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8 正体がバレてしまいました。

 城に戻ったあと、一応殿下の望みを書記官に言伝します。


「婚約者がいるのに他の女も嫁にしようとするなんてクソですね」


 と軽蔑していました。

 無自覚に敵を増やしていく殿下、将来が心配です。


 次は洗濯の時間なので、城の裏手に向かいます。他のメイドが集めてきてくれたシーツやクロスを洗うのです。

 道すがら人がいないのを確認して、ぺぺと話します。


「アリーナ様は魔法少女になれませんでしたが、仲間が多いほうが助かることは確かですね。いまのわたしとソフィアでは、停止と送還しかできない」


「慣れてくると新たな魔法を覚えられるでし。それに、ぺぺの仲間も魔法少女になれる人を探してくれているでし」

「それなら助かるわ」


 通路の向こうから人が来たので、ぺぺは窓の外に逃げます。

 その人、ルーカスはわたしに声をかけてきます。


「エデルミラじゃないか。これから洗濯か」

「ええ。ルーカスは出動の帰りですか」

「ああ。魔物が出たと聞いたのだが、とっくにいなくなっていた。またあの少女が送還というのをしてくれたのか」

「それはよかったですね」


 ルーカスはわたしをじっと見てつぶやきます。


「知らぬふりをするか」

「なにを、ですか」

「つい昨日、会わなかったか。草原で」


 昨日、エデルミラとしては会っていません。

 ルーカスと顔を合わせたのは、魔法少女として魔物を送還したときだけ。


「会っていません」

「本当に? あのとき魔法少女が連れていた不思議な生物が、いまさっきエデルミラのそばにいた」


 バレていたことを知って、ぺぺが窓の外から戻ってきます。


「ごめんでしミラ。ぺぺがいたせいでし。ミラは隠したがっていたのに」

「いいのよ。いずればれていただろうし、あなたのせいではないわ」


 ふわふわ飛んでいるぺぺを見ても、ルーカスは驚く様子はありません。


「ルーカス、他の人に言わないで。気づかなかったことにして欲しいの。旧知のよしみで聞いてもらえると助かるわ。魔物の送還はきちんとするから」

「……わかった。だが、あのとき一緒にいた騎士もそのぺぺというのを見ているからな。そいつをあまり人に見られないようにしたほうがいい」


 勝手な頼みを、ルーカスは聞いてくれました。

 わたしは頭を下げて仕事に戻ります。今はお洗濯物が最優先です。





「まったく。あれでバレないと思っていたのか。出逢った頃のエデルミラそのものだったからな。わかるに決まっている」


 ルーカスのひとりごとを、ぺぺだけが聞いていました。


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― 新着の感想 ―
[一言] あらまぁ。 そりゃねぇ……分かる人には分かるよね。 今回は昔の姿を知ってる人だったのと、マスコットキャラクターがそばにいたからですが、場合によっては声でバレるってパターンもあると思いますわ…
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