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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
波乱のマイライフ編
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第66話 何が似合うかな

 ルザーナの服かぁ...ふむ。


 キジコです。

 現在、人の姿になれるようになったルザーナのために服を作ってあげようと思い、どんなやつ作ろうかを考えているところです。

 というわけで翌日、


 「お買い上げありがとうございます!」


 ひとまず木材と大量の糸を購入完了、他の道具は朱斗達が貸してくれるとの事。


 昨日あの話の後に見たルザーナの人間体は、

 •青い髪

 •前髪が長い

 •長身

 •綺麗な金の目

 •青い尻尾

 と言った感じだ。正直言って良いスタイルのお姉さんって見た目。

 

 ならどんなデザインで作ってあげようかな。

 •和風

 •洋風

 •武闘家スタイル

 •爽やかカジュアル

 ...悩むなー...。


 現在5月18日、季節的にはまだ暑いとは言いづらいし、かと言って寒いわけじゃないからなぁ。

 おまけに以前ヴァリールさんから貰ったレシピはミーシャに預けてあるからなぁ...。私空間収納使えないし。


 思い出せ...前世コンビニで見た雑誌を...


 ...ぬぉ!!あれだ!!

 思いついた私は全力ダッシュで館に向かうのだった。


ーーーーーーーーーー


 「ほー...これはすごい。」


 向かったのは館の作業部屋。中には流石と言わんばかり、様々な道具が揃えてある。

 布織り機もあるようだが...なんか知ってるのとは違うな。


 「朱斗蒼鈴、使ってない布織り機とかはあるの?」

 「あちらの布織り機はもう使ってないそうです。」

 「今は魔法を駆使してよりハイテクというか、人の技術と魔法の組み合わせな技術が普及しておりますので、全手動型はもう使わないとの事です。」

 「あれ貰っていいかな。」

 「?いいですけど..。」


 ふむ、見た感じ前世の技術とは違う点も有れば別にそこまで大きく離れてはないな。

 全手動型と言っていたが、一部魔法や術式の跡がある辺り多少使用されてはいたみたいだな。そしてその辺りが破損している。


 しかし重要な所が壊れていないので買ってきた木材で十分改造可能だな。よーし、



 「キジコ様ー、お茶いれましたよー。」


 タビがやって来た。


 「ん?それ使ってない布織り機ですね。...なにやら色々改造しているようにも見えますが..。」

 「私の知ってる技術に合うようセットしてるの。にしてもこの布織り機、使ってないって言う割にはかなり良い品じゃん。」

 「そうですか?それは魔法応用点が少ない頃の物なので効率悪いと思うのですが...あ!?」

 「ん?どうしたの。」

 「これ魔法盤じゃないですか!?これつけておかないと魔力による効率化が出来ないですよ!?」

 「いらない、私の知る技術にそんなの無いし。」

 

 魔法がない世界から来ましたので!

 そんなこんなで布織り機完成。元が完成してあった物を改造しただけなので意外と早く出来た。


 というわけで糸をセットをして布を作り始めた。


 「ま..魔法無しで布を作るなんて...。」

 「そこ静かに。」

 「は、はい..。」


ーーーーー

 バルバの森


 キジコの代わりに弟子としてクエスト受けたクロマとついて来たルザーナ。


 (ジーっ....。)

 「...。」


 (ジーっ...。)

 「あの...ルザーナさん、何か用ですか?」


 クロマを見つめるルザーナ。

 

 「...たしかご主人様に従属するとかなんとやらと言っておりましたので、どのような方かなと気になりまして。」

 「ああ、師匠の事でですね..。私は師匠に戦い挑んで惨敗したので弟子になりました。」


 ※ほぼ無理矢理弟子に志願しました。


 「クロマさんは魔法使いのようですけど、どんな魔法が得意なのでしょうか?」

 「雷と空間魔法ですね。空間魔法は転移や飛行、時空操作など色々使えます。」

 「へぇ....ん?時空操作?」

 「時空操作は一定の範囲内に働く魔法です。私が使えるのは指定範囲最大5m、範囲半径4m以内の時間遅行ですかね。3秒しか持ちませんが。」

 「...ご主人様との戦いでは使わなかったのですか?」

 「これ構築が大変なのであまり使わ無いのです。」

 「...なるほど。」


 この子努力させたら絶対超強くなると思うルザーナであった。


ーーーーー


 作業開始からしばらくして、出来上がったのは見事な大きな布。


 これだけあれば良い服作れそうだな。

 というわけで私は紙と羽ペンを用意して急ぎ図を描く。


 •イメージはノースリーブのワンピース。

 •色は薄い水色。

 •ちゃんと尻尾の位置を考慮して作成。

 •下着は別の丈夫な布を使う。

 あとは靴だな...。


 「...かなり描いてますね。お茶のおかわりです。」

 「あ、ちょうどいい。」

 「へ?」


 ズバババッ


 「このレシピ通りのパーツを作れないか町の靴屋かどこかに頼んでもらえるかな?」

 「へ?」

 「私自身の腕ではそれ作れないからお願い。」

 「いや、あのー..。」

 「あれ、靴屋ない?」

 「いえ...私ならお作り可能なのですが...。」

 「え?」

 「これでもこの部屋の管理者で他の従業員にも色んな技術を教えている側なんですよ。」


 まっじか、それは予想外。


 「とりあえず材料見た限りではすぐに集められそうなので、こちらはお任せ下さい。」


 そう言ってタビは消えるようにどこかへ向かった。まぁこちらはこちらで進めておこう。


 服に関しては前世で、お母さんが女性服のソーイングスタッフ、叔母さん(母の妹)がデザイナーの姉妹で仕事していた。たまに手伝っていたから、使うかどうかわからなかった知識が今活かせる。


 まぁその時のお陰で趣味に裁縫が増えたんだよね。


 ハサミと針と糸を用意、いざ作成スタート!


ーーーーー

 再びバルバの森


 「あった、これですよね?」

 「はい、間違いなくツキノ草ですね。主に鎮痛薬として使われます。」


 目的の薬草を見つけた模様。

 

 「へぇ、こんな植物にそんな効果が..。」

 「...そういえば以前、師匠が受注した依頼にツキノ草が12本も依頼されていたのですよね。」

 「ん?それがどうされましたか?」

 「ツキノ草は一本で8〜10人分に十分な効果をもたらすのですが...12本も一体何に使うのか気になりまして。近隣の病院は鎮痛薬が切れたって情報もなかったので妙なのです。」

 「依頼主は誰だったのですか?」

 「...書かれていませんでした。」


 ...本当にそれは妙な話である。

 冒険者ならただ回復薬やポーションを飲むから基本鎮痛薬などいらない。

 そして近隣の病院も在庫はまだあるとの事。

 なら一体誰がなんのために...?


 「とりあえず、依頼の品はまだありますので頑張って探しましょう。」

 「はい。」


ーーーーーーーーーー

 それからしばらくして、夕方。


 ....よし、大体こんな感じかなぁ。疲れた。


 そこにあるのは薄水色でノースリーブのワンピース。丈は長め。

 服自体は見た目より割と軽いので体の負担も少ないだろう。

 

 下着も含めサイズはルザーナに合わせてある。(事前に色々耐えながら女性従業員さんの手伝いの下サイズチェックしました)


 「キジコ様ー、こちらも大丈夫ですよー。」

 「あれ、意外と遅かったね。」

 「肝心な材料が近所では在庫切れでしたので。」 

 「ありゃ、そうだったか。」

 (肝心な材料...?)


 そして仕上げとして私はすぐに取り掛かった。作るのは白いサンダル、きっと似合うだろうと思いオシャレ物として作ろうと思った。


 しばらくして...


 「ふぅ、完成した。まだ比較的仕組みがわかりやすいのが良いんだよね。」


 これにて作る予定の物は一式揃った。

 あーでもこの建物土足禁止だから、出来立てのサンダルでも履くのは後にしてって言っておかないと。


 あとはルザーナの帰りを待ちますかなぁ...いやダメだ眠い。

 一気に睡魔が襲って来た。


 「タビ、この前の...寝室借りて..いいかな?」

 「へ?構いませんが...後片付けは私がしておきましょうか?」

 「ごめんなさい...お願い。」


 そのままフラフラ私は寝室まで向かい、そのままベッドに倒れ込むように寝た。



ーーーーーーーーーー



 「...さい、」


 ...。


 「...きてください。」


 ...んん。


 「起きてください、ご主人様。」


 ...ん?


 私は起き上がる。

 そこにいたのはルザーナ。


 「...!!」


 挿絵(By みてみん)


 「...似合っていますか?」

 「うん、とても似合ってるよ。」

 「...ご主人様...ありがとうございますーーっ!!」

 「わぁ!?」


 すごい勢いで抱きつかれた、本当に嬉しかったんだね。

 ...そういやこうやってハグするのも初めてだな。よしよし。


 すっかり大人びたと思ったけど、どこか子供らしさあるルザーナでした。

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