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23/32

23.集まり



参加者はそれほど多くない。5つの机を中心に、それぞれ3人から4人ほどが立っている。

敢えて人数を絞ったのだから当然だが、侯爵家たるラチアーバン主催の集まりとしては、寂しい光景だった。

左端の机に顔を向ける。

周りは皆、同性同士だとしても2人以上で連れ立っている。その中で1人立つ姿は、新しい話題を提供しているようなものだった。


「ユーシュ様。ランの萎みが早まるようにと祈っておりました。お越しいただきありがとうございます」

「お招き感謝致します」


ヒリンが隣立つと、より周りの意識がユーシュへ集まる。緊張にユーシュの手が震え始めた。ヒリンはしかし、それに言葉をかけない。

首を左右に動かした後、頰に手を当てた。


「小指のご縁の方は、どちらへ?」


震えていた手が握り込まれる。ヒリンの策を下りるなら、ここしかない。

ユーシュは柔らかな眉を下げてみせた。


「ダレーク様は領内の対応でご挨拶が叶わず…アベの手を払い、ヒリン様とヒサユリを愛でたいと申しておりました」


手を口元へ移動させる。目を意識し見開いて、声音を高くした。


「まあ!領地で?アベの悪戯には困ったこと…ユーシュ様、私が身体を空けますので、ダレーク伯によろしくお伝えくださいませ。我が庭の誇るヒサユリで、お二人の道を温めたいのです」

「そのお言葉だけで、私の胸にはヒサユリが揺れております。重ねて感謝致します、ヒリン様。ダレーク様に必ず申し伝えます」


ダレーク、ダレークと名前を繰り返す。

貴族の繋がりは広い。話は日を3度見る内に貴族全体へ行き渡る。

侯爵家の招待をヒサユリの時期に連絡も無く欠席した。

婚約者を一人集まりの場で放置した。

侯爵家に都合を調整させた。

これだけでも正式な後継である名に傷が付く。

更に、ダレークが実際どこにいたか、何をしていたか。

それが広まれば、ヒリンの期待は現実のものとなる。


「待ち遠しいですわ」


上がる口端を押さえ込み、ヒリンは呟いた。




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