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22.躊躇う



机に手拭いを置き、前へと押し出す。

顔を逸らしコップを傾ければ、ユーシュの顔がそれで隠された。


「………」


ヒリンの元婚約者、スランも相当に常識から外れた貴族だった。二度見ることはないと思ったが、こうも続くと自身の方が常識外れではないかと疑ってしまう。

ユーシュの肩から力が抜けるのを待ち、ヒリンは口を開いた。


「お相手のご両親にお話しはされたのでしょうか」

「しておりません。…と、聞いています。彼がはっきりとした不義理をした訳でもないですし…何と説明すればよいのか…」


ヒリンは少し眉を上げた。理解ができない。

婚約者の侍男さえ同情している。とすれば、疑いようもない不義理だというのに、何を躊躇っているのだろう。


「婚約者ご自身がご友人に心の内を閉じられているのです。次に望むべきは、ご両親の力添えかと思いますが」

「ですが、わた…友に非があることも考えられますし…良くしていただいているお二人にご心労をおかけするのは、望みません」


ユーシュの躊躇いはやはり理解できない。しかし、何故躊躇うかは察した。

彼女はつまり、対立したくないのだ。婚約者とも、その家族とも。

余程先方の家格が上なのか、ヘリアン家に借りがあるのか、ヒリンに話していないユーシュ自身の事情があるのか。

争いを避ける理由はわからないが、ユーシュの行動は一般的なものと言えるかもしれない。


「…ユーシュ様。お相手は、暫く王都に滞在されますか?」

「は、はい。ヒサユリが花開く間は、別邸に」


ユーシュは怪訝な目でヒリンを見る。泣いて感情が昂っているのか。ユーシュの目と仕草が思っていることを全て伝えてきた。


「ご友人の件、かつて縁の解けた私には他人事と思えませんわ。ユーシュ様のご心痛も当然のことです」


ヒリンはユーシュに笑顔を返す。ユーシュの目が益々険しくなった。


「ご友人さえお許しいただけるのでしたら…私に、ご提案したいことが」



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