第8話
「ぐ、いってて……」
何が起こったんだ……?
予期せぬ攻撃を浴びた俺は思った以上のダメージを負っていた。
俺の腹から血液がしたたり落ちる。
とここで、顔を上げた俺の目に異様な光景が飛び込んできた。
「な、なんだあれっ……?」
オークキングの出っ張った腹から二本の腕が伸び出ているではないか。
しかもその手には、短剣が握り締められている。
「ど、どういうことだ……?」
『ブッフフゥー。ブッフ、ブッフ』
オークキングは鼻を鳴らしつつ、俺を小馬鹿にするかのような表情を見せている。
俺はそんなオークキングの腹を目を凝らしてもう一度よく見た。
するとオークキングの腹には、まるでカンガルーやコアラにあるような袋がついていた。
そして、その袋から顔を出しこちらをみつめている瞳と目が合った。
「な、なんだ、お前……?」
『プギュプギュッ』
俺の声に応じるようにオークキングの袋の中にいた何者かがのっそりと這い出てくる。
そいつはオークキングをそのまま小さくしたような出で立ちのモンスターだった。
そのミニサイズのオークキングはオークキングと同様、俺をあざけるように笑いながらオークキングの隣に立つ。
その姿はまるで親子のように見えた。
『ブッフフゥー。ブッフ、ブッフ、ブッフフ』
『プギュッ、プギュッ』
「ちっ。何を言っているのかはわからないが、間違いなく俺を馬鹿にした笑い方だな」
まったくもって不愉快だ。
だが、正直言ってホッとした。
てっきりオークキングには隠された未知の力があるのかと内心焦っていたからな。
それが蓋を開けてみれば、ただ二対一だったというだけのことだ。
『ブッフフゥー。ブッフ、ブッフ、ブッフフ』
『プギュッ、プギュッ』
「ふっ、ふふふっ」
オークキングとミニサイズのオークキング、そして俺は互いに相手をみつめながら笑い合った。
そして次の瞬間、俺は一足飛びで高く跳躍すると、高笑いをしていたオークキングの頭上に強烈なパンチを降らせた。
「おらぁっ!!」
『ブフォォッ……!』
俺の本来持つ力と<プラチナナックル>の効果でオークキングの頭部が破裂する。
その光景を目の当たりにしたミニサイズのオークキングが『プギャッ!?』と目をひん剥いて驚愕の表情を浮かべた。
と同時に俺におそれをなしたのか、回れ右をすると一目散に逃げ出した。
だが――
「俺に傷を負わせといて、逃がすわけないだろうがっ」
俺はすぐさま追いかけ、ミニオークキングの背中に体重の乗った右ストレートを叩き込んだ。
「さっきのお返しだっ!」
『ピギャ……!』
情けない声を上げながらミニオークキングは地面に沈んだ。
さきほど倒したオークキングと、たった今倒したばかりのミニオークキングがそれぞれ消滅していくさまを見届けつつ、俺は、
「いっつつつ……」
腹に手を当てた。
「まいったな……これ、思ったより重傷かもしれないぞ……」
痛みもそうだが、何より出血が止まらない。
目もチカチカしてきた。
そんな時、オークキングが消滅した場所に光の紋様が浮かび上がった。
地上への出口だ。
「……早いとこ、地上に戻ろう」
俺はふらつきながらもその紋様に手を伸ばした。
直後、俺の全身はまばゆいばかりの光に包まれ、思わず目を閉じる。
そして次に目を開けた時には――俺は神社の境内に立っていた。
地上に戻ったことで、負っていた傷は元通りに治っていた。
俺は<プラチナナックル>を外すとスマホに収納する。
そして黄昏時の夕日を背に浴びながら帰宅の途についた。
俺は銀行というものを信用していない。
なので<三日月刀>と<エリクシア>を換金して得た250万円は、自室のタンスの中に隠しておくことにした。
ちなみに<オークの肉>と<ハイポーション>と<妖精の涙>は利用価値があると判断して、換金はせずに持っておくことにした。
「レベルも100を超えたことだし、プラチナナックルもそろそろ換金してもいいかな」
オークキングを倒したことで俺のレベルはさらに上がって110となっていた。
レベル110もあれば、ある程度ランクの高いダンジョンでも十分戦えるだろう。
プラチナナックルを手放すのは惜しいが、4000万円という大金はやはり魅力的だった。
「うーん、悩みどころだ」
とそんな時だった。
「……ん?」
スマホの画面にフレンド申請の文字が見えた。
「フレンドか……」
その文字を確認した俺はメッセージを読むかどうか考え込む。
秋月さんの件もあったことだし、正直あまり気乗りはしない。
だが、【ダンジョンサバイバー】のプレイヤーが全員、秋月さんのような人だとは限らない。
それにもし有用な情報が聞けるのならば聞いておきたい気もする。
「……ひとまず、メッセージだけ見てみるか」
それからどうするかを考えればいい。
そう結論付けた俺は<プラチナナックル>の件を一時保留にしたまま、フレンド申請のあったメッセージを開く。
そこにはこう書かれていた。
<やっほー!
カグラさん、はじめまして。わたしの名前はミホですっ。
十六歳の現役女子高生ですっ。
早速ですけどカグラさんってレベルいくつですかっ?
もしレベル30超えていたらわたしとお友達になってくれませんかっ?
それで、一緒にダンジョン探索しませんかっ?
わたしはお兄ちゃんと一緒にダンジョンサバイバーをやってるんですけど、お兄ちゃんって頭でっかちなだけで全然頼りにならなくて(笑)。
そんな時、カグラさんの存在を知ったのでフレンド申請しちゃいましたっ。
お返事待ってまーすっ。よろーっ。>
「なんだこのバカっぽいメールは……」
どんな内容かと内心ビクついていたのがアホらしくなってくるほどに、メールの文面は子どもじみたものだった。
「これ、本当に女子高生か……?」
秋月さんの時とは全然違う文面に、俺は自然と警戒心が解けていた。
「……もしかしてだけど、ネカマじゃないだろうな」
ミホと名乗る人物からのメールに視線を落としつつ、俺はどうしたものかと思案する。
メールの文面を見る限りでは、少し変わってはいるが悪意や敵意といったものはまるで感じられない。
それに、このミホという人物にはどうやら頭脳派のお兄さんがいるようだった。
「一度に二人のプレイヤーと知り合いになれるチャンスは滅多にないか……うーん」
秋月さんの時の二の舞は避けたいが、俺の知らない情報を握っている可能性も充分あり得る。
「……とりあえず返事をしてみるか」
俺は熟慮の結果、ミホと名乗る人物に返信してみることにした。
……決して下心があってのことではない。
結論から言うとミホと名乗る人物の話はすべて事実だった。
なぜわかるかって?
それはな、ミホとその兄貴が今まさに俺の目の前にいるからだ。
俺はミホと数日間、メールのやり取りをした。
訊いたところによると、彼女の本名は朝倉美帆で、陽介という双子の兄がいるのだそうだ。
二人してダンジョン探索をしているのだが、なかなか思うようにいかなくて困っていたのだという。
俺はメールを介して疑わしいところがないと判断し、美帆ちゃんたちと会うことを決めた。
それでも万が一のことを考えて、会う場所は大通りに面した公園にした。
その公園は大きな噴水広場があるので休日には多くの人が集まる場所だった。
俺が噴水の前で待っていると、
「士郎さんですかっ?」
はつらつとした声で俺の名前を呼ぶ者がいた。
振り向くとそこにいたのは、ポニーテールがよく似合う可愛らしい少女だった。
「そうだけど。ってことはきみが美帆ちゃん?」
「はい、わたし朝倉美帆ですっ。はじめましてっ」
はきはきとした口調で美帆ちゃんが口にする。
Tシャツとデニムのハーフパンツというラフな恰好で現れた美帆ちゃんは、十六歳と聞いていたのだが俺の目からはもっと幼く見えた。
「えっと、お兄さんはどうしたの?」
事前の話では兄である陽介くんも一緒に来るというはずだったのだが、それらしい人物の姿はない。
「すみません士郎さんっ。お兄ちゃん、急にお腹が痛いとか言い出して家で留守番してるんです。ホントごめんなさいっ」
美帆ちゃんは申し訳なさそうに何度も頭を下げる。
そのたびに後ろでくくった髪がふぁさふぁさっと揺れる。
「あー、いいよ気にしないで。そういうこともあるよ」
「いえ、違うんですっ。お兄ちゃんのことだからどうせ仮病に決まってるんですっ」
そう言うと美帆ちゃんは口をとがらせ不満そうな顔をしてみせた。
「仮病? どういうこと?」
「お兄ちゃん、勉強は出来るんですけど運動はだめだめなんです。そのうえ緊張しいで心配性なので、ダンジョン探索の時もそうですし、今日士郎さんと会うってことにもずっと緊張しっぱなしだったんです」
「へー」
「だからどうせ、行く直前になったらお腹が痛いとか頭が痛いとか言ってズル休みするんじゃないかなぁって思っていたら案の定ですよっ。もう妹として情けないですっ」
「あー……そうなんだ」
美帆ちゃんは精神的に弱い様子の双子の兄のことをあまり快く思っていないのかもしれない。
正直言うと、俺もどちらかと言えばそっちの部類の人間なので、少し耳が痛い。
「ってわけなので、士郎さんが嫌じゃなかったら今からうちに一緒に来てもらえませんかっ?」
「え? 俺が美帆ちゃんちに行くの? 今から?」
「あ、やっぱり嫌ですよね……」
さっきまで明るく話していた美帆ちゃんが悲しげな顔になる。
それを見てどこか罪悪感を覚える俺。
「うーん、嫌っていうかなんていうか……」
秋月さんの例があるからな。
初めて会った他人の家に行くのは少し勇気がいるのだ。
「無理なら無理って言ってくれて全然平気です。悪いのはこっちなんですから」
健気にも作り笑顔を浮かべてそう言う美帆ちゃん。
……さすがにこの子が俺を騙しているなんてことはないか。
そう考え、
「わかった、いいよ。今から美帆ちゃんちに行こうか」
俺は努めて優しく語りかけた。
「えっ、いいんですかっ?」
途端に美帆ちゃんは顔をぱあっと明るくさせる。
「でも俺が突然押しかけて、陽介くんは平気かなぁ」
「だいじょぶですっ。お兄ちゃんもなんだかんだ言って、士郎さんに会いたかったはずですからきっと喜ぶと思いますよっ」
美帆ちゃんはそう言うと、けらけらと無邪気に笑った。
「ところで、美帆ちゃんと陽介くんはレベルいくつなの?」
美帆ちゃんの家に向かう道すがら、俺はまだ聞いていなかったことを確認する。
すると俺の隣を歩く美帆ちゃんが俺を見上げ「わたしたち、二人ともレベル25です」と答えた。
「うちの庭にランクVのダンジョンがあるんですけど、なかなかクリアできなくて。毎回地下一二階から先に進めなくて困ってたんです」
「地下一二階? そのダンジョンって地下何階まであるの?」
「えーっと、地下一九階だったはずですけど」
「一九階っ!?」
俺は思わず声を上げる。
「どうかしましたか? 士郎さん」
「いや、随分深いダンジョンだなと思ってさ。俺のこれまでの最高はたしか地下九階だったはずだから」
「へー、そうなんですかっ。わたしたち、そのダンジョンしか潜ったことがないので地下一九階って別に普通だと思ってました」
と美帆ちゃんは言う。
ランクVのダンジョンの地下一九階か……今の俺なら問題ないと思うが。多分。
その後、談笑しながら歩くこと十分。ようやく俺は美帆ちゃんが住む家にたどり着いた。
「さあさあ、遠慮せずに上がってくださいっ。今日は両親は留守にしてるので今うちにいるのはお兄ちゃんだけですからっ」
「ああ、ありがと。お邪魔します」
廊下を進み、階段を二階へと上がる。
突き当たりの右側が美帆ちゃんの部屋、左側が陽介くんの部屋らしい。
すると美帆ちゃんが、
「お兄ちゃん、開けるよっ!」
ノックもせずに陽介くんの部屋のドアを思いきり開け放った。
美帆ちゃんの気持ちもわからないではないが、同じ男としてはノックくらいはしてやってほしい。
「あーっ、お兄ちゃんゲームしてるっ! 何考えてんのっ、士郎さんとの約束すっぽかして家でゲームとか信じらんないっ!」
美帆ちゃんは大きな声でまくし立てる。
俺に接していた時とはだいぶ雰囲気が違うが、俺の前では猫を被っていたのだろうか。
「士郎さん来てください、わたしのバカお兄ちゃんを紹介しますからっ」
「あ、ああ」
目のつり上がった美帆ちゃんが俺に向かって声を飛ばしてきた。
やや虚を突かれていた俺はいそいそと陽介くんの部屋に足を踏み入れる。
「士郎さん、こっちがわたしの双子のお兄ちゃんの陽介です。ほら、お兄ちゃん。士郎さんがわざわざ来てくれたんだから挨拶してっ」
「う、うん。えっと、どうもはじめまして……美帆の兄の陽介といいます。なんかいろいろとすみません」
見るからに気弱そうな男子がぺこりと頭を下げた。
寝ぐせのついた髪もそのままで、まさに冴えない男子高校生という感じだ。
どこか親近感を覚えずにはいられない。
「はじめまして、勝手にお邪魔してます。神楽士郎です。よろしく」
「は、はい……」
なかなか視線を合わせてくれない。
美帆ちゃんが言っていたようにかなり緊張しいのようだ。しかもおそらく人見知り。
ますます親近感がわいてくる。
「っていうかさ、家を見た時も思ったんだけど、もしかして美帆ちゃんちってかなりのお金持ちだったりする?」
俺はぶしつけに気になっていたことを訊いてみた。
そうなのだ。
朝倉家は広い庭付き三階建ての一軒家だったのだ。
外から見た時も豪邸と言っても過言ではないくらいに立派な外観をしていたのだった。
「え、そんなことないですよっ。普通ですって」
「普通かなぁ。ちなみにお父さんとお母さんって何してる人なの?」
プライベートなことを訊くのもどうかと思ったが、この際だ、訊いてしまえ。
勢いに任せて訊ねると、美帆ちゃんは涼しい顔でこう答えた。
「お父さんもお母さんも医者ですよ」と。
「地下一二階から先に進めないって言ってたけど、どうしてなんだ?」
陽介くんの部屋はゲームや漫画で散らかっていたので、俺たちは美帆ちゃんの部屋に移動していた。
ちなみに女子の部屋に入るのは、俺にとって何気に初めての経験だったりする。
「地下一二階の階段を強いモンスターが守ってたりするのか?」
「まあ、それもあると言えばあるといいますか……」
俺の問いに答えるのは陽介くんだ。
美帆ちゃんは飲み物を持ってくると言ってついさっき部屋を出ていった。
「実は地下一二階にはプラチナスライムっていうとても防御力の高いモンスターがいまして、そいつが毎回ぼくたちの邪魔をしてきて――」
「プラチナスライムだって!?」
予想もしていなかった単語に俺は声を上げ訊き返す。
「え、ええ。そうですけど……神楽さん、プラチナスライムのこと知ってるんですか?」
「いや、知ってるっていうか、まあ名前だけだけどな」
<プラチナナックル>の特殊効果にたしか、プラチナスライムとやらを一撃で倒せるといった能力があったはずだ。
実は俺はひそかにそのプラチナスライムというモンスターを探していたのだ。
それがまさか陽介くんの口から聞けるとは。
思いがけない事態に俺は興奮が隠せないでいた。
すばやくスマホを操作して、俺は<プラチナナックル>を取り出す。
それを陽介くんに見せながら、
「このアイテム、プラチナナックルっていうんだけどさ。これを装備してればそのプラチナスライムってモンスターを一撃で倒せるらしいんだ」
と説明してみせた。
「プラチナスライムを一撃でですかっ? す、すごいですね……」
「しかもこのプラチナナックルは装備してると相手に与えるダメージが五倍で、もらえる経験値も三倍になるっていうかなりのお宝なんだよ」
「す、すごい。そんなアイテムがあったんですね……」
口を大きく開けたまま驚きの表情を浮かべる陽介くん。
子ども相手に自慢するのも大人げないが、褒められるのは気分がいい。
「だから今度陽介くんたちがダンジョンに潜る時、俺も一緒についていってやるよ。そうすればもっと下の階に進めるだろ」
「いいんですか? あ、ありがとうございます……妹も喜ぶと思います」
「な~に、わたしが喜ぶってなんの話してるのっ?」
陽介くんと言葉を交わしていると、そこへジュースを乗せたお盆を持った美帆ちゃんが戻ってきた。
自分の噂話でもしていたと思ったのだろう、陽介くんに鋭い視線を飛ばす。
「あ、っていうかそれなんですかっ? 士郎さんの持ち物ですかっ?」
「ああ。プラチナナックルっている武器だよ。ダンジョンで手に入れたんだ」
「えー、すご~いっ。キラキラ光っててきれいですね!」
「うん、まあね。で、陽介くんにも話したんだけど、このプラチナナックルには特殊な効力があってね……」
俺はこのあと、陽介くんに話してやったことを美帆ちゃんにも教えてあげた。
そしてダンジョンに一緒に潜ってあげてもいいということも伝えた。
すると、
「わぁっ、ありがとうございますっ! じゃあ早速準備しますねっ!」
と声を張り上げる美帆ちゃん。
「え、準備って……美帆」
「そうだよ、決まってるでしょ! ほら、お兄ちゃんも早く準備してきてよっ」
「う、うん……」
美帆ちゃんにうながされ、陽介くんは自分の部屋へと向かう。
「ん? もしかして美帆ちゃん、今からダンジョンに潜るつもりなの?」
「はい、そうですけど。え?」
「え?」
俺は面食らった顔をしていたことだろう。
だって、今はもう午後二時を回ったところだ。
今から一九階層もあるダンジョンに潜るというのはいささか遅すぎやしないだろうか。
だが、美帆ちゃんはそんな考えはまったく頭になかったようで、不思議そうに俺の目をみつめてくる。
「わたし、何か間違ってました……?」
めをぱちくりさせながら不安そうに口にする美帆ちゃん。
そんな美帆ちゃんに今日はダメとも言えず……。
「いや、何も間違ってないよ。うん。じゃあダンジョンに潜るとしようか」
「はい、ありがとうございますっ!」
結局、今から朝倉家の庭にあるというダンジョンに潜ることになった。
……俺って十六歳の女子にさえ免疫ないんだな、やれやれ。
「士郎さん。あのう……言いにくいんですけど、部屋出てってもらってもいいですか?」
「ん、なんで?」
「……わたし、着替えたいので」
「あ、あーっ、ごめんごめんっ」
言いながら俺は慌てて美帆ちゃんの部屋をあとにするのだった。