第71話 ステルス(敵目線)
今回の話はキジコがどこかでステルスアクション(?)してます。ちょっとしか出番ないけど何かをしているよー。
ザッザッザッ...
「はぁ...夜の警備は怖ぇし面倒だな..。」
「大型魔物がいる地域じゃないだけ良い方だ。」
ヴィンの森、研究所付近。
夜の警備を任された傭兵の男2人がなにやら話している。
「それにしても見たか?研究所から出てきたあの魔物達。」
「ああ、見てるだけで背筋がゾッとする。あんなおっかない奴らを新しい兵器にするなんて世も末だ。」
どうやら警備に配置された例の改造魔物を見たらしく、夜という事もあって恐怖しているようだ。
「こんな仕事するなら低所得でも町でゆるゆる平和に過ごした方が幸せだったかなぁ。」
「ヘッ、今生きているだけでも十分幸せだ。」
シュンッ...
「...あれ?」
「どうした?」
「..っかしいな...紋章板がない。」
「警備の交代した時に落としたんじゃないのか?」
「そうかもな、入り口の方を見て来るわ。」
そう言って男は研究所の入り口付近に向かった。
探して3分後...
「お、あったあった。ここに落としていたか...いやぁ焦った。」
彼は紋章板というカードをなんとか見つけたようだ。だがある事に気づいた。
パラッ...
「あれ...なんだこのチラシ?」
☆店員募集☆
•パーシ手芸店
・場所:エデル領域、リーツ
・募集人数:2名
・時給:9シルバー、5ブロンズ(950円)
条件は特にありません!!
(本広告発行日 5/20 )
「...なんだこれ、店員募集?...発行されてまだそんなに経ってない。...後で相棒に見せてみるか。」
ーーーーーーーーーー
研究所内、第1フロア...
「ねぇ、マギアシリーズの警備はどうなってる?」
「ああ、周辺に配置した奴らか。今のところ異常はないな。」
第一フロアの警備室。
研究員の服を着た女性が警備の者に話しかけている。
マギアシリーズ...以前キジコ達が戦った改造された魔物の事のようだが...?
「正常機能しているなら問題ないわ。あれは次世代の兵器となる物、3ヶ月後には量産体制が整って各国に売却するのだから、こんな所で失敗するわけにはいかないわ。」
「兵器...思えばあれどうやって制御しているのですか?」
「あの兵器は下級支配というスキルを用いて操っているの。外にいるのは全て私が操作しているわ。」
「え、あれ全部をですか!?...流石に負担かかりません?」
「大丈夫よ。
下級支配は本来自分よりずっと弱い者しか操る事しかできないスキル、しかしマギアシリーズは人工的にそのスキルで操れるよう特殊な波長を流してあるの。
本来の運用と比べれば単純行動のみで、低負荷ではあるけれど正確な動きができないの。でも、人工魔法具から発する特殊な信号を組み合わせることである程度精密な動きも出来るようになったの。
だからマギアシリーズは下級支配さえ持っていれば1人で大量の武力を得られる素晴らしい兵器なの。この研究はもはや成功したも同然だわ!」
「ですが...その場合その1人、例えば貴方が気絶や死亡した場合は...解除してしまうのではないのですか?それに貴方も研究通しで疲れてるのじゃないですか?」
「ええ、ですから流石に安全なフロアに戻りますわ。警備お疲れ様でs
バシッ
「ッ...。」
「...あれ、どうしましたか?」
バタッ
「ええ!?ちょっと、大丈夫ですか!?しっかりしてください!!」
女性が急に気絶、その場に倒れ込んだ。同時に...
「あれ、外のマギアシリーズが次々停止してる...!?やっぱり負担かかり過ぎてたんだって!!誰かー!!誰かー!?」
シュンッ..
「へ!?...今誰...
...。
「...気のせいか?」
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第一フロア、大型荷物搬入口
「ガルルルッ!!」
「ギャオ!!」
「ジャアアッ!!」
「ニ゛ャー!!」
「ああ..うるさい...。いつも耳に響くよこれ。」
次々運ばれて来るのは檻に入れられた魔物達。
「搬入ご苦労様です。」
「ご苦労どころじゃないんすよ、段々数が増えていませんか!?」
そう叫んでいるのは猟師のような初老の男。どうやらマギアシリーズの素体の捕獲を行なっているのは彼のようだ。
「マギアシリーズの量産体制がそろそろ整い始めているだけあって、様々なサンプルが必要になっています。」
「...ハァ。」
やはり魔物の捕獲は大変なようで、量産体制が整うにつれまたさらに仕事が大変になると先が思いやられる。
「ギャオゥッ!!」
「アオーン!!」
「ニ゛ャー!!!」
「うるさい!!...この仕事疲れるんですよ?流石に給料増やしてもらいますからね...。」
「勿論です、ちゃんと弾みますよ。...それにしても大型鳥にキツネにネコ、色々面白そうですね。ああすみませーん、第3フロアへお願いしますね。」
素体となる魔物達はエレベーターと思われる装置で下へ運ばれていった...。
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「教授、先程新たにマギアシリーズの素体となる魔物が搬入されました。是非、制作過程を見ていきませんか?」
「勿論だ、部下の研究成果はいつも楽しみだ。」
ここは第3フロア、マギアシリーズを改造するための大型施設だ。
そこにはこれから改造されるだろう魔物達が魔法か何かの鎖で拘束状態に置かれている。魔物達は身動きを取ろうとも取れない、待ち受けるのは死よりも惨い結末。
本能で理解した者はただ震えるのみ。
「ほぅ、あの人工魔法具はたしか...第二研究所が開発担当だったかな。随分性能が上がってるみたいじゃないか。」
「はい。多くのデータを集め送る事でより安定のある人工魔法具が日々出来ております。その名も[ギアスター]、新たな兵器の基本となる素晴らしい道具でございます。」
「ジャアアアッ!!!」
「さぁ始まりますよ。素体は4速歩行型のサラマンダーですか...ふむ、面白そうです。」
「期待するよ。」
サラマンダーの魔物に刃物が向けられる。また一つ命が惨い終わりを迎える...
時だった。
「ア゛オ゛オーーーーーン!!」
「「!!」」
突然、オオカミ魔物の大声が響く。その方向を見てみると拘束が解けたオオカミがいるではないか。
それからさらに、サラマンダーや大型鳥、大蛇や猫が暴れ始める。
「な!?拘束が解けている...!一体どういう事だ、早く押さえろ!!」
「大変です、何者かに解除された痕跡があります!!」
「なんだと!?」
そこには鎖が何かで切られたような状態で落ちている。
「これは一体..!?」
「所長!!第4のフロアにて異常発生です!」
「な!?第4フロアは..!!」
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ダッダッダッダッ....
「な..これは!?」
第四フロア、人工魔法具や重要資材が収納されている倉庫である。
だが全てめちゃくちゃになっている。
「ぎ...ギアスターが...!!」
「..だ..誰がこんな事をした!?」
「ようやく見つけた。あんたが教授と所長って奴?」
「「...!?」」
教授と所長の周りに青白い光球が発生する。
「あんたらを探してた。」
音も無く、後ろには獣人の姿があった。
次回ステルス(キジコ目線)




