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3 契約解除できないのは詐欺だと思うんです。

「ペペ。わたし、いつまでこの恥ずかしい格好をしていればいいのですか」

「てへへ。言い忘れてましたでし。魔法少女の契約は、魔物をこの世界から一掃するまででし」

「はぁああ!?」


 バル国内だけでも何十匹と目撃情報があります。たった二人で、全部を異界に返せと。

 やり遂げる前に寿命を迎えてしまいそうです。


 魔法少女に契約解除( クーリングオフ)制度はないのでしょうか。


「くーりんぐおふって、どこの世界の言葉でし?」

「心を読めるの!?」

「ぺぺは精霊だから当然でし」


 心を読めるのは当然なのね、そうなのね……。


「あたしはピチピチになれるの大歓迎です〜! 今のうちに学生服に袖を通したいので失礼しますね!」


 止める間もなく、ソフィアは飛んでいってしまいました。

 ……今後の話し合いをしたかったのですが。


 時を置かず、騎士たちが駆けつけました。

 魔物の爪跡残る平原と、わたしを見比べて呆然としています。


「これは一体。少女が魔物に襲われていると通報を受けたのですが何もいない。怪我はありませんか、お嬢さん」


 駆けつけた騎士の一人は、私と同じく城で勤続五十五年を迎えたルーカスでした。

 騎士団長なので魔物騒動のとき一番に出動するのです。


「怪我はありません。魔物は異界に送還したので大丈夫ですよ」

「我々騎士でも勝てないのに、おまえみたいな仮装パーティにでも参加していそうな娘が倒せるわけあるかあああ!!!!」


「よしなさいお前たち。お嬢さん。貴女のお名前を聞いてもよろしいか。送還、というのか、魔物を倒す条件が何か知っているなら話を聞かせてほしい」


 若い騎士を諌めるルーカス。

 事情聴取なんてされても、わたしも事態が飲み込めてないので無理です。


「ご、」

「……ご?」

「ごめんなさいーー!」


 逃げましょう。ホウキで飛んで逃げるしかないです。


「ぺぺをおいていかないで、ミラ〜」


 ぺぺも私を追いかけてきます。


「うう、この姿ではもう仕事に戻れません」

「にんげん誰しも、若くて美しい自分でありたいと思うものではないでしか?」

「若ければいいという問題ではないの。元に戻れないと、わたしは突然失踪したことになるわ」  


 中庭に戻ってきたものの……植木の影に座り込んで途方に暮れます。


「大丈夫。一回の変身時間は10分なので、そろそろもとに戻るでし」

「え」

 



 ぺぺの予告通り、ぽふんと音を立てていつものわたしに戻りました。


「生きた心地がしなかったわ……」

「あ、エデルミラさん良かった! ダメアンが見つかりましたよー!」


 若いメイドがかけよってきます。


「表立ってご主人様の悪口を言うなんていけません。誰が聞いているかわからないのですから、気をつけなさい」

「はぁい」


 今日のところはなんとかごまかせましたが、この先魔物が現れるたびに出動しないといけないです。


 ぺぺはなぜかわたしの部屋に居着いています。


「大丈夫でしよミラ! ぺぺがついてましから!」

「余計不安よ」


 こうして、メイドと魔法少女の二重生活が幕を開けたのです。


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― 新着の感想 ―
[一言] 十分間で倒さなければいけない!? これは時間操作をどうにかする相手が出てきたらヤバいですねぇ。 でもまぁ元の姿に戻れて良かった良かった。
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