序章 語り部
「はるか太古、星々がまだ人の住まう世界と近しかった時代。天空に浮かぶ白亜の都『星都アストライア』は、星海帝国という強大な文明の中心であった。人々は星霊と契約し、星の力を自在に操り、天空を翔け、星々を巡る旅をしていた。だが、その繁栄は、一人の狂気の皇帝によって終わりを告げることになる。」
古びた書物のページをめくるように、穏やかな老人の声が静かに響く。老人は、暁王国の歴史を伝える記録官の一人であり、星都の一角にある小さな書庫で、アキトに星海帝国の物語を語り聞かせていた。
「皇帝ゾラスは、星の力を絶対的なものとし、永遠の命と全能の力を手に入れようと、禁忌とされる星霊融合の研究を推し進めた。彼は、星の心臓と呼ばれる、星のエネルギーが凝縮された結晶体を利用し、世界の法則を歪めようとしたのだ。」
老人の声は、ゾラスの狂気を語る時、僅かに震えた。アキトは、老人の語る物語に引き込まれ、まるでその場にいるかのように、ゾラスと三英雄の戦いを目の当たりにする。
「だが、ゾラスの暴走を止めるため、三人の英雄が立ち上がった。光を操るアストラル、大地を操るヴォルケン、海を操るアクアリス。彼らは、それぞれの相棒星霊と共に、ゾラスの野望を打ち砕くため、力を合わせた。」
老人の声は、三英雄の活躍を語る時、誇らしげに高揚した。アキトは、英雄たちの勇姿に心を奪われ、彼らの戦いを応援せずにはいられなかった。
「三英雄は、ゾラスが作り出した星霊融合兵器と、異形の星海の使徒たちを打ち破り、ついにゾラスを追い詰めた。だが、ゾラスは最後の手段として、星の心臓を暴走させ、世界を破壊しようとした。英雄たちは、己の命と引き換えに、星の心臓の暴走を食い止め、世界を救った。」
老人の声は、英雄たちの犠牲を語る時、悲しみに満ちていた。アキトは、英雄たちの崇高な犠牲に胸を打たれ、深い感動を覚えた。
「英雄たちの犠牲により、世界は救われた。だが、星海帝国は崩壊し、世界は三つの王国に分かれた。そして、ゾラスの残した星の心臓の力は、完全に消え去ったわけではなかった。いつか再び、星の心臓の力が悪用され、世界が再び混沌に陥る時が来ることを、英雄たちは予感していた。」
老人の声は、予言めいた言葉を語り、静かに物語を締めくくった。アキトは、老人の語る物語に深く心を揺さぶられ、異世界での冒険への覚悟を新たにした。
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