表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/97

36話 最終決戦へ


異次元の回廊は、精神まで蝕むような混沌の奔流だった。ゼファーが生み出した思念体のガーディアンたちが、連合艦隊の行く手を阻む。だが、今の彼らは烏合の衆ではなかった。リアム侯の的確な指揮が艦隊を統率し、諸侯の船が己を盾にして黒龍号への道を開く。

回廊の終着点、脈動する巨大な繭を背に、ゼファーが待ち構えていた。

「来たか。愚かな者たちを引き連れて」

「父さん!」アキトが叫ぶ。「あなたのやっていることは、母さんが最も望まないことだ!」

「黙れ!リアーナの心を、お前が知ったような口をきくな!」

ゼファーから放たれる神の力の奔流。しかし、アキトとカーラは怯まなかった。二人は背中を合わせ、互いの死角を完璧に補い合う。アキトの荒々しくも鋭い剣閃がゼファーの防御をこじ開け、その隙間をカーラの疾風のような拳撃が縫っていく。

「双竜閃!」

二人の力が合わさり、竜巻のような連撃がゼファーを襲う。だが、神の力を宿した父はあまりにも強大だった。二人の猛攻をいなしながら、ゼファーはアキトの動きに一瞬、父親としての情を滲ませた。その僅かな隙を見逃さず、クライブの放った狙撃がゼファーのバリアを貫き、カイルの星霊フェルンとリョーコが生み出した光がアキトとカーラの武器に宿った。

「「うおおおおっ!」」

仲間たちの援護を受け、二人の力は極限まで高まる。激しいつばぜり合いの末、アキトの一撃がゼファーの体勢を大きく崩した。

「今よ、アキト!」

その懐に、カーラが閃光のように飛び込み、彼の胸元で禍々しい光を放つペンダントを、その手で掴み取った!

「やった…!」

ペンダントを奪還した安堵も束の間、ゼファーは血を吐きながらも、狂気の笑みを浮かべていた。その瞳には、絶望と、それでもなお消えぬ凄まじい執念が燃え盛っていた。

「……遅かったな」

彼は残された最後の生命力を振り絞り、自らの胸に手を突き刺すと、その魂の全てを背後の繭へと注ぎ込んだ。

「リアーナ…今、迎えに行く…!」

ペンダントを奪われ儀式は不完全なはずだった。だが、父の魂を喰らった繭は、甲高い悲鳴と共に砕け散る。そこから現れたのは、神でも人でもない、ただ純粋な破壊の意思そのものだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ