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32話 守護者の覚醒


長老は、神殿の祭壇に安置されていた最後の「星の欠片」を、厳かにエルザへと手渡した。それは、夜明けの空の色を宿した、温かな光を放つ宝石だった。

エルザがそれを受け取った瞬間、奇跡が起こった。彼女が持つアクエリスの至宝「星の心臓」と、最後の星の欠片、そして遥か遠くゼファーの手にあるはずの二つの欠片の魂が、時空を超えて共鳴を始めたのだ。

「ぐっ……! なんだ、この力は……!」

エルザの体から、青いオーラが奔流のように溢れ出す。それは、アクエリスの海そのものの力。彼女は、自らの意志で波を呼び、風を操る、海の女神のごとき力を覚醒させたのだった。

そして、共鳴の光は、そばにいたリョーコにも降り注いだ。

「あ……ああ……っ!」

リョーコの脳裏に、今まで閉ざされていた記憶の扉が激しく叩きつけられる。星々が生まれ、そして滅んでいくビジョン。愛する人との出会いと別れ。そして、世界を無に帰そうとする巨大な闇――ゾラスの姿。

「――星の子らよ、祈りなさい。闇が世界を覆う時、その絆こそが……最後の光となる……」

リョーコは、まるで別人のように荘厳な声で、古の「星の歌」を口ずさんだ。その歌声は、試練で疲弊した仲間たちの魂を優しく癒し、神殿の枯れた草花を一斉に芽吹かせるほどの生命力に満ちていた。

カーラは、その歌声に目を見開いた。

「間違いない……。鉄王国の最古の文献にあった、ゾラスを封じるための聖なる歌……! リョーコ、君はいったい……」

エルザは覚醒し、リョーコは歌を思い出した。アキトとカーラは、ペンダントがなくとも戦える真の強さを見出した。役者は揃った。最後の希望は、今、確かに彼らの手の中にある。

だが、その頃――。

異次元の彼方で、ゼファーは奪った二つのペンダントの力を暴走させ、ついにゾラス復活の地への扉をこじ開けようとしていた。

「待っていろ、我が妻よ……。今、この世界を浄化し、お前を迎えに行く……!」

クライマックスの幕は、もうすぐそこまで迫っていた。


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