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24 引き抜きなんてさせません!

「まずは赤い方から消えてもらいましょうか。アンタの送還さえなけりゃ、魔物はずっとこっちに残るんだから」


 黒い少女が指を鳴らすと、魔物たちがソフィア目がけて突進します。


 悔しいですが、わたしとルーカスに送還魔法がないのは事実。

 ソフィアが落ちたらおしまいです。


 それをわかっていて少女はソフィアを狙う。


「きゃーー! 来ないで、来ないでよー!」

「ソフィアは空に。ここはわたしとルーカスで弱体化させます! バレィラ

!」


 魔法の弓矢を紡いで魔物に向けて放ちます。

 矢を放つ瞬間に魔物が跳ね、わたしに向かってくる。


 このタイミングじゃ、防御が間に合わな……!


「油断するなエデルミラ」


 ルーカスがタイミングをはかって剣で突き、魔物が後方に吹っ飛びました。


「……ありがとうルーカス。助かりました」


 まずは一匹戦闘不能。ルーカスがもう一匹を引き止めている間に


「エスペイラ!」


 飛び上がろうとする片足立ちの体勢で、魔物が停止した。




「ありがと、二人とも! よーし! エクストラディクション!!」


 戦いを重ねたからか、魔法陣は大きく広がり、二体一気に光の中へ消えていきました。


「くっ!! ルーカス様。次こそ魔族側についてもらいますからね!! あたしは……キュリーは諦めない!!」


 背中に生えた翼で羽ばたき、少女……いえ、キュリーは北の空へ飛びさりました。

 時間切れとなり、三人とも元の姿に戻ります。


「なぜあの子は執拗にルーカスを仲間に引き込みたがったのかしら。要がソフィアだとわかっているなら、ソフィアを引き抜いたほうが効率的でしょうに」


 物影に隠れていたぺぺが、わたしのまわりをクルクル飛びながら答えます。


「あのこは、これでルーカス様はあたしのものよー!! とさけんでいたでし。いたい系ってやつでし」

「そ、そうなのね……」


 ぺぺ。アリーナ様に対しても無能って言い切ったし。怖いもの知らずというか……おそろしい子。


「もしかしてキュリーって子、ルーカスさんに惚れた?」

「あんな若い娘が、70の男に惚れるものか」

「乙女心をわかってないねルーカスさん。魔法剣士姿のルーカスさんってめちゃめちゃ美少年だもん。ね、ミラお姉様」


 仕事一筋でこの歳まで生きてきたわたしに、かっこいいかどうかと話をふられても困る。


 庶出で騎士団長にまで上りつめた、剣の腕がすごいのはわかります。

 70歳になる今でも「うちの娘を嫁に」と縁談が後を絶たないのも耳に入ってきます。


 そのすべてを断り続け、剣の道に邁進してきたルーカス。

 尊敬の念を覚えるわ。


 だからかしら。若い姿が美しいから惚れる、というのはピンとこなかった。


「ごめんなさいねソフィア。わたし、仕事ばかりで色恋に興味を持ってこなかったものだから。女なのに乙女心がわからないみたい」

「あららー、お姉様ってばもしかしてニブチン。そこもまた良いですねぇ」


 よくわからないことを言われて釈然としないものの、一応敵は退けられました。


 わたしももっと精進して、送還魔法を身に着けたいものです。

 そうすればソフィアだけが狙われる事態をさけられるでしょう。


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― 新着の感想 ―
[一言] いやぁ、まさかな三角形ですねぇ(*´艸`*) いったいどんな決着を迎えるんだこの関係性は(;゜Д゜)
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