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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
波乱のマイライフ編
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第70話 作戦開始

 翌日、夜


 「準備は整ったか?」

 「ああ。」


 キジコです。

 空間収納を習得し、ようやく改造魔物が作られる悪の研究所へ向かう準備が整った。


 研究所に突入するのは私だけ。

 スキル:隠密を使って行動するなら人数が少ない方がいいし、向こうの狙いは私自身だ。他の皆んなを下手に巻き込むつもりはない。


 だがルザーナとクロマが「どうしても心配です!」と言うので、行きはルザーナに乗って、帰りは合流地点でクロマの転移で逃げる事にした。


 •行き→自分とクロマがルザーナに乗って行く


 •帰り→合流地点でクロマの転移


 現在檻の中にいる例の研究員があれから言った情報は、


 •研究所は森の洞窟内地下6階建て

 •各階層に改造魔物が逃げた際の処理手段として爆弾がある

 •下の階層に行くには許可証が必要

 •所内は監視スキルが張り巡らされている


 という事だった。

 まだ情報出ただけいい方だと捉えておこう。嘘情報なきゃいいけど...。


 「黒之染色カラーブラック。」


 私は服を黒く染めた。


 「...本当に一人でいいんだな?」

 「ああ、朱斗と蒼鈴はもし何かあった時のために念話通信をする、もしくはして欲しい。あの研究員がまだ何か隠している可能性がある。」

 「了解です。」

 「...今更だけどタメ口でいいよ?そっちの方がスムーズだし。」

 「え...。」

 「朱斗、別にそれでいいだろ。」

 「...じゃあ、わかった。気をつけて行けよ。」

 「ああ!」



 外に行くとサラマンダーの姿をしたルザーナがいた。


 「ご主人様。」

 「...行こうか。目的地はヴィンの森だ。」

 「はい。」

 「お待ち下さい!!」

 「?」


 やってきたのはギルドの受付のお姉さんだった。


 「どうしました?」

 「ギルド長が、キジコ様にこれをと。」


 渡されたのは薄く丸いガラスのレンズのある小さな道具。ルーペってやつか?


 「これは?」

 「魔法具、見通之眼ミトオシノメです。ギルド長が今回の作戦に、手を貸したいと私にこれを届けるよう頼まれました。[隠された真実を見る事が出来る]との事です。」

 「魔法具か..。ギルド長さんにありがとうって伝えておいてください。それと受付のお姉さんもありがとう。」


 『キジコ様ー!!』

 「ん?」


 空から緑に光る何かが来た。


 「スア!...自分の家というか土地から離れても大丈夫なのか...?」

 『大丈夫よ!これを渡しに来たの。』


 スアが持ってきたのは三つの四角い石。


 『これはね、音鳴おとなりという石なの。魔力を込めて投げると音がなるの。きっと何かに使えると思ったのでスアは持ってきました!』

 

 マジか、これは使えるぞ!

 遠くに投げて囮にしたり、音の反響音で周囲把握もできる。いい子じゃないかスア!!


 「ありがとう、ありがたく使わせてもらうよ、スア。」

 『えへん!!ああちなみにお試しとしてもう一つあるからここで使ってみるといいの。』


 スアからお試しの音鳴をもらう。

 魔力か...少し込めて...そりゃ!


 バンッ


 『おお!?』

 「はは!これは使えるじゃないか!」


 もっと魔力込めれば音の爆弾としても使えるんじゃないかな。なんにせよさっきの魔法具といい大当たりだ。


 「じゃあ、行ってくるよ。」

 「お気をつけて下さい、キジコ様。」

 『帰り待ってるの!』


 私とクロマはルザーナに乗って、ヴィンの森を目指し進むのだった。



ーーーーーーーーーー


 「例の研究はどうかね?所長くん。」

 「へ?あ、教授!?」


 ここは例の研究所。

 立っているのはこの研究所の所長と、教授と呼ばれる男。


 「...人工魔法具を用いた新型魔物兵器の研究は着々と進んでおり、3ヶ月後には量産体制が完了します。」

 「素晴らしい。ついに人類は魔物を制する事が出来る日は近いという事だ。」

 「ありがとうございます。」


 その部屋には配線に繋がれた姿の、改造された魔物の数々。...惨い光景である。


 「ただ...、お2つ話すべき事がこちらからございます。」

 「...?どうした。」

 「1つは、フォーセ鉱石を取りに行ったうちの研究員が妨害され、リーツの警兵に捕まった事です。」

 「...?確かそいつには改造魔物を与えていたはずだが?」

 「はい、ですが...呆気なく破壊された跡がルース草原で確認されました。」

 「...!誰がやった?」

 「例の神獣候補です。」

 

 教授はそれを聞き強く驚いた。


 「馬鹿な!?こちらから与えたワイバーンも連れていたのだぞ!?」


 改造ワイバーンは教授の研究所で作られた兵器。作成に関わっていたこの男は予想外な事実にさらに驚愕した。


 「ワイバーンもやられておりました...。」

 「...!?...そうか。」


 (例の神獣候補...どうやら想像以上の強さのようだ。生半可な兵器ではやはり勝てないか...。)


 「それともう1つです。」

 「!」

 「教授が進めております、例の研究に関する話ですが....。」


ーーーーーーーーーー


 ここはルース草原。

 そこを猛スピードで突き進む私達。


 ダダダダダッ

 「うぐぐ....。」

 「す...すごい速度です...!!」


 ルザーナの速度は以前よりもずっと速く、油断すれば風圧で吹っ飛ばされてしまいそうだ。そのため自分より身長の高いクロマに押さえられながら騎乗している。


 ....しかし速度重視すると乗り心地は悪いものである。


 「クロマ...森まであとどれくらいだ?」

 「あと17kmです!」

 「じゃあルザーナ、5km地点の岩場に着いたらそこで降ろしてほしい。そこを合流地点として私は研究所に向かう。」

 「了解です!」


 近づき過ぎるとバレる可能性が高い。なので付近にある複雑な地形の岩場を合流地点とする事にした。


 フォンッ...


 ...!朱斗からの通信だ。


 「どうした?」

 「キジコ、ヴィンの森周辺3kmには気をつけろ!今研究所は教授と呼ばれる男が来ているらしい、それにより例の改造魔物が警備として配置されている。」

 「了解!」


 運が良いのか悪いのか、今が攻めるチャンスかもな。その教授という奴が何か知っているに違いない。


ーーーーー

 

 「よし、この辺りだ。」

 

 ルザーナは減速し岩場に止まる。


 「...あれが警備の改造魔物ね..。」


 そこにはこの前見た例の研究員が召喚したのと似た見た目の魔物がいる。間違いなくこの先に研究所がある。


 「師匠、どうかお気をつけて。」

 「ご主人様、ご無事を祈っております。」

 「ああ、行ってくるよ。」


 私は隠密を発動し、風と闇に溶け込むよう進む。


 作戦の最優先事項は生きて帰る事。

 待っていろ、家族とスローライフを守るためにいっちょ突撃じゃー!!

クロマ「...。(シュゥ....。)」

ルザーナ(人間体)「どうしましたか?」

クロマ(ルザーナ...さんも..綺麗...。)ガクッ

ルザーナ「クロマさん!?」

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