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第四話 魔物召喚

本日は、17時、19時、21時更新です。


転生主人公あるある


鑑定能力がある



「ただいまっと。」

『おかえりなさいませ。ご主人様(マスター)。』


レッドボアを狩った俺は、ようやく我が家に帰ってくることができた。


『お怪我はありませんか?』

「あー…、いや。全身打撲しただけで、特に怪我はないよ。」

『それは無事といえるのでしょうか…』

「まあ無事ではないけど、元はといえば、俺の油断が原因だったからな。これを俺への戒めとするよ。」

『……すみません。まさかご主人様(マスター)を危険にさらしてしまうとは、考えが及びませんでした。これからはご主人様(マスター)の安全を第一に考えます。』


……なんかその言い方だと、まさかこの程度の魔物で怪我するとは思わなかった、と言われてる気がするな。

なんとなくこいつは、そんな皮肉を言う奴じゃない気がするが、なんかむかつく。


「まあいいさ。俺に落ち度があっただけのこと。……それより、レッドボアはしとめたが、解体のやり方とか、俺は知らないんだが」

『問題有りません。もともと私にあった知識と、インターネット上の、豚や猪の解体方法を参考にして、ご主人様(マスター)をサポートします。』

「そりゃ助かる。」


包丁よか、このナイフの方が解体に向いているだろうか。

そういえば、先の戦いで投げたナイフはあの後見つからず、回収出来なかった。いや、もったいないことをした。


「そうだ、どこで解体しよう。この部屋でやって、生臭くなるとか勘弁だし。」


そもそも家の中で解体するのはまずい。外でやってもいいのだが、ダンジョン内でないとコアのアドバイスが貰えないのだ。

ちなみにコアは、ダンジョン外に出られなかったりする。


「じゃ、解体部屋でも作るか。」


ダンジョンマスターたる俺にとって、部屋を増やすなど造作もない。無駄にDPを使っている気がするが、これから先この方法で食糧を確保するなら、解体部屋が有るに越したことはない。


現在575DPで、解体部屋を創るのに125DP、のこり450DP。

五メートル四方の立方体は、解体部屋にしては大きすぎる気がしないでもないが、まあほかに転用する可能性も考慮しよう。


ちなみに、今回の解体部屋は、純粋にダンジョンとして造ったわけではなく、「コアルームの拡張」と言う方法をとった。

これで解体部屋はコアルームの一部と認識される。将来的にコアルームをさらに下層へ移動しても、解体部屋もついてくるので手間が省けると言うわけだ。


レッドボアの死体を持ち、ポケットにスマホ(モバイルコア)を入れて、俺は解体部屋へ向かった。




ジューーーッ、と、肉の焼ける音がする。

フライパンには、先ほど解体されたレッドボアの肉が、肉汁をにじませながら熱されていた。


『レッドボアの肉は、少し固めなので、焼きすぎないように注意してください。』


隣でスマホに入ったコアがアドバイスする。

スマホが喋ってアドバイスするって、かの大手ブランドりんごが十年後位に出しそうな機能だよな。


『そろそろ良いと思いますよ?』


お、考え事をしていたら、焼きあがったようだ。

小さめに切ったレッドボア肉を、皿に適当にのせていく。


俺はよくある主人公みたいに料理が得意なわけではないのだ。

ゆえに味付けも盛り付けも適当である。


「んじゃ、いただきますっと。」


薄茶色に焼けた肉に適当に塩をふって、口に放り込む。


む、やはり少し固いな。少し噛み切るのに苦労した。

ただ、味は悪くない。噛むごとに旨味のある肉汁がにじみ出る。

少しクセがあるか?まあ慣れれば気にならない程度だな。


腹が減っていたからか、あっさりと平らげてしまった。


腹も満たされたことだし、ダンジョンについて、色々と検証してみますか。




ご主人様(マスター)。少し相談があるのですが。』


何をしようか思案して居たところに、コアが話しかけてきた。


「なんだ?」

『魔物召喚の件です。』


あぁ、そういえば本来召喚できないはずのゴブリンがリストに載っていたな。


『実は先ほど、レッドボアがリストに追加されました。』

「何?」


レッドボアが?

とすると、俺が倒した魔物を、迷宮でも召喚できるという事なのだろうか。


『それだけではなく、さらに、現在リストにはレッドボアが載っていないのです。』

「………ふむ。」


となると、答えは一つだな。


「死体がダンジョンにあると、その魔物を召喚できるという事か。」

『おそらくは。』


今はレッドボアの死体は解体され、肉と皮と骨や牙に分けられている。もう死体ではないと言うことなのだろう。

損壊率が問題なのかもしれない。


「じゃあ、実験としてゴブリンを召喚してみようか。」


ゴブリンの死体を冷蔵庫から取り出しながら言う。

召喚の際に、死体の方に何かしらの変化があるかもしれないからだ。

モバイルコアだけでは何かと不便なので、ダイニングからパソコンのある自室へ移動する。


『では、ゴブリンを召喚します。』


パソコンのリストには、「ゴブリン  5」とかかれている。

5DP消費したところで、大した痛手ではない。迷いなく召喚する。


『………どうやら、死体を魔物にするようですね。』


……?どういうことだ?


『ネクロマンシーとは少し違いますが、死体を再生させた上で、魂を入れることで、召喚するようです。』


ふーむ。つまり召喚は、一つの死体からは一度きりと言うことか。


『では、召喚します。』


コアの声と共に、ゴブリンの死体が淡い光に包まれた。

光が収まったとき、そこには一体のゴブリンがいた。



Lv.5 ゴブリン

HP 15/15

MP 8/8



む?ステータスが見える。

前、戦闘したときは、相手のステータスは見えなかったはずだ。


「召喚魔物の強さがわかるのか?」

『ええ。ダンジョンマスターはダンジョン内の全てを把握するので、ダンジョン内にいる生き物の強さはだいたいわかります。』


そういうものなのか。ダンジョン限定の鑑定能力と言うことかな?


「スケルトンも召喚してみるか。」


死体から召喚する方法は試したが、本来のダンジョンの召喚方法はまだ試していない。

もっともDPを消費しないのはゾンビなのだが、なにせゾンビだ。腐敗臭がするかもしれない。

密室であるコアルームで、そんな臭いを放たれたらたまらん。

スケルトンの消費DPは50と少し高めだが、一回召喚するにはさして問題ないだろう。


『召喚場所はここでよろしいですか?』

「ああ。」


すると、目の前に黒い霧のようなものが現れ、徐々に収束していく。

それは徐々に細身の人型を形どり、一体のスケルトンとなった。



Lv.10 スケルトン

HP 75/75

MP 18/18



やはりゴブリンよりか強いな。しかし、消費DPに十倍の差が有るということを考慮すると、それほど差がないように思える。

ってああ、ゴブリンは「体」があったから、消費DPが少なかったのか。スケルトンは体ごと召喚してるもんな。

この仮説通りだと、スケルトンの死体(?)から召喚する場合は、安上がりになるのかもしれない。

実験してみたいところだが、もし失敗して再度スケルトンを召喚できなかった場合、大損害となる。

DPに余裕が出てきたら、実験してみよう。


スケルトンに「ダンジョン保護」を設定する。

これは、ダンジョンで召喚した魔物に対して、付加できる設定だ。

ダンジョン保護を受けると、もし対象の魔物が死んでも、その死体が魔力となって霧散し、その魔物の召喚(スポーン)地点で復活(リスポーン)できる。

つまり、死んでもエンドレスで復活(リスポーン)できるのだ。

しかもこれにはDPを消費しない。省エネ用の代物である。


無論、有る程度制約がある。

まず復活(リスポーン)地点の半径10メートル以内に敵がいた場合、その間は復活(リスポーン)できない。

そしてこれが一番の制約だが、「ダンジョン保護」を受けた魔物は、ステータスが全て十分の一になってしまうのだ。

完全に上層の、倒されても良い雑魚用の機能である。


先程の、死体からの召喚があれば、不要の機能に思えるが、完全自動で行われる上、DPを消費しないのは十分なメリットだ。

また、死体は冒険者に素材とされることもあるらしい。

日本で同じことが起こるかは分からないが、損壊率が大きくても復活できないという点もある。


ちなみにこの設定は解除もできるので、戦力が必要なときは普通の魔物として戦わせることもできるのだ。

ゴブリンは設定すると弱くなりすぎるので、やめておいた。


さて、魔物の召喚実験はひとまずこれで終わりだ。これからの迷宮計画の参考にしよう。




さて、大分放っておいてしまったが、捕らえた子レッドボアはどうなっているだろう。覗いておこう。

 


Lv.5 レッドボア(幼体)

HP 5/25

MP 11/11


どうやら少し回復したらしい。

どれだけ暴れても拘束を解くことが出来ないことが分かったのか 疲れたのかはわからないが、今はぐったりとおとなしい。


「コア。帰ってからの間で、こいつからDPはどれだけ取れた?」

『帰ってからちょうど1時間程ですが、このレッドボアからは5DPが供給されています。』


ふむ。


レッドボアの子供を殺さず、わざわざ家まで持ち帰ったのには理由がある。

DPを得るためだ。

DPを得るためには、5つの方法がある。


一つ目は、ダンジョンのある地点の地脈から、自然に得る方法。

これは俺たちが何もせずとも、自然と増加するものだ。この地点での一日あたりの増加量は、まだ計測できていない。


二つ目は、ダンジョン内で死んだ生物から、生命エネルギーをDPとして得ること。こちらも、未だダンジョン内で死んだ生物が居ないため、先送りになっている。たまにダンジョン内に魔物が侵入する事があるらしいので、機会があったら計測しよう。


三つ目は、ダンジョン内にいる生物から漏れ出る微量な生命エネルギーを、DPとして得ること。これは今、子レッドボアから、一時間あたり5DPという計測結果が出た。かなり微量だが、想定通りの量である。


ちなみにダンジョンで召喚した魔物に関してたが、「ダンジョン保護」を受けた魔物は、通常時も死亡時もDPを得られないが、「ダンジョン保護」外の魔物は、普通の生物と同じ扱いらしい。

ついでに、ダンジョンマスターである俺や、非生物のコアからはいっさい得られないようだ。まあそれはそうだろう。


四つ目は、ダンジョン内の魔力を吸収すること。ダンジョン内で魔法を使われたとき、その効果が終わり魔力として霧散すると、DPとして吸収できる。


最後に、俺自身が魔力をDPとして補給する方法。およそ1対1で変換されるようだが、これは最終手段だな。


まあ、このままレッドボアを監禁すれば、一日あたり120ものDPを得られると言うことだ。

現在残っているDPは、400だ。今回の実験で消費したDPの回復に使わせてもらおう。


今回のあらすじ


肉おいしい。

召還っていろいろあるんだね。

DPのためにうり坊を監禁したよ!




次回予告


監禁され、怒りに狂う、子レッドボア。

その怒りはついにそのレッドボアを進化させた!

ついに解かれる拘束!怒りに狂うグレードボアは、二つの眼を糸目に向ける!


次回!「糸目、死す。」お楽しみに!



2016/2/1

DP獲得方法に、「ダンジョン内の魔力を吸収する」を付け加えました。

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