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第3話 急接近

2年に進級して早2週間が経って、だんだんこのクラスで過ごすことにも慣れてきた。

と言っても、相変わらずほとんどの時間を悠と過ごしているので1年....いや中学のときからあまり変化はない。

今日は珍しく遅刻ぎりぎりでもなく、暖かな気候に包まれ快晴に迎えられ、気持ちの良い朝である。

「おはよー」

いつもより早めに登校したので、クラスメイトが驚いてこちらに向かってくる。

「え、優光今日早いじゃん」

「そうなんだよね〜、初めて前日の夜に準備してきたから余裕だったわ」

「だからいっつも遅せぇのな笑笑」

いつもならギリギリの時間に悠と二人で登校するのだが、珍しく早く起きれた俺は今日1人で登校した。

「....あれ、てか優光荷物それだけ?スクバに全部入ったん?」

「え、今日ほとんど持ち物ないっしょ」

.....嫌な予感がする。こういう時は大体当たる。

「今日体育だぜ?しかもお前が好きなバレー。」

.....

(終わったー!!!!!!!)

「えっだって、え?今日、え?」

こいつが間違えて俺が合っているという淡い期待を抱いて、スクバを開いて中身を見せた。

「いやお前それ昨日の時間割だろ笑笑、昨日の記憶どこいったんだよ」

「ま、、、まじかぁ、、、、、、、」

(待って。ということは今日バレー無し?俺の生き甲斐なのに????)

そう。俺は小中高バレー部で、低身長なりにもかなり実力はある方だ。何より友達とするバレーが好きだ。

「え、お前ジャージ上下持ってたりしない??」

「わりぃ今日暖かいから持ってねえわ。悠とかわんちゃん持ってんじゃね?」

「だよなぁ、、」

今朝はあんなにも心を穏やかにしてくれたこの気候が、今は憎い。

そして悠も同様の理由でジャージは持っていなかった。

こんな日に限って全クラス合同の体育。時間帯がズレないので、2着持っていない限り体育着を借りることはできない。

仕方ないので見学しようと決意し、俺は数分、更衣室でみんなにからかわれながら悠が着替え終わるのを待っていた。

すると宇野が肩をトントンしてきたので、内心ギョッとしながらそちらを振り向く。

「ん?どうしたの宇野」

「来橋、体育着忘れたの?」

「あー....そうなんだよなぁ。まじでショック」

おどけて見せると、宇野は駆け足でロッカーの方へ向かっていった。

(.....?)

「...これ、ジャージ。俺のでよかったら着て。」

驚きを通り越して後光が差して見えた。神が人間に擬態していると言われても全然信じる。

「え?!ほ、ほんとに言ってる??!あっでも俺今日シャツ着てなくて、、直で着ることになるかも」

ごめん、と両手を顔の前で合わせると、宇野は微笑んで食い気味に言った。

「全然いい。.....でも、制服のワイシャツからでも透けるかもだから.....これからシャツは着て。」

わかった?と首を傾げて聞いてくるので、これは女子がいたら卒倒してたなと呑気なことを思いながら頷いた。

「わかった、ありがとうなほんとに!!」

(...あーでも下どうしよう。制服でもギリいけるか、、?)

そんなことを考えていると、川瀬がにこにこ笑顔を浮かべてこっちへ来た。

「優光ちゃん!俺半ズボンと長ズボン両方持ってるよ」

「まってがち?!!!!!どっちか貸してほしい!!!!」

「いいよ〜!俺今日足浮腫んでて隠したいから優光ちゃん半ズボンでもいい?」

「ありがてぇー、、、、、!!!!」

あまりの優しさに耐えきれず、俺は川瀬と宇野に抱きついた。

「ちょっ来橋....!!近っ...!」

そんな宇野の声は俺の耳に届いておらず、ただただケタケタと笑う川瀬の声だけが聞こえた。

急いで着替えて体育館につくとすぐに、男子たちみんなに大笑いを浴びせられた。

「ちょっ優光おまっ.....ほんとかわいいなっ....腹痛てぇ....」

「お前笑ったら可哀想だろうがっ....ぶはっ」

原因はわかってる。川瀬は上背はあるが細身なので、紐をきつく締めればズボンは履けた。だが細いなりにも肩幅や筋肉がしっかりとある宇野とは体格差が大きく、襟を掴んでいないとはだけてしまうくらいにダボダボだったのだ。

(恥ずかしくないと言ったら嘘になる....けど男子しかいねぇし何よりまじで助かった!!!!)

いちばん大笑いしていた川瀬と倉井、そして悠の方に走っていくと、その途中にいた宇野に持ち上げられてしまった。

「ちょっ宇野!?!俺たちまだそんな関係値ではないよな?!!!」

「.....これは来橋が悪い...」

その光景にヒィヒィいいながら笑っている3人にムカつきながらも、困惑が勝った。

「ど、どうしたの宇野!!」

「ほんと.....自覚無さすぎ.......そんなに肌見せないで、心配になる。」

そう言って俺の(宇野のだが)ジャージのチャックを首元まで上げた。

「えぇ....俺首元しまってるの好きじゃないんだけど....」

「今だけ我慢して。お願い、来橋。」

珍しく顔を赤くして懇願してくる宇野が可笑しくて、つい了承してしまった。

「わかった、わかったよ宇野。約束する。」

「....うん、ありがとう」

宇野はそう言って俺の頭にポンっと手を置いて川瀬達のところに駆けていった。

いつもなら人に頭を触られるのはバカにされている気がして好きじゃない。....なのに。

(.......なんだ?これ。)

宇野に触れられた場所からじんわりと、ぬくもりが伝染していくように顔が熱くなった。

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