表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/26

7 魔物を呼んだ犯人一味登場

 花畑の真ん中に、ぽよんぽよんと形を変えるピンクの生き物がいました。パン生地のように伸び縮みしています。


「あれが今回現れた魔物ですか」

「そうでし!」


 ピクニックに来ていた人たちを逃がすため、ソフィアが奮戦中でした。


「この、この! あたれー!」


 魔物はドーナツ状に変形して、魔法を避けてしまった。

 こんなにうねうねしていては、命中させることが難しいです。


「ソフィア、私が止めるので、その間に!」

「ミラお姉様!」


 私はホウキにまたがったまま時計を掴み、唱えます。


時よ止まれ(エスペイラ)!」


 ドーナツ状のまま固まる魔物。

 ソフィアが魔法を放とうとしたその時、何者かがソフィアに体当たりをしました。


 あらぬ方に飛ぶ杖。

 慌ててソフィアが杖を拾おうとするのを、その人影が杖を踏んで妨害する。


「へへへ、そうはいかねぇ、魔法少女さんよ! 魔物を送還されちゃ困るぜ」


 ケラケラと笑う人影は、人ではありませんでした。

 全身爬虫類のような鱗に覆われていて、トカゲのような尻尾が生えていたのです。

 例えるなら幻想図鑑の亜人、リザードマン。


「送還されちゃ困る? まさか、魔物がはびこっている原因は、あなたなのですか」

「あっしじゃなくてスカルノ様のお力さ。スカルノ様の手にかかりゃ、魔物召喚なんて朝メシ前さ!」


 リザードマンの仲間、スカルノという者が大元ということは理解しました。なら、リザードマンを捕まえて元凶の居所を吐かせないと。


「魔物が還されてんのがこの杖のせいってんなら、これを折ればもう送還できねぇよ、なぁ!」

「そんなことさせません! 時よ止まれ(エスペイラ)!」 


 リザードマンが杖から足を上げ、斧を振りかぶるのに合わせて魔法をかける。


「お姉様さすがです! 今のうちに、えーい! 異界送還エクストラディクション!」


 すかさずソフィアが杖を拾い、今度こそ魔物に向かって送還魔法を放つ。


 前回同様、魔物は光の中に消えていきました。


「すごいですわ、すごいですわ! かんげきですわぁ!!」


 一般人を逃したはずなのに、なぜ人の声が?

 わたしたちが動揺していると、木陰から人が飛び出してきました。


「わたくしアリーナと申しますの。今のご活躍、しかとこの目に焼き付けましたわ。わたくしもあなたたちのように魔法を使いたいのです。弟子にしてくださいませ、魔法少女さま!!」



 話をするため、わたしはぺぺを抱えて地上におりました。


「魔法少女になりたい、か。あたしは仲間が増えてくれると嬉しいけど」


 ソフィアがちらりとぺぺを見ます。

 ぺぺでないと才があるかどうかわかりません。  


「もし才能がおありなら、年寄りのわたしより、魔法少女になりたがっているアリーナ様のほうが適任なのでは」


「もぅ、ミラお姉様ったら。そんな可愛らしい姿でお年寄りだなんて、ご冗談を」


 いえ、本当は70歳ですからね。老体に鞭打ってますよ。

 変身前の姿もこれくらいの少女だと思われているのかしら。


 アリーナ様はぺぺを見て頬を染めます。


「あらまあ、なんて可愛いうさぎさんかしら。魔法少女さまのペットですの?」

「失礼な子でし! ぺぺはペットでなく精霊でし!」

「あらあら、おミミをパタパタさせちゃって。わたくしに会えたことが嬉しくて喜んでいるんですの?」


 アリーナ様には声として認識できないようです。


「ぺぺの声が聞こえてないから、キミは無能でし! おととい来やがれでし!」

「ストップ!」


 急いでぺぺの口を手で塞ぎます。

 アリーナ様本人に声が聞こえないとはいえ、未来の国母に向かって無能だなんて。ぺぺ、恐ろしい子。


「なりたいだけでは魔法少女になれない」とぺぺの言葉をソフトに翻訳したら、たいそう残念がっておられました。


 騎士団に見つかると面倒なので早々に退散します。



 その後。アリーナ様の登場で存在を忘れていましたが、エスペイラが解けたリザードマンは、悔しがって叫んでいたそうな。 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ペペッッッッ。 聞こえていないからって、言うねぇ。 そんでもって時止めは無敵ですなぁ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ