31話 忘れられた神殿
第31話『忘れられた神殿の試練』
数々の妨害を突破し、一行はついに「忘れられた群島」の中心、天を衝く滝の裏に隠された古代神殿へとたどり着いた。苔むした石段を上り、一行を迎えたのは、自らを「海の民」と名乗る、厳格な雰囲気の老人だった。
「我らは、古より星の欠片を守りし者。……だが、お前たちの中に、守護者たる資格を持つ者はいるのか?」
長老の鋭い視線が、エルザ、アキト、そしてカーラの三人を見据える。
「その二人は、欠片を奪われたと聞く。力を失いし者に、星を託すことはできぬ。そして、そこの女よ。お前の瞳には、仲間を率いる力と共に、全てを支配しかねない危うい傲慢さが見える」
長老の言葉は、三人の心の最も痛い部分を的確に抉った。
「我らが守護者足りうるか、その身で示してみせよ。試練は『内なる魔性との対峙』。己が心の闇に打ち勝てぬ者に、世界を守る資格はない!」
三人が神殿の奥へと足を踏み入れると、その意識は精神世界へと引きずり込まれた。
アキトの前には、父ゼファーの幻影が現れる。「私を憎むか? だが、お前の中にも私と同じ血が流れているのだぞ」と、憎しみと愛情の間で彼を揺さぶる。
カーラの眼前には、ペンダントを奪われたあの日の光景が広がる。「お前がもっと強ければ、誰も傷つかずに済んだ」と、後悔の念が彼女を責め立てる。
エルザは、孤独な玉座に座らされていた。「お前一人で全てを背負え。仲間など、しょせんは足手まといだ」と、リーダーの重圧と傲慢さが甘く囁きかける。
三人は、それぞれの心の闇に飲み込まれそうになる。だが、その時、彼らの心に仲間たちの声が響いた。
『一人じゃない!』
アキトは叫んだ。「この血も、悲しみも、全部受け入れて、僕は僕の道を行く!」
カーラは涙を振り払った。「後悔はしない! この仲間たちと共に、未来を掴む!」
エルザは玉座を蹴り飛ばした。「私の強さは、仲間の絆の中にある! 孤独など、クソくらえだ!」
三人の魂が共鳴し、心の闇を打ち破った時、彼らは現実世界へと帰還していた。
長老は、その様子を静かに見つめ、深く頷いた。
「……見事だ。欠片は力ではない。絆を繋ぎ、指し示すための道標に過ぎぬ。お前たちは、その真理にたどり着いた。守護者たる資格、確かに認めよう」




