25.追及
ダレークは直ぐに後ろ立つ侍男を振り返った。その場にいたのが彼なのだろう。侍男はしかし、眉を下げユーシュを見ていた。
察したダレークは、侍男を睨み、その後ユーシュへ視線を向ける。
「…アソメに跡を付けるわけにはまいりません」
大した用事がなかったにも関わらず、侯爵家主催の集まりを欠席した。
挙句に嘘をついた。
それを他家へ、婚約者が漏らした。
表情に怒りこそ見えないが、心の内はわからない。
ユーシュは益々顔を俯かせる。ヒリンは聞こえるようため息をついた。
「…ダレーク様に伺いたいのは、何故ご欠席され、その理由まで偽りをおっしゃったかではございませんの。伯爵家当主ともなれば、経験の乏しい者には理解の及ばない事情もおありでしょうし」
「……寛大なお心、感謝致します」
顔を上げないユーシュを見、その後目を伏せる。
本当はこの場で、ヒリンを遮りユーシュに出てきてほしかった。あくまでヒリンは部外者であり、逃がさないようにするための存在なのだから。
「何故ユーシュ様へ声をかけず、離れられたのですか?」
ダレークは意味を理解するように、瞬きを繰り返す。
その後、元の笑顔に戻った。気持ちが悪い。ヒリンは内心舌を出す。
「大した理由ではございません。少々、日の暖かさに気持ちが緩んでいたようでして」
「ランの頃は、風が冷たくて気が緩まれたのかしら」
一度や二度ではないだろう。続けたヒリンの言葉に肩をすくめる。
「ユーシュを友として思ってくださること、大変感謝致します。しかしこれは小指の縁同士で話すべきもの。何卒ご容赦ください」
ダレークはユーシュの肩に手を置く。帰ろうとかける声は優しく、眼差しはユーシュを見ていないように色がない。




