリンの村を遠目で見ながら夜になるのを待った。


騒ぎが徐々に小さくなり静まり返ったのを確認し夜半になるころに村へと入った。

酒と煙で皆が眠りこけているのを確認しながら中央広場の大きなやぐらの前で待つことにしていると、

「お前がマーレスの言っていたやつか、たしかにドラゴンの匂いがするな」

そう言われてゆっくりと振り返るとそこには協力者がいるはずだがなんとゴブリンよりも倍以上の大きさのホブゴブリンが立っており私を見ていた。

驚いて黙っている私に大きく笑いながら、

「びっくりしたべ、協力者がまさかのドガギャク様とは思っても見なかったか」

そう言われて頷くしかなかった。

「まあええ、これが頼まれた物」

そう言いながら大きな革袋と女性を3人地面に並べた。

私は金貨1枚を渡すと、

「なかなか良い小遣い稼ぎになったぞ、ところでお前のその臭いはどうした。」

私は下の階層でドラゴンの妹を助け、その姉に気に入られて地上で暮らしていることを伝えると、

「ドガギャクさまも驚いたぞ、面白いやつだなこれからもよろしくな。マーレスに言うからな」

そう言うと闇へと消えていった。

私は袋をバックパックに入れて、3人を担ぎ上げるとマーレスの元へとむかった。


私が

「なんじゃい、どうやら協力者に驚いたようだな」

そう嬉しそうに笑うのを見て、

「まったく驚いたというか呆れた。考えてみればあれほど頼りになるのはいないが。所でさすがに3人を抱えて上まで上がれる自信がないから起きるまで居させてくれ」

「ええじゃろ、まあお前さんを驚かせたこともあるからええじゃろう」

そう言って通してくれ、私はソファーに3人を並べて寝かしつけた。

「しかしその怪我は嘘だったのかい。」

そう言うとマーレスは怒って、

「嘘、冗談をおいいよ。ドガギャクが利益になると判断したのさ遅効精の眠り薬とは言え酒をゴブリンにたらふく飲ませられるし、うるさいそこのやつをお払い箱にできるとなればこんな良いことはないということじゃな」

そう言われて騒がれるのも困ると思い3人に猿ぐつわをしてマーレスの入れてくれた私が頼まれて渡したよいにおいがするお茶を飲みながら雑談をして目が覚めるの待った。


朝方にようやく順番に目を冷まして、覚ました瞬間から猿ぐつわの間から悲鳴をあげるので、

「ようやく助かったのをおじゃんにしたくなければ静かにしろ」

そう言われてようやく私に気がついて大人しくなりながら猿ぐつわを外していった。

「ドレークがいるってことは助けてくれたの」

黒い長い髪のファリウスが私を見て納得しながら、

「まだ安全じゃないが指示にしたがってくれるなら助けられる。」

そう言いながら簡単な敬意を話すと

「他の仲間は、」

そう最後に聞かれたのでバックパックを指差した。

「よかった。ありがとう」

そう言っていると隣でようやく落ち着いた以前12階でキャンプを入っていたなかにいた魔法使いは私を見て、

「迷宮のハイエナ」

そう呟く。

ファリウスがハッとしたような顔でその魔法使いを見て私を見たので私は首をふって気にすることはないと知らせた。

最後にもう一人ネールというパーティーのクレリックであるマルタが目をさまして泣きながら神に祈りを捧げて落ち着いた様なので地上へ戻ることにした。


生きてる人を助けるのは久しぶりでファリウスが申し訳なさそうに、

「なにか着るものはないかしら、さすがに裸では、」

そう言われて3人が裸なのに気がつき、私は持ち合わせがないのでマーレスになにかないか聞くと、

「ちょいとまっていなさい」

そう言うと倉庫の方へと入っていった。しばらくするとすりきれてはいたが無いよりはましという布を3つ持ってきてそれを女性3人は着たので出発をした。

村の方ではまだ寝静まっているらしく静かで私は正規のルートで撤退をすることにして歩き始めた。


12階への階段に到着して上がるとそこにはギルドの専属スカウターであるジョブジョンが待っており、私達を見ると安堵した表情でギルドに知らせるために走っていった。

10階の転送室まで戻りテレポーターで一気に飛ぶとそこにはマーカスが出迎えており、

「無事に戻ってこれたか、良かった。」

そう言って3人の女性と45人分を渡すと金貨の入った袋をもらって宿へと戻った。


宿へと入ると1階の食堂では大騒ぎをしておりなにかと思ってみると沢山のおっさんに混じってアポロニアが酒をのんでおり、飲み比べで片っ端から酔い潰させているようで私を見つけると、

「なかなか面白い、しかしこんなに揃いも揃ってだらしがない、婿も飲むか」

そう言われて、

「荷物をおいたら加わるよ、それと今日は私のおごりでいいよ」

そう言うと周りのおやじたちはさらにテンションをあげて飲み比べを始め、女将さんに金貨を1枚渡してお願いをした。


部屋に戻り装備を片付けると今回の事を考え、今回の収穫はあのホブゴブリンと取引ができるということだろうと思いながらさらに大騒ぎしている食堂に戻ると一緒に床に寝込むまで飲みまくった。


翌朝二日酔いで目が覚め私のお腹に上半身をのせて寝ているアポロニアを起こすと、

「婿はこういうばか騒ぎは苦手と思ったがそうではないみたいだな」

私はおいてあった水差しの水を一気に飲み干して、

「苦手だけど仕事がうまくいったときぐらいばか騒ぎも良いかなと」

「そうかそれではまた楽しもうではないか」

そう嬉しそうに話していると宿の入り口から衛兵が二人入ってきて私を見つけると、

「その方が冒険者のドレークか」

そう聞かれ頷くと、

「その方には大量殺人に荷担したと訴えがあったので収監する。」

そう言われて二日酔いの頭で、

「訴え人はグロリアか」

そう私をハイエナ呼ばわりしたあの女性の顔を思い出しながら聞くと衛兵は頷いた。

「アポロニアすまないがギルドに知らせてくれ」

それだけ言うと衛兵に連れていかれ監獄に入れられた。


時々お金を支払うのを免れたい冒険者が訴えることがあるが、今回いつもと違うのは生きたまま助け出したということでかなり面倒なことになると思う。

しばらくすると判事から呼び出しを受けて一室に連れていかれる。

「今回の担当判事であるバルアミア伯爵である。13階で8パーティーが全滅した件で訴えがあり審理することになった。」

こちらを見て私を睨み付けてくる。

「その方はゴブリンと結託してパーティーを全滅させその遺体を回収し、不法な利益を得たと言うことだが間違いないな。」

「結託したという根拠はどこにありますか」

「生き残ったものが目を覚ましたときにゴブリンがそばにいていたと言うことが証言で明らかである。よって明日の審判により有罪が確定した場合は死刑、しかしこれまでのことに免じて所持金を納めるなら重刑務所いきとするがいかがする。」

そう言われて、

「ギルドとの契約においては回収及び救助に関してはその過程の責任を問われないという契約を結んでおります。それをわかっていての審判でしょうか。」

「ギルドの契約など無効だ、法律は我々が決める。」

そう怒りながら机を叩き私を威嚇してきた。

「我々とはどんな腑抜けなのでしょうか、まさかたかだか伯爵でそんなことを言われるとは思いませんが」

そうわざと挑発すると、

「きさま私を侮辱するかそして侯爵を」

そう言われ私は内心でガッツポーズをしながら、

「モレノ侯爵閣下ですか、あなたのような方が下にいるとは閣下も不幸ですね。」

「きさま言うに事欠いて私やモレノ侯爵閣下を馬鹿にするとはゆるさん、明日の審理を楽しみにしておくぞ。」

そう言うと衛兵を呼び私を牢屋にぶちこんどけと叫んでそこをあとにした。


「迷宮のハイエナも終わりだな、あの伯爵ににらまれれば冤罪だろうが関係なく有罪に仕立てるからな」

そう衛兵の一人が私を小突きながら進ませ牢屋へと入れた。

私は座り込むと身体検査を受けなかったので腰袋から保存食を取り出し食べると早々に寝ることにした。

久しぶりに夢を見た。新人からようやく13階に仲間と入ってくときの事を、リーダーで頼りがいのあるファイターであるマルク、口数は少ないが敵を察知したりマッピングをしたりと縁の下の力持ちであるスカウターのギム、美しい声と共に詠唱でマジックミサイルで敵を撃つマジックユーザーのフェレフィス、鋼鉄の意思と信仰心で皆を支えてくれるヴェルナフィナ、色々な罠や戦術を考えるシーフのマグレン、私と双子と思われるほどの息とタイミングで襲いかかる敵を次々と切り伏せていくファイターのアン、そして珍しい職業でもてはやされたサムライの私の6人で挑んだ。


コブリンが集団で来るのは確かに初心者から脱出したばかりの私たちにとっても危険だったが、マグレンの連繋指示により次々と倒していき私達の士気はやがおうにも上がっていき村外れの家にはいる。

今日の戦果はコブリンをもう少しで三桁にいくほどであり、ゴブリンは所詮ゴブリンと皆で思っていた。

交代で就寝して私は最後に見張りにたつ、しかし疲れもあってフェレフィスと共にウトウトしておりコブリン達の奇声で目を覚ましたときには多数のゴブリンが家のなかに入ってきており、私は刀を抜くと目の前のゴブリンを切り伏せる。

しかし次々と襲いかかるゴブリンに部屋の端に追い込まれ悲鳴と罵声が入り乱れ私は必死にフェレフィスをかばっていたがゴブリンに体当たりをくらい窓に当たるとそのまま外へと飛び出しながら転がった。


周囲にもゴブリンはおり私を見つけると次々と襲いかかり私はなりふり構わず切りつけていく。家の中からフェレフィスの懇願と泣く声が聞こえ静になり、私はいつの間にか生きているのが自分だけというのが周囲の静けさから気がつかされ絶望に立たされながらただただ切りつけ突破すると路地を駆け抜け畑の中へと逃げ込む。


歯を食いしばり悲鳴をおさえ周囲で捜索しているゴブリンに見つからないように普段祈ったことない神に祈った。

どれだけたったか不明だが気配がないのを確認するとほふく前進で畑を抜けて一軒だけある家のなかに潜り込む。

中は暗く気配は無さそうなので私は壁にもたれ掛かると一息ついた。これから脱出して助けを求めなければ、でも誰に。ライバルそれも新進気鋭のパーティーが消えてくれれば自分達の利益になるのにそんなお人好しはいない。

わたしは考えれば考えるほど絶望にさいなまれ見張りの時に何で寝てしまったんだと自分の慢心行為に歯ぎしりを繰り返す。


しかしここにいてもどうしようもないので夜いなったら移動しようと思っていると暗闇から、

「お前さんは探し回って騒いでいる元凶だね、ゆっくり寝れやしない。」

そう言いながら灯りをつける。

そこには初老のゴブリンの女性が立っており私は刀に手をやった。

「こんな老婆を殺しても何もないよ、話し合う余地があるならなんとかならないでもないがね。」

そう言われ私は刀から手を離すとうなだれししまう。

「そこにいないでこっちにきて座りな」

そう言うと私を椅子に座らせると欠けた木のコップをおいてくれたので私は飲んだ。


「ゲホッ、ゲホッゲホッ」

お茶の味ではなくただ苦いだけの色のついたお湯であり喉が乾いてなければ飲めたもんじゃない。

「おやまあ、口に会わないようだったね。」

そう言いながらも空になったコップに注いでくれて私は飲んだ。

「私はマーレス、ゴブリンだが変わっていてねえ昔から離れたところで一人で過ごしているんだけど、最近人恋しくなった所にお前さんが来たんだよ」

「何をいってるかわからないが、とにかく地上に帰って何とか仲間を助けたいんだ。」

「そうかい、でもお前さんの仲間は大鍋に入れられて戦勝の食事として食べられてる。骨も残らない」

そう言われて愕然としてマーレスの顔を見て否定をしてほしかったがどうやら本当の事みたいなので、しばらくは動くことができなかった。


「地上へ戻るなら家の裏から続く小道を行くと森を抜けて荒れ地に出る。そこをさらに真っ直ぐ行くと壁面に当たる。そこで上を見れば12階へ続く穴があるからそれを使い、普通の帰り道はまだ監視がきついからね。」

「マーレスさんありがとうございます。敵対しているのに親切にしてもらって、地上に戻れたらお礼にまた来ます。」

「マーレスでいいよ。一つだけ言うとこちらは敵とか考えてないからね。冒険者が一方的に戦いを仕掛けているのであってただここで生活をしているということだけ、それとお礼はお前さんのかおが歪まないお茶を持ってきてくれれれば嬉しいね。」

そう言うともう一杯注いでくれ見送ってくれた。

その後はなんとかやり過ごして地上に帰りお茶を買うとマーレスにあいにいったということを夢の中で見続けた。

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