12 ルークの伝言で不穏な気配!
「お姉様、今日の戦いは終わりました!」
2日後。
ぺぺが呼びに来たから出動したら、草原は平和そのもの。
魔物の姿はどこにもなく、ソフィアが私に冒頭のセリフを告げました。
「え、えええ!?」
これまでふたりがかりでなんとかしてきたのに、わたしが来る前に送還済み?
困惑するしかありません。
「ルークさんが剣でバシッと魔物を叩いてくれたので、その隙にビューッと」
身振り手振りで教えてくれるのですが、説明されてもまだ頭が追いつきません。
「と、とにかく、魔物送還に協力してくれてるってことはやっぱりルークは味方なのね」
「ええ。さっさと倒して何も言わず行っちゃいましたけど」
話していると足元にちょこちょことノノが走ってきて、わたしの手に飛び乗りました。
「ミラ。ルークから伝言なの」
「はい? わたしに、ですか。さっきソフィアと会ったときに伝えればよかったのでは……?」
まともに会話したこともないのに、会ったのは1度きりなのに、なぜわたしに。
よくわからないまま、ノノの伝言を聞きます。
「『俺が全部片付けるからお前は来なくていい』ですの」
「はぁ!?」
声を荒らげたのは、わたしではなくソフィア。
「お姉様に対してなんて言い草なの! あたし、いくら強い人だからってそういうの許せないわ!」
「お、落ち着いてソフィア。ノノ、どうしてルークはそんなことを? 理由を聞かせて。戦うなら、三人で力を合わせたほうがいいじゃない」
両手を振り上げて怒り狂うソフィアをなだめつつ、ノノに聞きます。
「ノノにはわからないですの。ノノは言われたことをそのまま伝えただけですの」
「そう。なら、ノノ。ルークに伝えて。その話は聞けません、と。仲間と助け合うのは必要なことよ」
「わかったの!」
ノノはわたしの手から飛び降りると、またトコトコ走って草むらに消えていきました。
「まったく。ルークさんは、お姉様に来るな! なんてどういうつもりなんでしょうね。強いのはわかりますけど、でもなんか納得いきません」
「ええ、本当に」
ようやく落ち着きを取り戻したソフィアだけど、まだちょっと鼻息が荒め。
「ぺぺが聞いてくるでし。ぺぺは精霊だから、魔法の気配をたどればルークのところに行けるでし」
「なら、お願いするわ。今後も一緒に戦うことがあるでしょうから、来るなと言われたままではやりにくいですもの」
「任されたでし!」
ぺぺは頼もしくもふもふの胸を叩いて、飛んでいきました。




