第二十六話 これが俺達の力だ!
前回のあらすじ
空竜激おこぷんぷん丸。
主人公は煽る煽る。
一昨日18歳になりました!やったね!
誕生日ほとんどセンター模試でつぶれたけどね!
これからは『あなたは18歳以上ですか?』って質問で、迷い無く『はい』を押せるよ!ワンクリック詐欺だね!
それにこれからはアダル○ビデオも借り放題だよ!やったね!
友人A「お前TSUTAY○でビデオ借りたことすら無いだろ。」
さいとうさ (´・ω・`)
空飛ぶ空竜が前進を止め、ホバリングを始めた。
息吹の前兆だ。
空竜が口にためた息吹を放った瞬間、俺は六本の投げられる木を全て空竜に向けて投げた。
息吹は木とぶつかると、空中で球状に暴風を展開した。
投げた木は容易く破壊され、割れ砕けていくが、結局息吹は貫通してこなかった。
「予想通りだな。コア」
『ありがとうございます。』
これで息吹は気をつければ対処できることがわかった。
息吹を防がれた空竜は、忌々しそうに咆哮をあげる。
俺は新たに六本の木を複製し、投擲と後退を再開する。
空竜が高く飛び上がったと思うと、一気に滑空し、俺に迫ってきた。
(速いな!かつ範囲が広い!)
通常の動きでは避けられないと悟った俺は、今し方複製したばかりの木を捨て、九本の触手全てで森の樹木の幹をそれぞれつかみ、全ての木を引っこ抜く勢いで自分の身体を飛ばした。
音を超える速度で滑空してきた空竜が、俺の横一メートルを通り過ぎる。
と同時に発生したソニックブームが辺りに轟音を撒き散らす。
空竜が通った跡には、木が折れ、跳ね飛ばされて森がえぐれていた。
空竜は滑空のために崩した体勢を戻そうと羽ばたく。
その間に俺は誘導する方向に距離を取り、投擲を再開した。
息吹が防がれたことに激怒し、直線的な攻撃に走ってくれたお陰で、先ほどよりも多く距離を置けている。
後退しつつ木を投げ続けていると、空竜が振り返りまたホバリングを開始した。
「また息吹かよ!」
さっき防がれたばかりだろう。
短気というかなんというか。
放たれた空竜の息吹を、先程と同じ方法で防ぎ、技後硬直のように動きを止めた空竜に対してさらに距離をとる。
『糞が!チョコマカと逃げおって!!』
おやおや、どうやら激おこプンプン丸らしい。
それとも激おこスティックファイナリアリティープンプンドリームなのか?
それともビッグバンテラおこサンシャインヴィーナ(以下略)なのか?
しかしちょっとよろしくないかも知れない。
このまま何かの弾みで冷静になられたら厄介だ。
「コア、次、息吹が来たらちょっとばかし無茶するぞ。」
『…………怪我はしないでくださいね?』
「軽傷で抑える。」
コアには悪いが、怪我をしない保証はない。
流石に死にはしないと思うが、打撲ぐらいはあるかもな。
息吹を待っているが、中々こない。
まあ、あんなに簡単に防がれたら警戒するか。
もしかしたら貫通型の息吹もあるかもしれないが、そこは出たとこ勝負でなんとかするしかない。
俺は他に形態は無いと思うがな。
何よりも、 《空竜の息吹》っていう能力なんだから、一つの技だと認識した方がいい。
例えば、俺も触手は一種類の形態しか出せないし。
『グガァァァアァァ!』
空竜が吠えた瞬間、魔力の塊が幾つかの刃のような形になって、俺に向かって放たれた。
見えない刃が山の木々をスッパリと切断し、斜面を蹂躙する。
魔法か。
おそらく、風属性の魔法だな。
そうなると、先ほどの一吠えが詠唱だったのかも知れない。
見えない刃。
なるほどやっかいだ。
何よりも、切断系の攻撃は触手で防げない。
「だけど、ここはもう俺の空間なんだよな。」
視覚的に見えなくても、たとえ不規則な軌道で来ようとも、俺ならよけられる。
ここがダンジョンの支配領域だからだ。
支配領域の中で、ダンジョンで出来るすべての事が出来るわけではない。
まず、支配領域内でDPの確保が出来るという訳ではない。
DPが回収できるのは、ダンジョンとして作った「部屋」の中だけだ。
そして、支配領域では同様に、魔物召喚、オプションは出来ない。
支配領域内でできるのは、部屋を作ることと、召喚された魔物がダンジョン保護を持ちながら行動すること、あとは、俺やコアが監視、鑑定する事くらいだ。
つまり、支配領域内では、俺は魔力を感知することが出来る。
それも鮮明に。
風の刃など、光学的に不可視でも、俺には見える。
魔力の塊として。
そして、見えたなら避けることも可能だ。
俺は触手が刃で切られないように調整しながら、立体機動をうまく使って空気の刃を避ける。
『グアァァアア!』
それを見た空竜が、腹立たしげに吠え、そのまま口に閃光を生み出す。
息吹だ。
極太ビームのように迫るそれに、俺は逆に向かっていった。
俺の全開の脚力で、森の枯れ葉が積まれた黒土が爆ぜる。
息吹をすれ違うようにギリギリでよけると、息吹はそのまま斜面にぶつかる。
下方の爆風を背に受け、服をズタズタに裂かれながら、その息吹の爆発を推進力にして、空高く飛ぶ空竜に肉迫した。
空竜は目を見開き俺を見るが、動けないでいる。
やはり、息吹を放った後には技後硬直の様なものがあるようだ。
今までも、息吹の後は、一瞬動けないでいた。
俺は触手で空竜の右前翼の軸を掴み、右手で左腰に携えていた斧を掴む。
「どっせい!!」
そしてそのまま翼に身体を向かわせ、斧に満身の力を込めて翼に叩きつけた。
ベキッ
木が割れる音を響かせながら、俺の手に持っていた斧が折れた。
やはり最下級の武器じゃ、無理があったか。
素手で殴った方がダメージを与えられた気もするが、それだと俺の拳が無事で済まないかも知れない。
だってこの鱗堅そうだもん。ギザギザしてるもん。
っと、そんなことをしている場合では無い。
空竜の前足の鉤爪が俺に迫る。
どうやら技後硬直は終わったようだ。
俺は触手で左前翼を掴んで鋭い爪を避けるが、跳ね上がったように振るわれた空竜の長い尻尾は避けられなかった。
鉛直下向きに叩きつけられた俺の体は、勢いそのままで重力加速度を得て、山の森に突き刺さった。
「ふい~~、あぶねぇ!」
打撲も無いようで助かった。
ギリギリで触手が守ってくれたおかげで助かった。
さすがの衝撃吸収能力だ。
こと打撃に関しては、異常な防御力を誇る。
まあ鉤爪だと、切り裂かれていた可能性は高いが。
『ご主人様!ご無事ですか!?』
「ああ、ご無事ご無事。傷の一つくらいはつけられると思っていたが、予想以上に固いわあれ。」
『ていうか、なんでこんな危険な真似をしたんですか!?』
「ん?まあハッタリつーか、ブラフって言うか。」
なんか空竜が怒りすぎてて、逆に冷静になる気がしたんだよな。
冷静になって考えると、俺は挑発した上で、即刻逃げの一手、そのまま対した攻撃もせずに逃げ続けているんだ。
いかにも『罠がこの先に用意してありますよ』って感じの行動だ。
あるんだが。
「で、今みたいに無謀な攻撃をすることで、『逃げながら隙を窺って攻撃しようとしている』って見せかけたんだ。」
まあ、ブラフにしちゃあ甘い気もするが、俺の足りない頭で考えられるのはこれぐらいだ。
「とりあえずポイントまで後少しだ。気を抜かずに逃げるぞ。そっちも準備よろしく。」
『スパコンとなった私の演算速度をなめない方が良いですよ?』
そいつは頼もしい。
空竜は一瞬俺を見失っていたみたいだが、今見つけたようだ。
それに合わせて、俺も投擲を開始する。
ポイントまで直線にならないよう、色々回り道したが、もう後百メートルだ。
空竜はまたホバリングを始め、白い光の塊を発射する。
「また息吹かよ!もう飽きたわ!」
俺は木を投げて、最初と同じ防御法を行った。
息吹は木々に阻まれ、空中爆発を起こす。
だが、滅茶苦茶にされた木片と、飛び交う木の葉の隙間から、もう一つの閃光が見えた。
「連射!?」
技後硬直があるなら、息吹の連射は出来ないだろうと踏んでいたが、二つ続けて撃つことは出来るらしい。
慌てて地面を蹴り、避ける。
直撃は免れたが、爆風をかなり至近距離で受けながら、俺の身体は錐揉み状態で吹っ飛んだ。
皮膚だけだが、かなり切られてしまった。
止める手段もなく、木々がなくなった草地を俺の体は転がった。
芝生を捲る跡をつけ、俺の体はようやく止まった。
それを見た空竜は、満足そうに吠えて、ゆっくりと近づいてくる。
ま、全部が全部思い通りに行くわけは無いか。
俺は妹と違って天才ではないし、あいつと違って人気者でもない。
最後のこのざまは俺のミスだな。
そう、残念イケメンと呼ばれてきた俺は、特に何も特技は持ち合わせていない。
俺は、前もってここに差しておいた魔法杖を手に持って、立ち上がろうとする。
だが、そんな俺でも、ほかの奴には負けないものがある………!
こうやって、泥臭くやられても立ち上がる!
諦めない心!執念だ!
…………………とでも言うと思いました?
俺は足を震わせ(演技)ながら、弱々しく(演技)立ち上がる。
俺、昔から運だけは良いんだよね。
運だけなら負けない。
この、偶然俺が吹き飛ばされて着地したここは、
俺が空竜を誘導したかった「ポイント」だ。
シリアスが続くと、ぶち壊したくなってくる。
病気かな?
俺達の力(運)だ!
運も実力のうちってな。