第74話 キジコちゃんの鎧揚げ屋
-ドゥークの森近辺の町ドゥーカルン-
「う...うう...。」
「あんた、大丈夫かい?いい歳なんだから無理して一気に材料運ぶんじゃないよ。」
「はは、すまねぇな。」
ギックリ腰を起こし、横になって苦しんでるドゥーカルンの鎧揚げ屋のおっちゃん。結構苦しい様子であり、奥さんに看病されている模様。
コンコンッ
「?、はーい!」
ガチャッ
「すみません、鎧揚げの短期お手伝い依頼で来た者なのですが...。」
「ああ、ギルドからの!」
「ん?その声どこかで...。」
おっちゃんは私の声を聞いて疑問浮かべる。
「私のご主人様ですよ。」
「お!?あんたはルザーナさんじゃないか!...て事はまさか...あの時の猫か!?」
まぁ驚きますよね。前に見たちっこい魔物が人間に化けて再び現れたんだから。
「大丈夫ですか?イグニールさんがすっごい深刻な顔で依頼して来たんだから。」
「はは、あの方ウチの鎧揚げが好きだったかな!イデェッ!!」
「あんた無理しないで。」
こーりゃかなりやられてるなぁ...。前世で父さんもギックリやった時すげぇ苦しんでたからなぁ。この世界◯キソニンとかないからな...いやツキノ草の鎮痛薬でワンチャン...?
ツキノ草...そういや。
昨日捕まえた研究所の奴ら、フォーセ鉱石の件は奴らだったけど...ツキノ草の件とは関係無かったんだよね。じゃあ結局あれは何だったのだろうね。
「ごめんなさいね、ルザーナさんと...えーと、」
「ああ、キジコです。」
「キジコさんね、仕事内容教えますのでどうぞこちらへ。」
私達は奥さんに作業場へ案内された。
ーーーーー
ここは主に加工された鶏肉の下処理をする所。この店は屋台と下処理場が一体化した感じ、ドライブスルーと似たような感じである。そのため下処理完了次第いつでも揚げる事が出来るのだ。
鎧揚げ...前世で言うところの唐揚げ。
確か弟のタケルが作るの得意であって、当時美味しい作り方を教えてもらった。懐かしいなぁ...今更ながらまた食べてみたいな、タケルの唐揚げ。
「師匠、私は鶏肉の下処理をします。師匠はどうされますか?」
「へ?ああ、私は鶏肉揚げるよ。」
「わかりました。じゃあルザーナ、呼び込みお願い。」
「はい!」
「決まったようね。それじゃ今から一連の流れを見せるからね。」
そう言って奥さんは鶏肉の下処理、下味付け、揚げの流れを見せる。その動きは長年この仕事をして来た者が見せる無駄のない手捌きであった。
「ほいお待ち!...試食してみるかい!」
「「「ぜひ!!!」」」
あむ..
「うまああああ!!!」
「美味しいです!!」
「ムグムグ(言葉にならない美味さ表現)!!」
「はっはっは、そうかい!でも旦那の方が美味しいからあたしの味で満足しちゃいけないよ!」
ぐぬ...!そう聞くとギックリ腰治ったおっちゃんのも食べたくなるじゃないか...やるな、この人。
ちなみに唐揚げは本来下味工程は味が染み込むまでは冷蔵庫で寝かせるが、奥さん曰く薬味の薬草が染み込みを手助けする効果があるらしく、それで短時間であんな美味さに出来るそうだ。
「じゃ、私達もやってみましょうか。」
「はい、師匠!」
「ルザーナちゃんは表で私の手伝いしてお願いね。」
「わかりました!」
「ああそうだ、これ着ておきな!」
そう言って奥さんは3つのエプロンと三角巾を出す。
「どう、着れるかい?」
「ご...ご主人様、これどう着るのでしょうか...?」
ああそうだった、ルザーナは元純粋な魔物だからまだ人間界関連の知識は疎い所あるんだった。
「どれ、私が付けてあげるよ。」
ルザーナは呼び込みなので黒いエプロンだけを着せた。
「これでよs....はわわ..。」
元のスタイルが良いのもあるけどエプロン着せるとまた違った美人オーラが...。
「...これは綺麗な方ね...。」
奥さんも見惚れとる...。
こんなのみるとまたもう2〜3着作りたくなるじゃないか。その際クロマとスアの服も作ってあげよう。
それから私とクロマは練習開始した。
「師匠、どうぞ。」
「え、下処理早っ!?」
「森にいた時は自炊楽しんでましたので。」
マジかスペック高いなこの子。
よし、私も頑張るか。下味つけて..油で揚げる!
ジュワーッ
ああ...揚げ物のいい香り...ってそんな場合じゃない。
いい色になって来たな、この辺で油から上げておくか。
「お、出来たかい?」
「あ、はい!」
「どれどれ...お、バッチリじゃないか!」
「「よし!」」
「じゃ、そろそろ開店時間だから私もそっちへ行くよ。ルザーナちゃん、1人で呼び込み任せちゃうけど大丈夫かい?」
「はい、お任せください!」
さぁ、キジコちゃんの鎧揚げ屋...開店!
ーーーーー
「いらっしゃいませー!!鎧揚げはいかがですかー?」
青髪美人が看板の横で呼び込む。
「おい、なんだあの美人さん!?」
「すごい...背が高いし..綺麗...!」
「鎧揚げだと!?」
みんな見事にルザーナの溢れる美人オーラに釣られる。なんか罪悪感。
すると1人の女の子がルザーナに話しかける。
「あ...あの..!」
「どうしました?」
「はわ...あの...どうすれば...そんな..綺麗になるのですか...?」
そういう質問!?
「フフッ、ちゃんと栄養摂って運動すればあなたも綺麗になるわ。そうね...鶏肉は栄養いっぱいあるから、是非食べてみない?」
「は..はい!」
そして呼び込み上手いな!?
「あ..あの、鎧揚げください!えーと..6つです!」
「ありがと!12ブロンズね。」
(この人も綺麗...。)
「ん?嬢ちゃんどした?」
「あ..いえ!」
「ほら、どうぞ!」
「ありがとうございます!」
「お、俺もください!!10個!!」
「私も!8個です!!」
「12個ください!!」
「一気に来た!?いらっしゃいませー!!」
一気に客が並び始める。これは忙しくなるぞー!!
ーーーーー
「はい7個お待たせ!!」
「キジコちゃんとクロマちゃん、そろそろ休憩入りな!私がやっておくよ!」
「あ、はーい!」
ふぅ、すっかり昼過ぎちゃったけど疲れたー!飲食店の人って毎日こういうのするってすごいな...。
「ご主人様、大丈夫ですか?」
「ああルザーナ、大丈夫だよ。ルザーナこそ大丈夫?」
「はい!まだまだ元気ですっ!」
ほんと元気な子だ。
そうしてゆるゆる休憩してしばらく経った時だった。奥さんが私達の元へ来る。
「あんた達、ちょっと来てみな!」
「へ?あ、はーい!」
奥さんに呼ばれて作業場へ戻る。
すると、店の前には懐かしい姿があった。
「...お久しぶりです。キジコ様」
「...!!」
長身で落ち着いた雰囲気、大きな剣を持った男。
以前共に旅をした仲間、スーロッタがいた。
1ブロンズ十円なので鎧揚げは一個20円という計算になりますね。
地元特別価格だそうです。どうやって経営維持しているのやら?




