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27.務め
ユーシュがダレークを見上げる。ダレークはそれに気付くも、何も言わず顔を逸らした。
ダレークにとって、大した意味はないのかもしれない。『顔を逸らした』ということ自体、あくまでヒリンの感じたものだ。
しかし、ユーシュの顔色は見てわかるほどに青ざめていく。
「私は、構いません」
「ユーシュ」
ダレークが笑顔を浮かべた。ヒリンと違い、ユーシュはダレークを優先する。そう思ったのだろう。ユーシュの言葉は続く。
「家のための婚姻です。私はダレーク様の妻という役割を担うのですから…ダレーク様が全てをお話しくださらないとしても、当然のこと」
肩に置かれたダレークの手を払った。笑っていたダレークが自身の手を見下ろす。『何故払われたのかわからない』とその顔に書いてあった。
「ですが、父として務めるお気持ちは持っていただきます」
肩の力をようやく抜いた。ヒリンは薄らと滲んだ汗を指でなぞるように拭う。
ヒリンとユーシュの計画を、大詰めの所まで進められた。ユーシュの判断次第の部分もあったため、途中ひやりとしたものの、なんとかヒリンの求める結果に続きそうだ。




