第4話 人間になれたなら
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「ルイス…ルイからとったのか。見た目は同じで、名前も似ているなんて面倒なことをするのだな」
我輩自身が一番驚いた。今まで、頭のなかで考えていた『言葉』を話すことはできなかった。それなのに今はまるでずっと人間だったかのように喋っているではないか…!
(これが人間か…)
「どうやら気に入ったようだな」
「ん?見た目が…少し我とは違うようだな。よく見ると目の形が猫目だ。目の色も猫のときから変わってないな」
(そう…なのか…?)
「まあ、概ね我と変わらないということはスキルの"レベル"が原因だろうな」
「レベル?スキルにそんなものがあるのか?」
「ああ。複雑なものになるにはまだスキルが若いのだろうな」
「そうだ!」
「リン!水晶を持ってきてくれ!」
「承知いたしました。ルイ様」
今水晶とやらを取りに行った女、ずいぶんと従順だな。そういえば我輩を捕まえた…確かリアムという人間もこの男の指示に従順だった。このルイという男、何者だ?
「ルイ様。水晶をお持ちいたしました」
「ありがとう」
「その水晶とやらで何かするのか?」
「これから御主のスキルを測ってやる」
スキルは測れるものなのか…?それに我輩はこの人間になにもしていないよな?なぜここまでする?何を企んでいるんだ?
「ルイ様。お待ちを」
なんだ…?
この広い部屋のせいか、我輩のずっと後ろにいたせいか、はたまたその両方か。このルイを呼び止めた男にちっとも気がつかなかった。…この男やたらとガタイがいいな。身長もでかい。金髪に…オールバック…?とか言ったか、とにかく「強そう」という印象がすごすぎる。そして黒色に銀のペイズリー柄のスーツはその筋肉のせいで今にもはち切れそうだ。そして黒色の蝶ネクタイ。
…我輩、こんなに言葉を知っていたか?オールバック? ペイズリー?
なぜか知っている。我輩自身、我輩のことを知らないことが多いようだ。後でいろいろ探っていくしかないな。
「ルイ様。まずはお客人にお洋服をお渡しになられては?さすがに裸のままというのは…」
「リアム…お前は細かいことを気にするのだな。我は気にならぬのだが…」
あのガタイのいい男がリアム?我輩を捕まえた男か。どうりで逃げ出せないわけだ。
服に関しては我輩も気にならん。と言いたいとこだが人間の身体で生活するには不便そうだな。ここは静かに貰っておこう。
バサッ
我輩は渡された服を着たが…ゴワゴワする。人間は毎日こんなものを着ているのか。ただ防寒性能はありそうだな。
「それではルイス!スキルを測るぞ!」
「そこにある水晶に触れ、スキルを使うイメージをしてみろ」
(イメージ…こうか…?)
そうしていると水晶のなかはゆらりと波打ち少しづつ文字が浮かび上がってくる。
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《スキル》
モノマネ 自身以外のものの外見をコピー
することができる。
使用できる時間は、『見る』<
『触れる』<『取り込む』
の順で長くなる。また、そのも
のの『DNA』を取り込むことに
よって無期限かついつでも再現
可能になる。
《スキルランク》 C+
《スキルレベル》 level2
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ずいぶん詳しく教えてくれるのだな。
なるほど…強くはないが何かと使えるかもな。
「ほう。DNAを取り込ませれば良いのか」
「リン!」
「はい。ただいまお持ちいたします」
ルイは、リンから受け取った小さなナイフで自分の親指を少し切ると垂れてきた血を小さなグラスに2、3滴落とした。
まさか我輩が飲むのか…?
「さあ、飲むのだ!ルイス!」
(やはりか…。)
我輩は恐る恐るルイの血を口に含んだ。量は少ないと言えど血液から香る金属のような匂いと、水とは違うどろっとした感触は今すぐにでも吐き出してしまいたくなった。
ただ、血液が喉を過ぎ我輩の身体に入ったところで妙に身体が軽く感じた。
血液を飲まされたのは本当に遺伝子を取り込むことだけが目的だったのか?
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