二枚目
あなたが超能力者と分かったのは、友達になった3日後の事でしたね。
僕が公園で泣いてる女の子を見かけました。
「どうしたの」と聞くと、女の子は木を指差しました。風船が引っかかってありました。
木登りは得意ではありませんが、泣いてる女の子を放っては置けませんでした。
途中、木に登ってる時にアナタが来ましたね。「何してるんですか?」って
アナタの声に僕は驚いて足を枝から踏み外しました。捕まっていた枝も細かったため、折れました。
僕は落ちました。あ、アナタの声に驚いたのは僕なので、アナタが悪いわけではありません。僕が悪いのです。
木に登ったときは、もう地面から遠く離れていました。確か3mくらいでした。この高さから落ちたら一溜まりもありません。
不意に、僕の体を何かが包む感覚が襲いました。僕は目を疑いました。それはそのはず、僕は浮いていたのです。
現実味のないことに、僕は未だに信じられません。その感覚を昨日の事のように覚えています。
アナタの方を見てみると、アナタが僕の方に手をかざしていました。
「下ろしますから、大人しくして下さいね」とアナタは手を下に下げると、僕もゆっくり地面に下ろされました。
女の子は僕以上に驚いていましたね。アナタは女の子の風船を取ってあげて渡しました。
手を振って帰って行く女の子、公園に残された僕とアナタ。しばらく沈黙したものの、最初に口を開いたのは僕でした。
「今のすごいね、あれは何?」と、今思えばあれは失礼極まりない愚問でした。
アナタは悲しそうな顔で「超能力」と短く答えました。
「私ね、超能力者なの、生まれつきの」
確かそう言っていましたね。アナタは幾多のニュースや新聞や番組に取り上げていたのにも関わらず、僕はアナタの存在をほとんど知りませんでした。
先ほども書いた通り、僕はテレビや新聞を見ません。情報に踊らされるのが嫌いだからです。
超能力者がいるのも疑っていました。ですが、当時、確信しました。「本当にいるのだな」と
僕は超能力で悩んでるアナタさえも愛おしいと思いました。しかも、この街に引っ越して、初めて超能力を見せたのが僕でしたね。
アナタは「驚かないの?」と言いました。それに対して僕は「驚いていないと言えば嘘になる、けど、そんなアナタも素敵だ」と
アナタは照れたような嬉しいような顔をしましたね。本当にアナタは愛おしい。