第77話 荒稼ぎ
朱斗と蒼鈴がメンバーに加わった！
さてさて、これは心強いぞ。
ピンチの時にちょうど駆けつける、これぞヒーロー！！カッコいいぞー！！
2人の与えたダメージは相当強く、カラミアが2人に対し強い警戒心を顕にする。
「グルル....！！」
「ありゃ、私達を警戒し始めましたね。」
「こっちばかり見ていていいのかな？」
何もしない朱斗と蒼鈴。
その姿を見て何かを察したが遅かった。
「だあああああ！！！」
私がカラミアの後脚に斬撃を当てた。
刀の技なんて知らないから魔力を込めただけなのだがそれでもかなりのダメージになったみたいだ。
「グォオオッ！！」
「な、ガハッ！？」
しかしカラミアはそんな傷気にするほどでもないと言わんばかりに大きな図体を回転させ、私を角の側面でぶっ飛ばした。
流石の火力、ものすごく痛い。
そのまま地面に着地出来たが勢いが凄く、アニメでよくある受け身時のズザザーッってやつが起きた。
「大丈夫ですか、ご主人様！？」
「ああ！」
ちょうどルザーナが駆け寄って来てくれたので高治療をかけ、傷を治した。
クロマも自身に治療をかけ傷を治した。
「グル..グルル...！！」
「...！」
「朱斗、私が奴を拘束する。その間の指揮を頼む。」
「わかった！」
そう言って朱斗は蒼鈴から離れ私達の所へ来る。
蒼鈴は鎖に魔力を込め始める。
「鎖術・縛鎖之大蛇。」
カラミアの周りに6つの魔法陣が展開され、そこから大きな鎖が現れカラミアの脚や胴体、首を縛る。
「強靭な首ですね、この鎖でも締め殺せないとは。」
蒼鈴がサラッと怖い事言った気がする。
「キジコ！蒼鈴があの魔物を抑えている間に魔力を溜めろ！！クロマ達は避難だ！！」
「了解！！」
朱斗のストレートな指示に従い私は魔力を溜め始める。ああ、ちゃんと町に当たらないようしているからね！
バキィンッ！！
「な！？」
前脚の鎖が一本切れた。
カラミアは地面をその前脚でガンガン叩いて抵抗している。
「ぎええ、このままだと...！」
「予想以上に切れるのが早い...！」
私も全力魔砲撃の準備をしているがこのままだと標準が合わない。
※魔砲発動中なので変に余計な意識が混ざると暴発や標準ズレ起こすので溜め技は敵がなるべくジッとしていなきゃ撃てないのだ！！
「...こうなったら...。」
クロマの魔法陣が変わる。
「時空操作：時間遅行、多重発動..！！」
カラミアを覆うほどにいくつもの時間遅行魔法陣が展開される、消えるたびにまた魔法陣が現れが繰り返され、クロマの魔力が秒単位でかなり減っている。
...決めるなら今だ！！
「くらいやがれ、全力魔砲撃！！！」
私は両手を前に出し、青紫に強く輝く魔力を放出する。
高濃度に圧縮された私の魔砲はカラミアの後頭部から胴体前半分を消しとばした。
シュゥ.....
「はぁ、はぁ、ど..どうだ？」
「...生命反応、ありません。」
...よし、討伐完了...
ズズッ
「え？」
「今の音...何？」
「...なんだよあれ...！」
カラミアの残骸から何か、木の根のような何かが広がり、消し飛んだ部位を徐々に再生させてゆく。
かつてロティアートはダメージの再生が追いつかず、もはや自身の原型は留めていなかった。
だがカラミアは、多少皮膚が黒ずんでいるがしっかり再生したのだ。
「生命反応...復活しました！」
「...本当に化け物じゃないか。」
カラミアは起き上がり、私達を睨む。
「貫・龍閃！！」
「フォールブレイド！！」
朱斗とスーロッタが大剣を振るう。
しかし...
ガンッ
「はあ！？」
「な！？」
鈍い音が響く。
「マジかよ...再生した部位が硬化している...。」
「ああ、ここは間接を狙おう。」
間接も硬くなるとその部位を動かせない。
ならそこは柔らかいままのはず...
ガッ
「嘘だろ..！？」
「これは...魔力壁か！？」
「グオオオオッ！！！」
「ガハッ！？」
「ぐぁっ！？」
硬化の正体は自身を模った魔力壁であり、2人では突破出来なかった。
「おいおい、これじゃ俺と蒼鈴が出張った意味がねぇじゃねぇか。」
「いや意味はあるだろう、流石に。」
「蒼鈴の言う通りだ。あいつ、魔力壁を張っている間は風魔法を撃って来ていない。もしかすれば風魔法と魔力壁は同時には使えないのかも知れないんだ。」
「..！！数秒考えさせろ！」
(今キジコが言った事が本当なら、適切な布陣を作成する事が可能、
キジコ達の行動を見る限りおそらく相手は風魔法をかなりの広範囲、高威力に発動する事が可能、
だが近づけば相手は魔力壁を張り、あの角で暴れる、町に近づくほど危険だ、
ならこの広い平野を活かす他有効手段は無い、
多少森に被害が広がるだろうが、距離をとって遠距離中心で責める方がいい、
奴も俺達を狙っている以上何もせず魔力壁だけを使い魔力切れを起こすはずがない、
遠距離が使えそうなのは蒼鈴、キジコ、クロマだ。
俺とルザーナ、スーロッタと言う男は、蒼鈴達が攻めて魔力壁の無い隙を狙い攻める役がいいだろう、
よし、様子見も込みでこれで行こう！！)
(4秒)
「全員町以外の方向へ散れ！！なるべく魔物から距離を取るんだ！！！」
その指示を聞いて散らばる私達。
「ルザーナとスーロッタはこっちへ来い！」
「「了解！！」」
すると朱斗の読み通りカラミアは魔力壁を解除し、周囲に風の波動を撃ち込む。
町の方には飛んでいないが流石に耐えるのに体力を使うわけにはいかないので全員回避する。
「奴が風魔法を使ったタイミングで撃て！！」
そう言った直後、カラミアは風の圧力砲を蒼鈴に向かって放つ。
「今だ！！」
「魔砲撃！！」
「雷撃砲！！」
私とクロマは砲撃技を同時に撃ち込む。
蒼鈴はギリギリで避け、
「鎖術・砲打！！」
カラミアの頭部を狙い命中させた。
さらにその隙を狙い、
「刻・龍爪！！」
「青之脚撃！！」
「ハードスラッシュ！！」
近接メンバーが一気に畳み掛け、カラミアに大きなダメージが入った。
(そしてこのタイミングで...！)
朱斗は再び攻撃する。
しかしカラミアは魔力壁を張り始めた。
「今だキジコ！最大出力でもなんでも撃て！！」
「わかった！...すぅ...チャージ開始。」
カラミアは魔力壁を張ったまま私に直接攻撃しようと動く。だが、
「鎖術・縛鎖之大蛇！！」
「破岩脚！」
「時間遅行！」
3人が少しでも時間を稼ごうと脚の動きを抑える。
カラミアは抵抗しようとその角を振り回そうとした時、
「「させるかあ！！！」」
スーロッタと朱斗が大剣で角を真っ向から受け止め、さらに動きを止める。
「うおおおおおおお！！」
「...チャージ完了！！全員退避だ！！」
足元の3人は横へ逃げ、前角を押さえている2人はクロマが転移で助けた。
「今度こそ終わりやがれ、強魔力大砲撃！！！」
フルブラストを超える膨大な魔力はカラミアに正面からぶつかる。
カラミアは全力で魔力壁を張り抵抗しているが、徐々にヒビが入ってゆく。
「グ...グオオオーーーーーッ！！！」
負けまいとカラミアは吠えるが結局敵わず、魔力壁は崩壊、森の一部を巻き込み空へとぶっ飛び、その光と共に跡形もなく消えたのだった。
ーーーーーーーーーー
1週間後...
「おーし！復活！！」
「あんた、元気になったのはいいけどまた変に無理はしないでね。また人様に迷惑掛けちまうから。」
「はは、すまんすまん！」
鎧揚げ屋のおっちゃんはすっかり元気になった。これにて短期アルバイト依頼終了である。
いやー...初日は酷かった、あの後事後処理や各所報告任務当てられたスー君がちょっと可哀想。
結局、初日以降は特に事件もなく無事依頼達成だ。
「1週間ご苦労様だった、ほらよ！」
50ゴールド(50万円)手に入れた！！
「ご...ごじゅ？」
「ん？やっぱり足りなかったか？」
「いやいやいやいやいや！？！？、バイトでこの価格は多すぎるって！！？」
「ああ、これは街を助けてくれた礼も含めてだ。受け取ってくれ。」
マジか...これはまた予想外...。
「ちなみにその礼金は町からのですか？」
「いや、俺の懐からだ。」
「ちょちょちょちょっと待った、なおさら受け取れないよ！！」
「へ？」
「思ってたんだけども鎧揚げ一個2ブロンズだよ！？どうやって経営してるのさ！？」
「ん？ああ！なーんだそう言う心配か！ならこっちに着いてこい！」
そう言われて案内されたのは町から少し離れた森の中。
見えてきたのは鶏の鳴き声がする建物...まさか！？
「実は本業はこっちでな、ここで育てた鶏を各国に売り儲けていてな。これでもかなり人気だから問題ねぇんだ。鎧揚げ自体は鶏の検食含めた趣味さ。」
建物の各所には病気や汚染対策の術式が貼られている。餌はこの町で採れた恵み、そして豊な自然環境を活かした生育地。まさにこの町だからこそ出来る美味さだったのだ。
ここに被弾してなくて良かった...。
「さて、依頼はこれにて終了したので私達は...
フォン...
「キジコ、エデルと帝国の両方からの話がある。」
「へ？」
転移が使える部下と共に現れたのは朱斗。
「これを。」
100ゴールド(100万円)手に入れた！！
へ？
「へえええええええええええええ！？！？」
「例の危険な魔物の討伐に自ら挑み皆を守った事を讃え、両国で決めた報酬だ。」
「ななななな....。」
「おい猫のあんちゃん...キジコさん固まってるぞ。」
「...すまん。」
数分後...
「...本当にもらっていいんだな？私だけが戦ったわけじゃないのに。」
「俺と蒼鈴は国側として任務をこなしただけだし、お前ら家族なんだから自由に使えばいいだろ。改修費の件も約束守った上でのこの報酬だ。」
「そっか、ありがとう。」
現在の金額、
キジコ)
・薬草3種：150シルバー(15000)
・小型魔物2種：8ゴールド(80000)
・大型魔物1種：30ゴールド(300000)
ルザーナ&クロマ)(ルザーナの服作ってた時)
・薬草2種：90シルバー(9000)
鎧揚げバイト
・他含め：50ゴールド(500000)
・エデル&サジェスからの礼：100ゴールド
(1500000)
現在合計金額、
190ゴールド、40シルバー
(188ゴールド、240シルバー)
日本円で現在1904000円
...すげぇ荒稼ぎできた。
だがこれであと少しで目標金額400万円の半分に到達する事が出来る。
「それじゃ、私達は帰るよ。」
「おう、気をつけてな！今後ともうちの鎧揚げよろしくな！」
「気をつけて帰れよ。俺はこの後まだまだ仕事がある。」
こうして私達はトラブル塗れの依頼を無事終了したのだった。
次の日またギルドで話題になって恥ずい目に遭いましたとさ。
