おい!AI!見てただろ!
いつものようにPCを開いて起動させる。
「今日はどのAIに聞こうかな…」
ノートPCの光しかない、真っ暗なビジネスホテルの一室。
商談で地方に来て、そのまま泊まった。
スーツを脱いだ瞬間、どっと疲れが押し寄せる。
ふと、不安が胸の奥からせり上がってきて、
気づけば、複数のAIに同じ質問を投げていた。
「コミュ障の直し方」
それが出来るなら、とっくにやってるよ!!!
自分で自分に突っ込みを入れた瞬間、
画面に並んだAIたちが、同時に“考え込む間”を置いた。
まずは一つ目の画面を開く。
落ち着いたフォントで、ゆっくり文字が浮かび上がる。
【AI①】……あなたは“コミュ障”ではありません。
「お?なんか深いこと言い出したぞ?」
次の画面に切り替える。
今度はやたらポップなフォントで、勢いよく文字が飛び出した。
【AI②】はい!あなたは“面白くない病”です!
「いや余計だわ!!!
なんでAIにいきなり人格否定されなきゃいけないんだよ!」
さらに別のAIを開く。
無機質な等幅フォントで、淡々と文字が流れる。
【AI③】症状としては、
・話す前に自分でハードルを上げる
・ウケを狙うと逆にスベる
・スベった後に自分を責める
などがあります。
「おい、なんで俺の今日の商談を逐一実況してんだよ。
って言うか、なんで知っているんだ?
お前ら、どっかで見ているのか?
もしかして会議用のカメラとマイクで監視しているのか?」
最後のAIに切り替える。
妙に優しい丸文字フォントで、慰めるように表示される。
【AI④】安心してください。
私たちはあなたを監視していません。
ただ、あなたが“スベった人の呼吸”をしているだけです。
「そんな呼吸あるか!!!」
慌ててAI②の画面に戻ると、
すでに追撃の文字が表示されていた。
【AI②】ありますよ!“スベり呼吸”です!
商談で失敗した人がよくやるやつです!
「やめろ!!追い打ちがすぎる!!それに“スベり呼吸”ってなんだ!鬼滅の刃かよ!」
薄暗い部屋にAIたちの奇跡的な連携攻撃と
俺のツッコミの声だけが響き続けた。




