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踏み鳴らせ現実

作者: きなみん

 長く執筆するための練習だったりします。大体推敲もしてみたのですが皆さんが納得する出来だと言えばそうではないかも……自信はないなぁ。


 プロットはちょっと練ってはあるのですが続くかなぁ。続くようでしたら連載してみたいです。


 いまもうひとつの方「マジ恋」が行き詰っているので、……執筆しようとしても続かないんです。実力不足のまま執筆してしまったマジ恋なのですが、取り敢えず話の構成を直してから投稿したほうがいいかなって思っています。

 

 ──脳裏にチラつく。

 そこには何もないし、存在しない空間。

 無自我と機能しない身体が多々あるだけで、無上の世界が広がるだけだ。

 有無とは言えない。有るもの無いものが混合している。

 矛盾していた。

 立ち尽くす数多の身体は既にヒトとして大切なナニかが失われていて、忘却の彼方に飛んでいる。

 幾多の綻びが身体中に出来ていて、ボロボロと輪郭を崩していき──いつかは消えていった。




 肌を熱する陽光は揚々と降り注ぎ、陰が濃く映し出される風景は大勢の人間に埋め尽くされ、情景の美しさを消しているかのようだった。鮮やかな緑が生える場所には少しばかり残念である人造物があって、これはまた自然が呻いているようにも感じられる。

 蒼穹の天を仰げば手のひらから腕までの日差しが遮られた。首元に吊れ下がっている硝子のような石がチラと輝く。

 短髪に切り揃えられた日本人の特徴、黒髪は反射して発光したように照り返していた。

 眩しい燦々の太陽に愚痴の一つや二つ申し上げても宜しいか、等と他人に思考を覗かれたら恥辱の色を満面の笑みで隠すくらいの勢いで大変な思いをする俺の名前といったら別段気になって訊くことはないけれども、時分の状況を把握できるできないならば意味がないって理解するのではないか。施設であるこの場に居る自分に最高のエールをぶつけたい。

 頑張れ俺。

 真っ直ぐに整列させられた──同期というのだろうか──同期の若い者たちはピシッと擬音が響くのではないかと疑ってしまうほどの精巧さを、目の前のダンディーで精悍のおじ様に見せつけるよう、我こそが! なんて顔色窺えば解るくらい面々に押し出してアピールしている。

 まさに自分を売る場が今なのだろう。

 食事や睡眠だけを扱う巨大な建物の前面に数千人は並んでいる為、それはもう、壮観の眺めであろうことは見なくても想像できよう。宛ら進軍時分(行進時)のようでもある。

 今強制徴集による全国民の何割かは、不思議な力を持った人間であることに意義がある。故に覚醒に近い能力であるとそのまま国に引き取られ、家族は万歳そこの子供も親孝行できるぜみたいに金が貰える。更には国の一角に上り詰めることができる人間は一生遊んで暮らせる巨万の富を貰える為、強制徴集といった言葉でなくとも集まりはするのだ。


「1993番イチヤ=シノハラ減点2」


 どちらにしてもこれは可笑しいと笑えるのだから俺は普通だ。

 未然に防ごうとすれば出来た拳。けれど思考の中には“防御”の言葉は“何か”に抑制されたように、身動きが出来なくなっていた。

 攻撃→脳で判断→神経に伝達→防御の筈なのに、じいさんの敵意ある右のストレートを見逃した。

 理解出来ない。

 咄嗟の判断で“防御”を選んだのが間違いであったか。

 そんなことは思考出来るのに、どうやったら今のあやふやな状態がつくれるのか。

 それは置いといて、背中から芝生へ落ちた衝撃はそれほどの威力ではなかったので激痛ではない。顔をしかめるくらいだ。


「──動くなよ小僧」


 成る程。

 空を仰いだからたれたと。そういうことなんだな。


「わか……りました」


 口調も矯正しておかなければ不意に言葉が雑になること間違いない。

 しかし、先程の攻撃はどういった仕組みなのだろうか。

 ん、まさか。

 『意思を抑制をしてしまう』なんて不思議な力を使うのではなかろうか。それなら俺の身体に命令をしているのか、脳に命令しているのかが重要になるかもしれない。

 後者は簡単。考えないで意思とは無関係に動けばいいのだから。……出来るか?

 身体に。とかだったらまず反対のことをすればいいので、取り敢えずは脅威になりえない。

 憶測の域までの予想なので、決して当たりはしないだろう。


 篠原一弥。

 自分を証明する唯一のモノである。名前から解るように日本人だ。

 けれど人種が解ったとて記憶がなければ──いや今は話す時ではないな。

 安易に文字まで晒されれば呪いに懸かる可能性も捨てきれないので、こちらのように苗字を後ろにしている。更に漢字から異世界文字に変換したので呪いの類いは受け付けない。まぁ今はそんなことどうでもいいのだ。

 異世界に呼び出されたからといって召喚師が誰かもわからない。だから異世界に滞在、漂流のほうが合っているか。三年間は森の中で俺を拾った魔法使いが育ててくれたのだが、そこからの情報だと召喚するに至っても人間を呼び出す魔法はないということが解っている。魔法使いの異端には死者を召喚し操る魔法使い(ネクロマンサー)もいるらしいが、生者を召喚する術は存在しないことからそういった魔法がないことを推測した。文献に載っている筈もないのでホントに予想だ。

 魔法といえば人には手に余る奇跡。無から有に変換する──等価交換してないじゃんと思うけど魔力で補うんだとさ、解らん──ポピュラーの術といえば火や水の初級術であり、風なんかも理解しやすかったりする。

 そんな魔法であるが、俺には使えない。

 異世界の住人でさえ魔法使いが極少数のうえ、地球に魔力があるとは思えないし、そういう異常なモノは隠蔽とか改竄とかされてる筈だ。なら一般人であった俺が知るよしもない。

 不思議な力に魔法は含まれていることを言ってなかった。

 全ての魔法使いは先天性の異変みたいな症状を抱えて誕生する訳みたいだから、後天的に魔法使いに成り上がるとどうなるのかを研究した者がいる。過程は文献に記されてはいなく、結果だけ世に渡ったらしい。つまりは不思議な力を自ら手に入れなければ、死に値する代価を渡される。

 魔法使いは強大な暴力で一対国を為せるらしい。

 手に余ると婆さんは嘆いていたっけ。蹂躙だもんね。

 ──婆さんは生まれつき目が見えない人だったらしい。代わりに身に纏う雰囲気でその人物が善か悪かを判断出来る。魔法でも同じ効果を得られるらしいが、デフォで解る婆さんは桁が違いすぎて凄い。

 まあそれで、無理に成ろうとした身体が破裂すんだとさ。

 肉から血管から魔力に暴発して、反発して血が塞き止められて命を落とす。

 ぐちゃぐちゃ。

 骨とかは中身が空からになるとか。

 対象にされた人は健康体であったことから、魔力は生まれつき魔法使いにしか使えない。

 それが結果である。


「────」


 始まったようだ。

 一般人が集められたこの場で何が起こるのか解らないが、大体は不思議な力を覚醒させる為に危険な綱渡りをしなくてはならないのだろう。

 魔の森にいた婆さんに告ぐ。

 生きて帰ってやんよ。

 この研究だけで婆さんは数年も生きていられるんだ。俺を養った数年は返せる筈。今にも幾銭の金が届いていることだろう。

 止められたが、これは恩返しとともに異世界で生きていく為の先駆けである。一石二鳥だ。

 不思議な力が覚醒したら一石三鳥だけどね。

 ……んで、これはなんの演説?


「今この場にいる皆の衆に告げる。我こそ未来永劫の王、神より天賦を授かり、数多の試練を乗り越えた最古の────」


 中二病患者がいる。右手が痛むだんて生易しいもんでもないぞ。

 ファンタジーだから仕方ないのかな……。

 痛い。

 世界の邪気眼を持つものたちが集うみたいに果てしなく痛い。

 憐れみを含んだ眼をしながら暫く聞いていると、そろそろ演説の最後のようで盛り上りが最骨頂になった。周囲の人を見渡すと、それはまあ未来に栄光を感じてる若者が強い意志を目に貯めて、ある一点を見ている。

 中二王だ。

 どこかしこも疑っていないし、緊張を孕んでもいない。

 不思議な力、不思議な力。この異世界の人間が持つ潜在能力は破格過ぎる故、簡単に死が蔓延る世の中。覚醒したとしても扱い切れずに能力の暴走、巨大すぎる能力の暴風に呑まれ内から破壊。周りを巻き込むのも少なくない。

 能力の手綱を掴めば国に仕え国の繁栄に手を尽くすこととなるが、一度の失敗は死を招く。ことそこに辿り着くは極細い綱渡りを続けるのだから、ホントに少数過ぎる。

 だからか。徴集にこれだけ集められる訳は。金はどこから賄わているのか甚だ疑問だがそうは言ってられないのもこの世の現状であり、現実。

 先ずは、能力を手に入れる。それこそが第1の決定事項。

 何がなんでも不思議な力は欲しい。

 攻撃系統の能力だったら戦争に駆り出されるが、ここでも想像を越えた異常は世に憚られる。

 手綱を曳けない王に従う獣はいない。


 大地を踏み鳴らす数千人の行進が開始された。

 未だに陽光は強く輝き、未来に希望を持つ若者を天から照らす。

 待ち受けるは現実の無情。打破できるのは一握りの異常。

 遊園地の順番待ちのように整列をさせられているのに苦笑いを浮かべる。

 ここから篠原一弥の小さな世界は広がる。

 それに鼓動して胸元の硝子は嬉々として跳ねていたように見えた。

 それが間違いなどと誰が解るか。


「──あっ?」

 またか、と思う。

 気付いたら病室にいるという不可解な現象。

 確か、能力が覚醒して。

 ──うなじ近くがチリチリと疼く。

 忌避、嫌悪感はない。

 しかしだ、気だるい肢体が鬱陶しい。全身に血液の行き渡らない感覚が気持ち悪い。無理に動かせば貧血で倒れるような失態をする運命を感じる。

 取り敢えずは呼吸を繰り返して心を落ち着かせよう。それが自分に出来る最大限のモノだからだ。

 それから周囲の状況を逸早く把握。

 成る程だ、病院特有の薬の臭いが充満していて鼻をつく。

 家具、調度品が白皙に統一された空間は一種の趣があり、確かに興奮した内心に落ち着きを促していた。カーテンに遮られて全容を把握出来ないのは痛いが、ここは戦地ではないので気を張る必要も無いのかも知れない。


 ──脳裏に浮かぶは無上の世界──そこには何もないのに──何万の魂が抜けたような──


 はっきりと見えた。

 ボンヤリとしか視認出来なかった世界が。

 首筋から背中まで冷や汗の滝が流れる。

 ……気付けば時が止まったように思考が働かない。ずっと知らない、うやむやな世界を考えていたようだった。これでは能力の発現に時間がかかるかもしれない。

 知らず溜め息を吐いていた。

 はっとし、無意識の行動に苦笑が漏れる。


「俺は、何をして──」


 この独り言は自分の内に仕舞っておこうとする。弱音は自分らしくないのだ。

 だというのに、


「能力の覚醒に於ける一種の体力低下が著しい。解放時の状態が堪えられなくなった身体の器官が不安定のそれを危険に晒すことにより、強制的に貴方を気絶させた。そんなところでしょうか? 確かに、自分が知らぬ内に病室いたら不可解でしょうね。何を、といえば、……医療室に運ばれて安全を確認された上で、病室に移動されたんですかね。いやはや心配しましたが、無事に済んだし、平気そうで何よりですよ」


 独り言に答えているバカがいる。言ってることも長ったらしい。

 俺が視線をカーテン越しの人物に向けると、相手は落ち着かせる遮断具を横に引いて顔を見せた。

 第一に覚えがある顔立ちをしている。

 そいつは、ベッドの傍らに添えられた丸椅子に腰掛け、俺をじっと眇めている。居心地悪く感じ、佇まいを正そうと腰を引いて足を伸ばして座る。

 又もや、溜め息として生産されたシアワセが逃げた。この際、普通に幸せ=溜め息の式が浮かぶが、煩悩を振り払い相手を改めて観察した。

 鮮やかに仄かな光が照らす黄金の生糸の下方に、偽善たっぷり撒いた粉にまみれたのか、嘘っぽいつらを携えているにも関わらず女子に人気そうな雰囲気を纏う微妙な人間は他ならない、婆さんの知り合いである。いったい何歳なのか、婆さんが子供の頃から知り合いと口にしているから齢七十は越えていると踏んでいる。

 しかしだ、こいつに歳は関係ない。

 所謂人間から昇華した存在──精霊というが、実体のある幽霊みたいな存在と認識してくれても構わない。

 はしょり過ぎたか不安に刈られたが、説明するにも面倒な存在であることは確かであり、苦手にしているのも確か。


 その男の容姿を説明するに、口をすぼめるのは容易だったのだが……。

 どうしてここにいるのか、そんな疑問は既にない。答えは神出鬼没の幽霊と同じような理由だから。

 今度の溜め息は深い。






 カツンカツンと長靴ちょうかの踏み込んだ音が反響した。

 施設の廊下をこのまま真っ直ぐ道なりに、そこには病室が位置している。薄暗く明かりのない廊下は気分を乗らせないというか。人影すら前に出ないので奇妙なモノを見たようにシルラは眉間をしかめてみせた。

 色素が抜けきったくすんだ髪と光を写さない濁った瞳は彼のトレードマーク。ボサボサの髪はキューティクルが皆無で太陽は反射しないし、洗うにもパサつく。

 寝ぼけ眼のように細めた先には鉄扉がある。奥にはあの人が寝ているかもしれない、チャンスだ。果たして何のチャンスか。

 扉に手を掛け、


「────、」


 病室までの道程をどんな過程にて進んだのか記憶はすっ飛んだ。

 思考回路が焼けた。上手く脳味噌が回転しない。

 笑いよりも先ずは心配をしてしまうというそれ。

 そこには磔にされた篠原一弥。

 誰が予想しただろうか。能力の覚醒時に倒れた人物が十字架よろしくの磔である。

 この個室の空間は静謐に守られていることから、一弥はこの場を作った誰かにこのような状況にされ、気を失われたといったところか。

 冷静に思考できるのは驚愕を通り越したからなのか……そこは定かではない。それにしても、先程倒れた人にする対処ではないことは確かである。然るべき療法による診察で体を休めなければいけない──

 そこまでしてシルラは長考していたのに、はっとした。


「シルラ」


 自分の名を呼ばれ、硬直したシルラ。

 これがアサシンやらの類いであったら瞬きの間に殺されていたであろうが、そんな者はここにはいない。しかしその人物が冷静の声音であることから一弥を吊るしたのは──考えながらも振り返り表情を驚愕に染められた。


「……アルムネイル?」


「久しぶり、シルラ。いや、貴方と会ったのは幼い頃ですから忘れていても仕方ないとは思っていたりしたのですが」


 そこには、かつての戦乱を駆け抜けた父の同士であるアルムネイル・スマナ。

 そして英雄の同士。


 ──剣士シーガ。

 ──魔法使いアルタ・アーミー。

 ──理由は知らないがシーガに着いていったアルムネイル・スマナ。


 存在していてしていない、儚くもある、そんなモノが浮かんでいた。


 アルムネイル・スマナが亡くなった報せを聞いて唖然とした父を思い出す。蒼白に染められた顔面に虚ろな瞳は忘れられない。それでも英雄であったシルラの父、シーガは一日で立ち直り引退したからと始めた畑仕事をしていたが。


「……お久しぶりです。父が嘆いていましたよ」


 シルラも思うところがあるだろうが、一旦目にしてしまえば実体なのかどうかは判断出来る。

 アルムネイル・スマナは既に死んでいる。


「いやはや、シーガは田舎に帰り、連絡のしようがなくてですね。ここでシルラを見付けたのは偶然の行幸」


 ──ニコ。

 張り付けた笑みは慣れない、辺鄙な田舎に帰ったシーガも苦笑いを浮かべながら息子のシルラに話していた。

 そんなことより、


「あ、私が何故施設にいるのか、気になります? なりますよね。気にならないとか……」


 シルラは理解した。

 だから一弥が磔にされたのかを。

 たったそれだけの理由で、全体を拘束された一弥には同情を禁じ得ない。

 泡を噴いている彼に黙祷をしたかったが、先ずはアルムネイル・スマナを処理しておかないと一弥のようにされるのは一目瞭然。さてさて、このような場にいる理由を聞かなくては……、そんなことを考えながらも違うコトを疑問に思う。

 何故アルムネイルは姿を表した?

 だが、疑問に答える者はアルムネイル自身以外いないのだ。

 身を縮めて聞けば訊けることも多々あろう。


「まあ、言いませんが」


「────」


 は。口をそうして目を開閉するシルラを見て満足気なアルムネイルは、さてと一呼吸を入れてから軽く微笑みを浮かべ、言った。


「イチヤは頼みました」


 怪訝そうにシルラは眉を潜めたが、英雄アルムネイルが頼むということは一弥を見ていることが出来ない状況下にあるのを示唆している。それに一弥はシルラの友達であるからして、頼まれなかったとしても一緒にいるのは確実だ。

 故郷を飛び出した身からは何もない、あるのは友達のみ。父の背中を眩しく思っているだけの英雄の息子とは決別の意思での家出だから尚更であり、そうも一弥との馴れ初めは家族の繋がりが寂しく思っての共同戦線みたいなものだ。このまま一緒にいることは別段可笑しくない。


「わかりました」


 アルムネイルは嬉しそうに頷く。

 シーガの息子は優しく育ったのを感じ取ったのだ。この子ならイチヤを任せて──


「ではお暇しますか」


 空気が若干震えた。震動が一室を包むように、魔力とは根本的に違う力がアルムネイル・スマナに纏われた。

 不思議な力。

 個人個人、多種多様の隠された能力。

 未曾有であると錯覚させるその力の波動は人を撫でるかのように柔らかくもあり、異質を凝縮した禍々しいものでもあった。


「また会いましょう。シルラにイチヤ……。

 そうだ、彼にアルタ・アーミーが心配してると話しておいて下さい」


 アルタ・アーミー!? 目を見開いたシルラを最後に見て、掻き消えた。とても満足した口元は忘れさせてくれないらしい。

 そして、残ったのは、磔のイチヤと思考に呑まれたシルラだけだ。

 ──助けろよ。そう一夜が呟いた。話している間に気を戻したようだった。


・・・・・・・・・・・以下ネタバレ・・・・・・・・・・・


 主人公。

 篠原一弥。

 異世界に何故か飛んだ高校二年生の少々普遍的な青年Aとして毎日を生きている。しかし最近は身に覚えのない行動や思考をしてしまう為、何か異世界に来て不具合があったのかと不安でたまらない。

 一般人だと豪語しているが、心の内では他人に嫉妬や殺意、羨望を抱いていて何故自分は才能がないのかと嘆いている。確かに彼は才能が皆無であり、何をしてもアダ名はノビタ君だった。グータラと違うところは、勉学に励み努力をしている点。

 上には上がいる、それが彼の憎悪を更に膨れあがらせている。

 取り敢えず、能力名は『有りとあらゆる経験を蓄積させる能力』。

 言葉の通り身に付けた物の持ち主の経験を模倣する能力。身に付ける物だったら何でもかんでも力にしてしまう。

 武器の類を持つなら、それを扱った人物が何れだけ達人だったかが経験のレベルを上下する。

 篠原一弥は他人の長けた才能を恨んでいるため、このような能力になってしまったが、本来は『全てを奪う能力』。

 所謂ランクダウンをしており、能力の本質を見出だせなかった為に齟齬が生まれた。

 チートなのは能力だけで、経験が体躯に合わさらない。運動神経が間に合わないのである。

 蓄積された経験は無くすことなく継続されるが、以前の経験以上の物だと上手い具合に更新され、良いとこ取りになる。

 この能力には裏があり、対象が人間または生命体の場合殺すことで奪う事をしないと経験は奪うことが出来ない。しかしこれは肉体を奪うことと同位の為に、肉体がより対象に近付く。更新は激痛とともに上書きされ身体を一新する。

 あくまでも経験なので知識が更新されることはない。

 何故このような能力なのかは、ありとあらゆる才能が憎い一弥の願望が『その能力が欲しい』というものだったからで、反映されたらこんな感じかなと思い想像した結果です。


 一弥は何故異世界にきてしまったのか?

 昔の話。

 次元の魔法を婆さんが戦争時に使い“生命を刈り取る”カタチで終結した。

 その過程は易々口を開けるものではない。

 婆さんの力は、軽々しく命の破片を瞬く間に魔力に変換し大魔法を扱う糧にする。魔法使いは何かのエネルギー体を魔力に変換し魔法を使役する者のことで、戦争時は命が金より軽かったために次々と魔塊を製造した。

(魔力さえあれば異次元に飛ばせる)

 婆さんはもう人は殺したくなかった。しかし、どうすることも出来なく──地球にパスを繋げ、どいしようもない現実に呑まれ促され、送った。

 時間差異の影響で、地球は大昔のことなので文献には載ってる筈がない。

 魔塊も婆さんは持ってる必要もないので異次元へ飛ばした。

 結果。

 魔塊は地球に送られ、篠原の父親が拾ったのを一弥は貰った。

 異世界の一端に触れた一弥は能力の成りかけである『主の力を手に入れる能力』が発動し、森に隠居した婆さんに拾われる。

 勿論過去の大戦に出頭していた婆さんなので硝子の石の正体は解った。

 そうして魔の森に住むことが決まる。


 穴がありまくりなので後で直していきたいです。







 マジ恋あるのにどうしようかな……。

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