まこくいん
この物語は、魔法ゼロの少年・鷹村カイを追う。
1999年、人類の66%が鬼へと変貌したことで侍が再び刀を握った世界。 カイにはただひとつの夢がある。 「俺は最強の侍王になる」
同じ15歳の仲間、 明賀レンと久仁ミラ。 そして22歳の師匠、 破天荒で最強格の柏木雷電。
東京は、彼が王となる場所か。 それとも、すべてを呑み込む鬼の都か。
サムライハンター、開幕。
1998年1月5日、東京・日本。
六本木事件が始まったのは、午後7時44分頃だった。
人々はいつも通り穏やかに歩いていた。空は完全に暗くなり、星が輝き、冷たい風が人々の服を揺らす。気温は1℃。肌を刺すような寒さだった。
突然、森タワーの屋上に灰色の髪の男が立った。
夜に赤く光る瞳、ひどくやつれた顔に深いクマと膿の滲む傷。服はなく、黒いボロボロのズボンだけ。靴も履いていない。筋肉質ではあるが過剰ではなく、腹筋がうっすらと浮いている程度。
彼は周囲を見下ろす。
母子連れ、マンガを買う若者たち……日常の風景。
乾いた声で笑い、赤い茨の冠を頭に載せた。
「さあ、災害を始めよう」
男は真っ直ぐ下の車に飛び降り、車を真っ二つに割る。中の人間は即死。
その背後には四つの影が立っていた。
第一の影
極端に長い人型。腕と脚は異様に細く骨張っている。白い髪が顔を覆い、肌は真っ黒。瞳は白く、虹彩は黒。
名を「水神スイガミ」という。
第二の影
目が深く陥没し、完全に黒い空洞。異様に大きく引き裂かれた笑み、歯が丸見え。頭は長さ35cm、幅13cm程度。完璧に結ばれたツインテールが不気味な可愛らしさを演出する。
腕は異常に長く、手首も手も存在しない。汚れた黄色い包帯で巻かれている。ボタンのついた病人服だが、腹部には巨大な血まみれの穴が開き、黒く腐った肉と汁が溢れている。脚は完全に萎んでいる。
名を「今ちゃん(イマチャン)」という。
第三の影
異様に変形した人型。身長4メートル。体は黒くボロボロ。目は陥没し死んだように虚ろで、下顎と顎が異常に長い。四つん這いで這う。
名を「長すぎる奴ナガスギルヤツ」という。
第四の影
体は黒い綺麗な包帯のようなもので幾重にも巻かれ、円柱形。まさに生きている繭か杭のよう。腕は包帯の不思議なポケットに突っ込まれ、脚も包帯でできている。頭は白く滑らかで長い仮面のよう。目は巨大な空洞で底が見えず、口はない。完全に無表情。
名を「黒鴉静間クロガラス・シズマ」という。
「行くぞ、原初の魔物ども」
赤い茨の冠の男――魔王が言うと、四体の原初の魔物は跪いた。
特別区の破壊が始まった。誰も抗えなかった。
翌年、1999年10月31日。
「妖魔滅却侍団」と呼ばれる侍たちが帰還する。
「人類の21%はすでに魔物です」
日本の総理が執務室で告げた。
六本木は完全に壊滅した。
――24年後。
白髪で緑色の瞳、身長169cmの14歳の少年。髪は外側に跳ね、額に少し落ちている。
名前は高村海タカムラ・カイ。
一緒にいるのは同じくオタク全開の友人二人――伊藤コナ(イトウ・コナ)と鈴木ロコ(スズキ・ロコ)。
「それ何?」
海が聞くと、コナが大きな包帯を解く。
出てきたのは黒い球体。閉じた二つの目がついている。
「封印された魔物だよ、海♡」
コナがクスクス笑う。
「昨日コナと一緒に見つけたんだ~」
ロコが大げさに怪談口調で言う。
海が笑う。
「いやマジでどこで拾ったの?」
コナが急に真顔になる。
「マジで。侍ハンター側のエリアでロコと見つけたの」
「……で、それ俺に何の得があるの?」
コナがニヤリと笑う。
「これでオカルト部が一気に有名になるじゃん!」
海が半目になる。
「本当にそれで有名になると信じてるの?」
ロコがちょっとムッとする。
「当たり前だろ海!」
海が苦笑い。
「はーい、ごめんごめんコナ。でもさ、実は――」
そこに体育教師が乱入。
「ダメだ高村!お前は絶対にサッカーかバスケかバレーに入れ!」
「なんでですかよ!俺スポーツ興味ないっす!」
「だってどこに出してもバケモンなんだよ!」
海はため息をついて教室を出る。
午後5時、すでに日は沈んでいた。
帰り道、黒髪に紫の瞳、色白、177cmの少年が立ちはだかる。
ジャケットのネームプレートには「赤賀蓮アカガ・レン」と書かれている。
「お前、コナとロコの友達だろ!?」
「……はい、で?」
蓮が真剣な目で告げる。
「今、魔物物件を開けちまった。魔物が出る可能性が高い」
二人は目を合わせて即座に学校へ走る。
――9分前――
コナとロコが期待と恐怖の目で封印の包帯を解いていた。
包帯が解けると同時に、巨大でグロテスクな魔物が飛び出し、二人は悲鳴を上げて保健室へ逃げ込む。
海と蓮が学校に到着。
海が窓を蹴破って飛び込み、蓮が続く。
保健室の中――
ロコの顔はもう見えない。コナは意識を失い、右脚が完全に魔物に吸収されかけている。
海の目が怒りで染まる。
蓮が刀を抜く。黒い刀身。
「火の術・鋭倍増!」
刀が5本に分かれ、目の前の魔物を一気に貫く。
「魔力消費少なめ……」
小声で呟く蓮。
海は素手で突進。異常なスピードで雑魚魔物を殴り潰す。緑色の血が飛び散る。
大元の大魔物に到達。蓮と連携し、最後に海が渾身の一撃を叩き込む。
大魔物の残り全部の魔力が海の体内に流れ込む。
首に魔の刻印が浮かび、海は苦痛の叫びを上げる。
目を開けると瞳は真紅。刻印は幾何学模様のタトゥーのように広がる。
だが海はそれを抑え込み、刻印は肩の小さな点にまで縮んだ。
そこに現れた男。
緑がかった薄い金髪の短髪、青い電撃のような瞳、いつもニヤけた笑顔。黒い服に黄色い刀を差している。
柏木雷伝カシワギ・ライデン
蓮の頭を軽く叩く。
「お、ようやくシャイ克服したな?」
蓮がため息。
雷伝は地面に座り込む海にしゃがみ込み、ニッと笑う。
「やあ坊主、侍になりたい?」
海の目がキラキラと輝く。
「なりたいです!!!」
雷伝の笑顔がさらに広がる。
――1日後――
雷伝が白と青の羽織を手渡す。
海が嬉しそうに着る。
「カッコいいっすね雷伝先生!先生のも!」
雷伝は水色と黄色の羽織。
「先生はいつだってオシャレだからな♪」
蓮は黒と紫の羽織でため息。
海がニヤニヤしながら言う。
「�Record、似合ってるよ」
「うるさい道化」
雷伝が立ち上がる。
「じゃあ若者たち、新メンバー迎えに行こうぜ。秋葉原から来る子だ」
電車から降りてきたのは、灰色の髪に白いまつ毛、黒い瞳の少女。
海、蓮、雷伝を見た瞬間、飛びついて抱きついた。
「よろしくね仲間たち!!」
海が笑顔で返す。
「よろしく新メンバー!」
蓮は無表情で一言。
「うるさい」
雷伝が笑う。
「ようこそ、国見ミラ(クニミ・ミラ)」
次回予告 第2話「初めての危険な試練」
お楽しみに! 気に入ってもらえたら嬉しいな! インソ君より愛を込めて~! ;)♡




