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宝剣とライネル

「ライネル様、申し訳ありませんが宝剣をそのまま上に持っていくのは不味いと思います」

手にいれた宝剣を背中に背負って足取り軽く進んでいるライネルに口調を改め話しかける。不思議そうにこちらを振り返ったので、

「当然入手した時の事を聞いてくるでしょう。その時にどうされますか」

そう聞くと顔を青くして立ち止まり頭を下げる。

「肝心なことを忘れてた。アポロニアやドレークの事を考えていなかった。そうだよね50階層にどうやっていったかどの様に手にいれたか話さなければならなくなるよね」

正直に話せば強欲な連中が軍隊を送り込むかアポロニアを使ってどうにかしようとするのは想像に難しくなく、下の階層のコボルトやゴブリンの生活をめちゃめちゃにしてしまうと言うことに今さら気づいたのかライネルは落ち込み、

「どうしたら良いドレーク」

「城や地上にはおいとく場所は難しいです。ライネル様は思い付きませんか」

マーレスの所へは何かあれば命の危険もあるから無理だろうしギルドでさえ漏れる危険性がある。

「やっぱりこれが一番だね、これなら知る人が少なくてすむしまさかそんな人がだよね」

そう言いながら背中から宝剣を下ろすと私に手渡してきた。手元に宝飾がちりばめられたロングソードがあり驚きながら慌てるとライネルは嬉しそうに笑いながら、

「お願いしますね義兄さん、こんなかわいい妹ができて嬉しいでしょ」

カシナーテと義理の姉妹の契りを結び、その姉妹であるアポロニアも義姉であり、法律上の夫である私も義兄と言う結びつけらしく嬉しそうにしているライネルに、

「これを売れば一生暮らして行けるな、こんな極悪非道な男に渡すなんてどうなっても知らないな」

苦し紛れに言うがライネルは嬉しそうに、

「噂はそうですけど、私に沢山の友達をつくってくれましたし義姉妹も、そんな人が極悪人なんてどうなんでしょうかね」

そう言いながら上への階段をかけ上がっていった。私は嬉しさを隠すようにマジックザックに宝剣をしまうと後を追ってかけ上がった。


ライネルが戻ってきたことで大騒ぎになりマーカスには黒幕とにらまれていたがそ知らぬ顔で過ごす。依頼もないので昼間から酒場に入り浸り命があったことに感謝しながら酒をのんですごす。

今回の救出も色々な話が乱れとび私が彼らをはめて大金をせしめたと言うのが妬み半分の連中の間でささやかれていたが白金貨1枚と金貨を手に入れて白金貨は左から右だったが金貨は40枚近く持っていたので気にすることなく酒場で過ごした。

今回の件でかなりの借金を背負ったと言うことだけは伝わっているようで無理はしない冒険をしているらしく私が動くことが無いようにと言うことが冒険者の合言葉であるようで一週間以上暇をもて余していた。


「誰かお願いです助けてください」

酒場の端で何時ものようにゆっくりしてると死にそうな声が聞こえてきた。

入り口に衣服がボロボロで疲れた顔で立っている若者が入ってきてかすれた声で言う。冒険者はギルドに行って依頼を出せと当たり前のように言ったが、

「依頼を出して一週間たつが受けてくれる人がいないんだ、何とかしてください」

若者はすがるように冒険者を見るが割りがあわない仕事だったのか誰も返事をしない、しまいには飲んでる所へ行って腕にすがりつき振り払われ最後には酔っ払った冒険者に殴られ外に放り出されていた。

私は直ぐにその事を忘れしばらく飲むと宿へと戻った。


翌日朝起きて水浴びをしてギルドへ向かう、相変わらず慎重らしく回収依頼はなくなにか面白いことがないかと

ヘルネリアの前で粘っているとマーカスが現れ、

「こう見るとほんとダメダメ男だな」

大金をてに入れ酒場に入り浸りの私に呆れながら後ろを見る。私もつられて後ろを見ると昨晩の若者が手当てをしてもらったようで落ち込むように椅子に座っており、

「村で大型の鳥が変な病気を撒き散らしたらしく原因究明と治療の薬草を探すという依頼らしい」

マーカスが言うので料金はと聞くと銀貨1枚と言われ、

「原因不明はきついな銀貨1枚でも下手したら足が出そうな感じがする。誰も手を出さないわけだ」

私は興味もなくヘルネリアに視線を戻すと机の上にその依頼書があり、

「どうだドレークたまには別の人助けでもどうだ、どうせ暇だろうしばらくは、それと黒幕の件も目をつぶるからな、なっ」

今さら引き合いに出す底意地の悪さを感じながら、

「銀貨1枚はな、疫病で広がったら大騒ぎになるだろう、国としても不味いんじゃないか一昨年もあって多数の農民が亡くなったって聞いたし」

わたしがギルドからも依頼料を引き出そうとするとマーカスは考え、

「そういうと思ったから上にお伺いをかけて成功報酬で銀貨3枚を支払うと言う事になった」

断る口実で言ったがマーカスの方が一歩も二歩も上手であり受けなければならなくなった。

ため息をついて依頼書にサインをすると嬉しそうに若者を呼んだ。

「ウーツ村のマイニングと言います。どうか家族を友人を助けてください」

そう言われて頭をかきながら外に連れ出すとマリーネの店に向かった。



「その情報だけで薬草を準備しろって言うのかい」

マリーネは呆れながら若者からの症状を聞いて考える。

「ここのじゃ足らないねマーレスの所にある薬草が必要になると思う」

そう言うとしばらく待ってなと言いながら奥へと入り戻ってきて、

「明日の朝に持ってくるらしいから明日きておくれ」

思わぬ時間ができてしまったがウーツ村までは歩いて四日はかかるので小さな馬車と馬をギルド経由で借りる。その代金で銀貨1枚は取られため息をつきながら定宿オークスに戻った。

「えっ、外で寝てたし最近水しかのんでないって」

金がないとはいえあきれてしまいまったくと言いながらさらに追加で支払い遠慮するマイニングを泊まらせ垢を落とさせ食事をさせて就寝をした。

翌朝も恐縮するマイニングを連れてマリーネの店に行くとカウンターにはカシナーテが座っており、

「ねえ様から持っていくように言われたんだけどライネルに会いたくてマリーネに頼んだの」

ドラゴンとはいえ少女が迷宮を一人で歩いているのを見て捜索していたパーティーは驚いただろうなと思いながら光る苔を渡されマリーネから他の薬草などとの使い方を教えてもらった。

しばらくすると元気よい声と共にライネルが護衛つきで店へと入ってきてカシナーテとの再会を喜んでいる。私は手に入ったので直ぐに馬車で出発すると伝え騒いでる二人をおいてオークスへ戻った。


食料を購入して積み終わり馬車を出発させる。マイニングは急いでほしいと何度も言うが馬が潰れないように進ませて一泊めの野営地についた。

「あーっじっとしてるの疲れた」

テントを下ろそうと荷台をのぞくと何故かカシナーテとライネルがおり背伸びをしている。

「義姉様と相談してついて行くことにしました」

ライネルが嬉しそうに言いカシナーテと頷く、今さら戻るわけにもいかずなし崩しに同行することになり怒る気力もなく夕飯を作り始めた。


「こんな場所でみんなと食べると美味しいですね」

無邪気にライネルが笑いカシナーテは美味しいと連呼して鍋に多めに作った野菜スープをすべて平らげてしまった。

翌日から元気に歌を歌ったり踊ったりと、これから行く依頼に関係なく楽しんでおり私とマイニングの気持ちを逆に重くする。

二日目の昼過ぎには到着をしたが村に入らず馬車を止めた。

「ここで薬草の準備をする。ライネルとカシナーテは村に近づくな絶対だぞ」

持ってきた薬草や苔が必ずしも効くとは考えておらず二人にはきつく言うと徒歩で村へと向かった。


「酷いな」

思わずうめいてしまうほどの惨状であわててマジックザックから大鍋を取り出して特大の水筒を二つ取り出すと沸かして材料を入れて冷めるまでおいておく、その間にザックから非常食の干し肉や炒った穀物を取り出すと別の鍋に水と塩と一緒に入れ煮始めた。

マイニングが村人を呼び集めはじめ私は先ず冷めた薬を飲み干した。苦いとしか言いようがなく飲み干すと元気な村人に巨大な鳥の事を聞いて回ると、日がくれると何処からともなく飛んできて村の上で高らかに笑い夜明けと共に消えていくと言うことだった。

私は馬車に戻ることにして煎じた薬をひょうたんの小さな水筒につめて途中で水浴びをしたあと馬車へ戻った。


「苦い」

ライネルとカシナーテは薬のあまりの苦さに文句を言うが私は飲まないなら街へ戻るように言うと少しずつ飲んで水を飲み直す。夜に巨大な鳥との何かしらの事が起きると話して強制的に寝かせた。

「ドレーク、冒険者は大変なんだなこんな苦い薬や眠たくもないにに寝なければならないなんて」

ライネルが呟きカシナーテが横でうんうん頷いている。私も無理矢理ねて夜に笑い声で目が覚めた。


上空は真っ暗で何が飛んでるかわからないが周回しているらしく笑い声が大きくなり小さくなりを繰り返す。

見えるなら弓矢で攻撃をと思ったが見えそうで見えない高さにいるらしく笑い声だけがひびきわたっていると、

「いちいちかんにさわる笑い声だな」

カシナーテが青筋をたてて見上げた瞬間息を吸い込み吐き出す。その瞬間に派手な羽が少しだけみえたので構えていた矢を放った。

暗闇を走り抜け刺さったらしく次々と矢を放つ、笑い声が当たる度に悲鳴に代わり怒りの叫びに変わるのに時間はかからなかった。

「ライネル、馬車のしたに退避を」

そう言っていると体長7mはあろうかという孔雀のような姿の鳥が現れ足の爪で切り裂いてくる。

それを木々の間に入りながら矢を放っていると焦れた孔雀が地面までおりてきた。

「ようやくおりてきたな」

嬉しそうな声と共に咆哮が響き孔雀の横からドラゴンが襲いかかった。

そう言えばアポロニアが、

「妹はまだ幼いので羽が小さく空が飛べないからな、そんな相手の場合は怒り狂う」

そう聞いていたのであわてて走るとライネルが退避していた馬車の下に転がり込み戦いを見る。

幼性とは言えドラゴンであり、孔雀のくちばしや爪の攻撃を気にするわけでもなく噛みつき引っ掻き叩きつけ羽をむしって丸裸にしていく、

「ドレーク、美しいですよ義姉は美しいです」

ライネルはなにかに感化されたのか感動して馬車の下から出ようとするのを押さえつけ私は早く終わってくれと心のなかで念じながら戦いを見守った。


「あー美味しかった。少し脂身が足らなくてパサパサしてたけど」

カシナーテはお腹をさすりながらこちらに来ると満足そうにしており、ライネルは感激でうち震え大喜びしながら出迎える。

私はと言えば気を使ったのか、たぶんたまたまだろうと思っているのだが馬車の回りはなぎ倒され掘り返され羽などが散乱しており金色の粉のような物がうっすらと積み重なっている。

カシナーテはくしゃみをひたすらし始めたのであわててライネルにぬので口と鼻をふさぐように言い自分も同じようにした。

馬車から出ると相変わらずくしゃみをしており私は布で口と鼻をおおうようにカシナーテに言うとしばらくしておさまった。


「ひどい目に遭った、この原因はどういうことなの」

口をしゃべりにくそうにモゴモゴさせるカシナーテにライネルは笑い私は憶測なのだがこの粉が原因かなと言いながら試しに火口の入った箱を取り出してその上に金色の粉をかけてみるとポンと一瞬だけ火がついて消えた。

「まて・・・」

私はとっさに止めようとしたがカシナーテが止める暇もなく息をすって炎を吐き出す。眩しい光と共に熱が広がり、私はとっさにライネルを抱き寄せてローブで包み込みしゃがんだ。

ローブの表面は熱にさらされているのか熱く皮膚むき出しの部分は痛い、ライネルの金色の毛も熱で縮れ始めておりこのままだと危険だと思った瞬間にようやく暗さが戻った。


私の胸のなかでライネルがモゾモゾしてようやく抱き締めていた体を離す。暑さと苦しさで顔を真っ赤にして何度も息を吸い込み私はローブをはぎ取りライネルと自分の頭に水筒の水をかけた。

「殺すつもりか」

思わず熱風のなか叫び咳き込む、ほぇ~っていう顔でカシナーテはこちらを見てライネルが危険だとわかり人に戻るとあわててどうしようどうしようとおたおたし始める。

それをみた私とライネルは大笑いをして熱気を吸ってさらに咳き込んで水を飲んでようやく落ち着いた。

馬車は表面が熱をおびてかろうじて燃えなかったが馬は息絶えており補償で報酬以上かなとため息をつきながら村へと向かった。


「先程の炎は」

マイニングが疲れた顔で駆け寄ってきたので、

「上空の笑い声の原因を取り除いたその残り火だから心配しなくて良い」

「本当ですかありがとうございます」

私の手を握ると何度も嬉しそうにふり今夜は状況の確認を含め村での休息となった。

翌日、代わりの馬を購入しようとしたが、村には牛かロバしかおらず痩せたロバ1頭では小さい馬車さえ引くのに苦労するので2頭報酬のボーナスも含めて売ってもらった。

ロバを横に並べて馬車を引いていく、馬に比べるべくもなく遅く何日かかるのだろうかと思いながら帰路につくがその矢先に問題が発生した。

「くさい、くさいくさいくさい」

後ろから不意に声が上がり寝ているカシナーテが起きたようでこちらに顔を出し、

「だれじゃ、屁をこいたのは臭くてたまらん」

確かに強烈な刺激臭が漂いはじめあわてて馬車から離れるように伝えると下車した。

「何ですかこの臭いは、気持ち悪いのですが」

ライネルは顔を青くしており私は布で口と鼻をふさぎ馬車を風上にして止めると中に入った。

しかし臭いはするがその元となる強烈な刺激臭はせず首をかしげる。

馬車から顔を出すと二人は臭いから逃げ回ろうと走り回っており、止まる度に顔が青くなり走りはじめており息も絶え絶えになった。


「カシナーテ馬車の後ろに、ライネル馬車の前で待機を」

そう言うと二人は別れて立ち止まるとライネルは臭いがしてこないのかその場でへたりこみ、カシナーテは臭いくさいと走り回っていた。

馬車から降りると布の切れ端をカシナーテの口と鼻に当ててようやくおとなしくなった。

「臭いのもとはカシナーテ」

そう言うと二人とも驚きカシナーテはどうしてかと眉をひそめ聞いてくる。

「以前に聞いたことがある。食べ物によって体臭が変わると、この三日間で何を食べたっけ」

カシナーテは少しだけ考え、

「あのでかい鳥を丸飲みした」

そう言われてあの粉を作り出すのなら臭いもと思いそれを説明する。カシナーテは顔を真っ赤にして、

「どうすれば良いのじゃ、こんな臭いをしてたら気が狂うぞ」

じたんだを踏みながら怒るので、ギルドのスカウターのマスターに聞いた、水をたくさん飲んで暑い場所で汗をかく事を伝えるとすぐに連れていけとまさしく駄々っ子の様に地面を転げ回る。そんな暑い場所は思い付かないなと思っているとライネルがここから山岳地帯の麓に別荘つきの温泉が有ると教えてくれ場所を指差すとカシナーテがドラゴンに戻り馬車とロバを掴むと走りはじめた。


馬車の中でライネルと二人、飛んだり跳ねたり慌ててロープで柱に二人でくくりつけしがみつく、何時間揺られたかわからないが急に止まり馬車が地面についた。

「はやく、はやく」

カシナーテがライネルを煽り、私は慌ててライネルが指示する館へと馬車をいれた。

衛兵が出てきたがライネルを見て敬礼をしてじっとしているので、一番広い風呂にカシナーテを連れていくように命令をして一息ついた。

衛兵は臭いとライネルの客人であるカシナーテには言えず涙を流して鼻声で誘導する。

私もライネルも別々に風呂が用意され旅の疲れを癒した。



「お客様が源泉を直接体に当てておられます」

心配そうにしており、源泉の温度は百度近いらしく大火傷をと思ったのか心配してくるが、ドラゴンであるのでそのくらいの温度はどってことないだろうと思いながらライネルの、

「好きにさせてあげてくれ」

そう言うとそれ以上は何も言ってこなかった。

翌日もその次の日もカシナーテは風呂から上がってこず、臭いがなかなかとれないと言うことがわかる。

こちらはその間にここに来る街道で全速力で走るドラゴンを見たと大騒ぎしている民を落ち着かせたりとお大忙しであり、なかなかゆっくり過ごすことはかなわなかった。


10日ほどでようやくカシナーテがスッキリした顔で風呂から上がってくる。

「ようやく臭いが消えたぞ、もうこりごりじゃ」

そう言いながら準備されていた食事を平らげると寝てしまう。私はギルドへの報告もあるので馬車にカシナーテを移すとライネルに荷馬車の扱いを教えながら街へと戻ることになった。

道中は何もなくカシナーテは街に着くまで眠りから覚めず静かに過ごすことができた。


「この鳥は金華鳥かな東の国では有名で、作物をからせ病気を蔓延させると話に聞いたことがある。それをどうしたんだ」

マーカスがギルドでの報告に聞いてきたのでカシナーテを指差して食べるジェスチャーをすると、

「うげっ、ドラゴンてそんなに悪食なのかおい」

「わからんが食べたあとに強烈な臭いを出して周りも本人も悶絶したからな」

「そうだろう、あの肉はアクが強すぎて体を壊すからな、ドラゴンだから臭いですんだということか」

私がザックから金華鳥の羽を渡すと村にいって確認してから国からの特別報酬を申請しようと馬の代金をそれで賄えると言ってライネルに王宮を勝手に抜け出したことへの小言をいうと奥へと戻っていった。


「しばらくは家でおとなしゅうしとく」

そう言うとカシナーテは私のあとについて降りると何故かライネルも嬉しそうについてくる。

「戻ったらお小言もらうししばらくは出れないから」

決まりましたと言わんばかりで言われたが地上よりは暗殺もなく安全かと思いながら仲良く歩く二人の後ろをついていった。


「ドレークさん主人からのお願いです」

マリーダの所の女の子が迷宮前で待っており手紙と品物を渡してくる。中を見るとバーミリオン卿に渡してくれるようにと金貨と共に渡された。

「お願いします」

受けるかも言わずに行ってしまい私はため息をつきながらザックに品物を入れて降りる。二人は興味があるらしく聞いてきたがバーミリオン卿に品物を届けるというと興味津々でついていくと連呼して迷宮へ入った。

コボルトの村やゴブリンの村、ワーウルフの階層を挨拶がてら下っていき通路が移動する罠の階層をカシナーテが癇癪を起こしながら砦がある階層に到着した。


「すまないな、どうしても必要だったので届けてもらった」

何かもわからず手渡すとスケルトンのバーミリオン卿は嬉しそうにしていたが、私の後ろのライネルとカシナーテをみて、

「一人はドラゴンのお嬢さんだがもう一人は」

しばらく考えはじめおもむろに、

「ビヨトルとアタニーテの子供か」

ライネルは急に背筋を伸ばしきれいに一礼すると、

「ピヨトルひい祖父様とアタニーテひい祖母様を知っておられるとはどのような間柄なのでしょうか」

「わしはピヨトルの弟、バーミリオン卿と言うものだ聞いたことはあるか」

そう聞くとライネルは驚き、

「宝剣を探しに出たおじ様でしたか、お目にかかれて光栄に存じ上げます」

バーミリオン卿は喜びライネルの腕をとって頷く、

「そうだ、実は宝剣を手に入れる事ができたのです」

ライネルの言葉に驚き、私に宝剣を出してくれるようにライネルが言うのでマジックザックから取り出すと手渡した。


「これが英雄と言われた祖先がこの迷宮に封印した物の1つか、我らでもなし得なかったことを嬉しく思うぞ」

ポッカリあいた目から何故か涙がこぼれてきており彼らは死ぬことも許されぬ状態であり残りの封印したものを手に入れるまではとどまるのかと考えると不幸を感じざる終えない。

「ドレーク、我らは不幸とは考えておらんぞ、こうして我が血筋が宝剣を探してくれたしな、すべてが揃えば幸せが訪れよう」

意味深な発言をしており、私は勝手に不幸と考えたことを謝罪した。

「これは返しておこう、それで残りの鎧と盾と装飾品は目処がつきそうか」

そう聞くとライネルは首を横にふり、

「私の力ではありません、義姉のカシナーテ殿の姉であり、ドレーク殿の伴侶であるアポロニア殿がたまたま遭遇したヒドラ討伐して手にいれました。なので直ぐには無理と思います」

寂しそうにライネルが言うと、

「何をいっておる。ねえ様にできて私に出来ぬと考えたか大船に乗ったつもりで待っていろ」

カシナーテが胸を張って頷くのでライネルは嬉しそうに抱きついて喜んだ。

「カシナーテ、水をさしてすまないが転位は使えるのかな」

アポロニアの様に使えるなら後は宝物を守っているのとの戦いなのだがカシナーテは普通に、

「ねえ様みたいな器用な事ができるか、普通に降りていけば良いだけのことであろう」

胸を張って言うので、

「50階まで迷わず降りるには何ヵ月かかるか、そこからさらに何層あるのかわからないのに」

私は思わず言うと顔を真っ赤にして、

「任せておけ」

そういうなり部屋を出て次の階層の階段がある砦の裏へと走り去った。

残った者はあっけにとられ慌てて追いかけたが探しだせず戻ってきてしまった。

「ドレーク、大人げないぞ言わんとしていることはわからないでもないが、ドラゴンとは言え幼体だからな」

バーミリオン卿から諭され私は皆に謝りアポロニアに探してもらおうと思いドラゴンの洞窟へと向かった。


斜面を降りていくと下では騒がしく寝床となっている広場では冒険者のパーティーが5つもおりカシナーテが不在を良いことに宝物を漁っており私を発見すると、

「掃除屋がこんなところまで何しに来た、この財宝は我々の物だ立ち去れ」

そう言われて言い返そうと思っていると地面が隆起しはじめアポロニアかと思っていると無数のワームが出てきた。

胴回りは私くらいあるワームが何匹も地中から現れ口の中に並んだ鋭い歯で威嚇する。

悲鳴が上がったがここまで来る程の連中なのですぐに隊列を組み牽制しはじめ、その外にいる私とライネルには興味がない様子なので何か言っているパーティーを残して外に出るとマーレスの元へと向かった。


「彼らは自業自得と言うことですね」

やはり先程の事が気になるのかライネルは後ろから問いかけてくる。

「冒険者だから見つけた宝をどうしようかは彼らの権利だからね、逆にああなったら自力で切り抜けなければならないしその為に複数のパーティーできたのだろうし」

「でも、義姉が居ないと言う情報をどこからなんでしょうか」

確かに彼らの行動は何かしらの裏付けがなければ誰が好き好んでドラゴンの住処へと入り込むのか、その辺りは調べる必要があるかなと思いながら、

「カシナーテのことを知っているのはマーカスやマリーダだけのはずだけど調べてみますよ」

ワーウルフの戦士に手をあげて挨拶をして階段を上った。

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