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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
異世界参上編
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第6話 夕飯と団欒

 


 (補助サポートスキル:精神強度のレベルが(5)になりました。)


 (補助サポートスキル:威圧耐性のレベルが(5)になりました。)

 

 途中で震え声がなくなった時点でなんとなく察してはいたがやっぱレベル上がってたか...。



 あの後ヴァルケオ達が森を案内してくれた。

 その際木の実に果実やらアイアンディアーなど肉といった食料を発見。今日の、いや私からすればこの世界で初めての夕飯用の食材。


 果実などは主にみかんといった柑橘類。

 だが今猫の私はみかんに対し肉体が本能で嫌がっていた。前世の影響か意識的には平気だったが猫って皮の匂いが嫌いだと聞いたことがある。そして皮の成分には猫には分解できない、いわば猫にはとっての有害物質が含まれている。

 だが中身は食べれるみたいだ、飲食鑑定でそこは判別できたからだ。一応体に良い栄養も期待できるかも。

 とはいえ食べ過ぎると何起こるかわからない。そのためアイアンディアーを中心に食事していこうと思う。



 夜、夕食時

 ここは精霊水の川の場所だがさっきの場所よりも上流に位置する。

 その近くでマウリの起こした火の魔法での焚き火を囲む様に私達は食事をしていた。

 

 「キジコちゃん、その果実皮を剥いて食べるの?」

 「?..そうですけど」

 「僕達魔物はそういうの気にせず皮ごと食べるのだけど、前世では皮は食べなかったのかい?」

 「皮は基本食べませんでした。それにこの体ではみかんの皮は毒なので。」

 「毒なの!?」

 「みかん...?向こうの世界ではそんな名前で呼ばれていたのか。」

 「確か...人族の間ではサンの実と呼ばれていましたね。」

 「ほぇ。」

 

 まぁ地域ごとに名前が違う物があるなんて前世の頃から山ほど溢れた話だ。

 今更驚く事でもない。

 あれ、そういえば皮が分厚いからこれオレンジか。まぁどうでもいいか。


 「そういえばそろそろ冷えてる頃じゃないの、アイアンディアーの肉。」

 「変わった食べ方ね。やっぱり、前世ってやつの影響?」

 「ええ、技術的なのを身につけたいのもありますが、完全に魔物の心になってるわけじゃないので意識的な拒否がありまして...。」

 「なるほど。ちなみに余った部位は我らが食って良いのか?」

 「はい、どの道食べきれないので。」

 「では後ほどありがたく受け取るよ。」


 そうして私は血抜きと冷却を終えた鹿肉(モモ)を火の近くに置き焼いてみた。

 念力とかあれば自由に浮かして操ってまだマシな料理できると思ったんだけどな...。

 

 ...待てよ?


 「そういえばこの中で、物を自由に浮いたり操ったり...あー念力を使えたりする方っています?」

 「念力?それくらいなら我ら全員使えるが..。」

 「教えて欲しいのです!」

 「おおう、えらく急だねキジコ。何かやりたい事でも見つけた?」

 「はい。それがあれば今の体でも色々できるので。」

 

 猫の体だと物を扱うことができない。

 特に罠を張ったり、鍋を使ったr...いや鍋ねぇわ。

 土器でも作るか?いや手間がかかり過ぎる。

 土器作るくらいなら鉱石探して火の魔法使って鉄だの合金作る方が長く使える。

 いや待て合金の知識ないから流石に無理だ。

 心当たりあっても親戚の現代刀鍛治職人のおっちゃんの日本刀製作の見学ぐらいだ。

 調理器具はまだ早いか...。



 とりあえず食事を終えた。さて寝場所とか確保しな....きゃ....あれ..。


 「ん?どうしたキジコ。」

 

 バタン


 「キジコちゃん!?」

 「落ち着いてマウリ、寝ただけだよ。幼い魔物の体に転生して1日目で過密スケジュールくらってたんだ。疲労で寝てもおかしくない。」

 「我とテューニは一度この辺りを見回る。マウリ、キジコを連れて帰ってくれ。」

 「わかったわ。じゃ、また後で。」


 そうしてヴァルケオは森の中へ走って行き、テューニは暗くなりゆく空へ飛び去った。


 「ふふ、かわいい寝顔。起こさないよう慎重に行きますか。」


 そしてマウリもキジコをふわふわの毛で覆われた背に乗せ神域へ向かった。


 


ーーーーーーーーーー


 「あの方の様子はどうです?ディメン。」

 「あら〜閻魔ちゃん、いらっしゃい。」


 ここはディメンの庭園

 そこに現れたのは大体175cmの身長でスラっとしたスタイルの長髪黒髪女性。

 

 彼女の名はめい、現閻魔を務める者。

 先代である祖父から後を継ぎ、亡者の魂の行き場を判定する黄泉の秩序を守る存在の1人。

 甘いもの可愛いものが大好きで、自分の目付きの悪さが昔からの悩みの女性でもある。


 「あの方ってキジコちゃんの事?」

 「そうです、転生してそろそろ1日経つ頃ですが今どんな様子かなと。」

 

 まぁ気になるわよね。


 「安心して、向こうの住民と早速仲良くさせてもらい、今はぐっすり寝てるわよ。」

 「ふぅ、そうですか。前世の未練強さで暴れたら大変でしたので。」

 

 そういえば過去にあったわね、閻魔からの判決が決まった後で突然現世に戻り狂人化した例が。


 「....結局、あの未練の強さについて何かわかった事はあったの?」

 「ダメでした。私にも初めてだったので過去の記録を調べても大元の原因が分かりませんでした。あの異常すぎる現世への執着心。」

 「というと?」

 「大抵の亡者にたまに残る現世への未練を10kgまで耐えれる紐とします。紐に縛ってでも離れたくないものが現世にあると言う表現で。」

 「ふむ。確かメイちゃん、そういうのが見える能力持ってたわね。」

 「はい。そしてキジコさんの場合、10t以上でも余裕で持ち上げれてもおかしくない強い鎖だったと表現しても良いでしょう。」


 ...そんな強い鎖を表現しうる感じなんてあったかしら...?


 「....妙だわね、あの子と直接話をしてみたけどそんな強いものは感じなかったわ。それどころか素直に転生受け入れたくらいだもの。」


 そう、あの子はすんなり転生を受け入れ、魂を休めるためもかね新たな生を与えた。


 「その通りです。あの方は確かに未練があった。ですがおそらく、あの鎖は別物。もっと別の恐ろしい何か。」


 別....あの子が無意識に何かを秘めていた..?

 待って、そもそもそれは未練なの?

 それとも...まさか..

 


 

 第三者...?



ーーーーーーーーーー

 

 テューニ視点



 「ヴァルケオ、あの子のステータスもう一度みた?」

 「ああ、いつ間にか最初あった時よりスキル増えてた。早いなぁ子供の成長って。」

 「それの内に入るか...?」

 

 ヴァルケオはたまに天然な一面があるんだよね...。


 「だが気になる事が一つあった。称号、多趣味について。」

 「多趣味?色々な趣味や能力を持てるってことかい?」

 「おそらくな。」

 

 マジか、あの子才能溢れてるじゃん。

 成長楽しみ。


 「だがテューニ、スキルは称号によっては影響受けたり、称号自体が何かしらの効果をたまにもってたりするのは知っているな?」

 「ああ。僕らの称号、レギスの守護者はレギスの森での強さが上がる効果を持っている。」

 「だが、良い効果も有れば稀に悪い効果もある。」

 

 ヴァルケオが少し暗い声で言った。

 まさか、


 「多趣味にはバットステータス効果があるのか?」

 「当たりだ。」

 「...どういう効果だ。」

 「隠しスキル:極められぬ者 このスキルを持つ者は極地へ至ること永遠になき。...だそうだ。」

 「なんだと!?それじゃ、あの子は..。」

 「ああ、キジコは今後枷をつけて生きなければならない事を意味する。それもおそらく永遠に外れない。」

 「スキルや技術の極地点、極大技きょくだいわざといったきわみスキルが使えない可能性があるってことか。」

 

 極大技...長い修行と技術を学んでいくことで得られる強大な力を持ったスキル。凄まじい力こそあるが、1レベル上げるだけでも長い時間を浪費してしまう。

 

 極スキル...極大技のような極地点のスキルの総称。


 「ああ、最悪の場合通常スキルのレベルが最大の10にならない可能性さえある。せめてこの予想だけでも外れてくれ...。」

 

 僕達魔物は意外と極スキルは持っている。

 なぜなら極スキルそのものに強さなど関係ないからだ。

 極スキルはそもそも一部のスキルを最大まで上げることで得られるからだ。

 中には複数のスキルのレベルを最大にする事で得られるものもある。


 一見難しいようにも見えるけどスキルによっちゃ3日もあれば得られるほどなんだ。

 ちゃんと鍛えた人間、なんならアイアンディアーの上位個体でも1つは持っているほど。

 

 今後キジコがこの世界で平穏目指して生きていくならこのバッドステータススキルは致命的でしかない。


 だけどこの不安はおそらくすぐ無くなると思っている。

 キジコの称号:多趣味はおそらく通常よりも多くのスキルが得られ、保有することが可能だと睨んでいる。

 本来スキルは無限に保有できるわけではない。ヴァルケオは百数年前から40個のスキル、マウリは38個、そして僕もマウリと同じ38個のスキルで止まっている。

 同時にこれ以上手に入れられる気もしない。

 おそらく本能で上限がわかるんだ。

 

 実は人間では多くても20個あるかないか。

 勇者の称号を持つ者でさえ30個前後。


 僕達のようなスキル数を持つ個体は人間魔物関係なく世界全体を見ても少ない。

 個体の強さは別としてもスキル数が多ければ多いほど脅威とみなされる。

 

 そしてキジコはおそらく予想以上に、僕達以上にスキルや力を保有する可能性がある。

 最悪、その才能を狙うやつがその内出てくるし、災いの萌芽として命も狙われかねない。


 だから、僕達はなんとしても新しい家族として、キジコに幸せな生を歩んでもらいたいと思っている。

 そのために様々な知識を、力を、技術を学ばせたい。

 きっと苦労するだろう。

 でもそうじゃなきゃこの世界では生きていけない。

 だからキジコ、頑張れ。

 家族として、先生として僕は、僕達は君を育ててみせる。

 

 

 君の目指す平穏を僕達は見てみたい。

またその内にディメンと冥のキジコの謎に迫るべくの現世調査編を出します。

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