一枚目
あなたと出会ったのは、確か7年前の春、中学校生活最後の年でしたね。
黒塗りの高そうな車からあなたが出るのを見かけました。表情は少し憂鬱そうでしたね、悲しそうな顔でもありました。
あなたは転校生で、僕の通っている学校に来たと友人から伺っていました。
誰もがあなたを有名人のように歓迎するのが不思議でたまりませんでした。あなたのいる教室の窓という窓から男子生徒が覗いてしましたね。
僕は昔からテレビを見ないので、あなたの事は風の噂でしか聞いてません。
ですが、初めてあなたを見た時は本当に驚きました。だって、まさかこんな美しい人が世の中にいるなんて、ホント驚きです。
そして、放課後にあなたを友人を使って呼び出しましたね、クラスが違っていて、心底残念に思いました。
誰もいない赤色に染まる教室にあなたがきました。
間近でみたあなたはどんな宝石よりも、景色よりも美しいとさえ思いました。それに、教室であなたと僕、2人っきりで、さらに緊張しました。
僕はあなたに告白しました。
「僕と付き合って下さい」と、学校震わさんばかりの大声で言ってしまい、その節は本当に申し訳ありませんでした。
あなたは目を見開いて驚いていましたね、当たり前です。出会って数時間、喋ったことも、目を合わせたことのない異性から告白されるなんて思ってもみなかったことでしょう。
断られました。当時、僕は泣きそうになりましたが、今思えばただの笑い話です。
「お付き合いするのは難しいですが、友達ならいいですか?私、転校したばかりで友達がいませんの」
それを聞いた僕は死んでも良いとさえ思いました。
「喜んで」と答えた僕はあなたがまだ超能力者である事はまだ知る由もありませんでした。