第3話 ルイス
さて、我輩は城に連れてこられたのだがこの部屋はおそらく「玉座の間」だろうか。
昔、街に落ちていた本に載っていた絵に似ているな。確かあの部屋も玉座の間とか書いてあった。捕まえられたときは敵意しかないと思っていたが拘束はされていない。
まあ、猫を拘束するのもどうかと思うがな。
それにしてもあの男どうにも気にくわない。我輩をここへ呼んでおいてかれこれ30分は待っている。それに、あの偉そうな態度!どう考えても我輩とキャラかぶりではないか!
「何をごちゃごちゃ言っておる。野良猫」
(やって来たか…)
「単刀直入に言う。御主スキルを持っているな?」
「ちなみに、我に隠し事はできんぞ?」
(それくらいわかる…)
「そうか、ただ一応な」
「先程から我は御主の《心》と会話しているが、これは我のスキル《精神感応》によるものだ。簡単に言えばテレパシーだな」
(やっぱりな。どうりで我輩の考えていることが筒抜けな訳だ。そうなると、我輩の猫生初の会話か…。)
「ん? 猫同士では会話せぬのか?」
(猫には言葉の概念が存在しないのだ。我輩はなぜか言葉を知っているが…。)
「そうなのか…。猫の世界もつまらんな」
(そんなことより、なぜ我輩はここに来たのだ?)
「ん?あぁ」
(忘れてたのか?)
「御主、人間になりたくはないか?」
(なれるのならなってみたいな)
「そうか、なら我の身体を真似てみろ!」
「我は御主が気に入った!」
(なぜスキルの内容まで…)
「なぜって、街でパンや小鳥に化けていたではないか。」
(見られていたのか!)
「それより、どうする?人間になるか?」
(もちろん…!)
我輩がそう決意を決めた瞬間、我輩の身体は崩れあの男のように。手足が自由に動く感覚。なぜか始めてではない気がする。世界に色が付き、目線は高く、手足は長く。変化するというより『戻ってきた』ような感覚がした。
「成ったな…」
「改めて、我の名はルイ」
「御主に《ルイス》の名をやろう!」
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