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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
波乱のマイライフ編
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第62話 1年前のあの日から

スキル隠密が消えたのはキジコがヴァルケオと戦った後の話でしたがそのような内容を書いていませんでした。

本当に申し訳ありませんでしたorz

 「お久しぶりです、ご主人様。」

 「ルザーナ!!?」


 クエストを完了した後、朱斗に呼ばれ館に向かった私。そこにいたのは事実上1年ぶりに会うルザーナの姿があった。


 ルザーナには左足に斬傷の痕があった。

 曖昧な記憶だがロティアートの時は回復させた覚えがあるから、その後にできてしまったのだろう。

 でもルザーナはとても元気そうだ、それが今一番嬉しい事だ。


 「...起きて会うのは1年ぶりだねルザーナ。また大寝坊しちゃってごめんね。」

 「ふふ、これ以上寝坊はダメですよ?」

 「わかったよ。」


 ルザーナはどこか落ち着きのある雰囲気があった。1年の間に成長したんだね。初めて会った時は大はしゃぎだったのに...。


 ...思えば、こうやって人の手でルザーナを触ったのは初めてだな。ツヤツヤだけどザラザラもする。頭の撫でてやろう。


 ルザーナの頭に手を当てようとすると、ルザーナは頭をグイグイ手に擦り寄る。そんなセルフなでなでしなくてもちゃんと撫でてあげるよ。


 「...また会えて良かった...ご主人様。」

 「うん。私もだよ、ルザーナ。」



ーーーーーーーーーー

 

 「さて、ルザーナさんには今から聞きたい事はあるんですが...その前に。」

 「?」


 「なぜ...バルバの魔女がいるんだ?」

 「へ?あたくし?」


 クロマが着いてきていた。


 「あんたの他に、こんなわかりやすい魔女なんているか?」

 「私はキジコ様の従者シモベとしてここにいるだけです!」

 「従者だと?」

 「ああ。森で勝負挑まれて、倒したらこうなった。」

 「ええ...。」


 するとルザーナがクロマを見る。

 なにやら興味深々なご様子。

 だが今は聞くべき事があるのでそちらを優先するとしよう。


 「さて、ルザーナ。」

 「はい、ご主人様。」

 「1年前、私が覚醒してそのまま意識を失った後の話を聞かせてくれないか?...もしよければ君の話も。」

 「わかりました。」


ーーーーー


 1年前...


 

 「...終わった...のか?」

 「...ああ。」


 ロティアートが消滅し、沈黙が広がる戦場。

 そこに立つのは覚醒したご主人様。


 「...。」

 バタンッ...


 「キジコ様!!」

 「ご主人様!!」


 人の姿となったご主人様はそこで気を失った。


 「キジコ様...!治療ヒール!!」

 「...ダメだ、起きない...!」

 「一体次から次へと何が起きているんだ!?」

 「...とにかく今は安全な所へ運ぼう。ルザーナさん、頼む。」

 「はい!」


 それから私達は爆発で悲惨な姿へなってしまった国内を走り回る。少しして緊急避難所として立ち上がった区域内へ到着、目覚めないキジコ様をそこで休ませた。


 国内はパニックで、爆発に巻き込まれた人達が何度も運ばれていた。そして...死者もいた。


 「ゼオ達か!まだ爆発に巻き込まれた怪我人がいる。すまないが救助を手伝ってくれ!」

 「分かった、俺とスー、アリアは救助に向かう。ルザーナさんはキジコ様を守っていてくれ。」

 「わかりました。」

 「ミーシャとミルカーナさんもここにいてください。」

 「はい。...でも私もここでお手伝いします。まだ治癒ヒールを使う力はあります、最後まで私も出来る事はします。」

 「私も手伝うわ。」

 「お母さん!?」

 「ミルカーナさんはまだ体力が...。」

 「これでも魔法使いの端くれです。回復魔法くらい使えます。」

 「...わかりました。ですが無茶はしないで下さい。」


 「それと...えーと。」

 「ん?俺か?」

 「ああ、邪精霊...お前名前あったっけ?」

 「精霊の時はまだ弱かったから名前はない。」

 「え...じゃあとりあえず[リーデン]だ。」

 「...悪くねぇ。」

 「じゃあリーデン、あんたも俺達と来てくれ。人手は多い方が助かる。」

 「人じゃねぇけど、りょーかい。」


 その後ゼオさん達とは別れ、ミーシャさん親子は救助者の治療、私はキジコ様を守るためここに残った。 



 それから3時間くらい経ったがご主人様は起きない。すると向こうから..


 「いた、ルザーナさん!」

 「...!ゲトーさん。」

 「キジコ様を見ませんでしたか?」

 「?、ご主人様はここに...。」

 「え?」


 蜥蜴説明中...


 「...なんと、我々がいない間にまさか覚醒していらっしゃったとは。」

 

 ゲトーさんは驚いていた。なんでも魔物が獣人へと覚醒するのは数百年ぶりの事なんだそうです。


 ちなみにゲトーさんは、帝王様がご主人様達を探している、という事で私達の元へ来たらしい。

 私は再びご主人様を背中に乗せ、ゲトーさんに案内されながら帝国城へ向かいました。


ーーーーー


 帝国城付近はまだ比較的被害がマシだったのか無事な箇所が多く、さっきとは別の避難所として今は動いている模様。


 案内されたのはどこかの会議室。

 そこにはさっきぶりに会うゼオさん達。

 ご主人様は用意されたベッドの上で今だ眠っている。


 「忙しい中よく来てくれた。」

 「いえ、帝王様の命であらばいつでも。」

 「フッ、それは嬉しいな。」


 「さて、この戦いで活躍したお前達だからこそ伝えるべき事がある。まずは帝国についてだ。あの爆発により、この国としても重要な大臣の何人かが死亡した。」

 「...!?」

 「どうやらロティアートは城内の大臣の部屋にもあの術式を仕掛けていたらしい。

 それだけでは無い、農場、生活用水の川や地下水路、市場、住宅密集地が特にひどい有様だ...。」

 「そんな...!?」

 「...国とは王がいればなる物ではなく、個人の力がいくつも重なる事で成り立つもの。」

 「そうだ、...事実上、今この国はほぼ崩壊している状態なのだ。」


 帝国にもたらされた悲劇は多くの者を不幸にし、絶望させた。

 

 「だが、ここで私が絶望していては残った者達をより不幸にするだけだ。だからこそお前達に頼みがある。この国の復興...手を貸してもらえぬだろうか?」

 「もちろんです。我々はこの国の民として生きています、ならばその手を貸さない理由はありません。」

 「帝王様に忠誠を誓った者として我々は命に賭けても成してみせます。」

 「...すまないな。だが命を賭けるのはやめておけ、知っている顔が消えていては意味がない。...では、これより復興作戦の会議を始めるとしよう。」

 「はっ!!」


 「次にルザーナよ、キジコについてだ。」

 「..!はい。」

 「今キジコが目覚めぬ状況を反神獣派の残党共に知れ渡るとまずい、この城を貸す故キジコの護衛をお願いする。」

 「もちろんです。ご主人様の家族である以上その役目、絶対にこなします。」


 

 それから1週間、1ヶ月、そして3ヶ月...


 帝国の生き残った人々は町の復興に向けて動いていた。人々はこんな絶望的状況であっても生きる意志を強く保ち、前を向いている。


 帝国と友好的だった町や国からは復興支援として多くの作業員の派遣や資材物資の供給があった。


 スーロッタさんとアリアさん達は今も町の復興や警護として動いている。

 ミーシャさんはミーシャさんのお母さんと一度故郷に帰ってからしばらくしてまた帝国に戻って来た。町の生活バランスがまだ整いきれていない以上、ミーシャさんの生活魔法は非常に重要なのだ。

 ゼオさんはゲトーさんや兵を連れ、知識を活かし国周辺の森や川、海で使える資源を調達している。


 しかしケイさんの行方は未だ不明。何度も調査しているそうですが手がかりは掴めずだそう。


 ご主人様も目覚めない。

 時々ゲトーさんの護衛の下で背中に乗せ外を歩いているが、その目が開く事はなかった。


 しかしアリアさん曰く、魔力が今も増えているという事がわかった。


 (「以前ヴィールに着く前キジコ様...ずっと寝ていたでしょ?おそらくだけど、これはそれと同じだと思うの。急な肉体や魔力の進化に心と魂が着いていけず、それに耐えられる存在として形成出来るまで...ずっと寝たままだと思うわ。」)

 (「それは...いつ頃までなのでしょう?」)

 (「わからないわ。だからルザーナ、それまでの間キジコ様をお願いするわ。)」


 ご主人様は本当にお寝坊さんです。

 ...早く目覚めないかな...。


ーーーーー


 それからまた1ヶ月、計4ヶ月経ったある日の事です。


 帝国にとある獣人が現れた。

 その獣人は親書というものを見せ城内へ入る。


 するとしばらくして、私はキジコ様を連れ帝王様の所へ向かうようゲトーさんが言う。

 何事かと思えばそこにいたのは先程の獣人だった。


 獣人の名は[タビ]といい、中立国家エデルという所から参ったという。


 彼がこの帝国に来た理由は、ご主人様をその国内の町、リーツという所で保護する事を推奨するという内容だった。


 当然そんなの信用できない、反対だ。


 だがやって来た者はタビだけではなかった。


 「...キジコちゃんすっかり姿変わっちゃったね。」

 「!!?」


 気づかなかった、そこにはいつのまにか謎の獣人が3人いた。しかもその感じる魔力は次元が違う、どれか一人にも勝てる気は一切ない。


 実際、ご主人様はいつのまにか私の背中から下され机の上に寝かされていた。

 言い換えれば一瞬で私程度殺せるという事でもある。


 「君がルザーナだね。はじめまして、僕はテューニ。」

 「私はマウリよ。」

 「ヴァルケオだ。」

 「な!?レギスの守護獣様...!!」

 「え!?」


 この方々は以前、この世界に来たばかりのご主人様を育てていた、ご主人様にとってこの世界での親のような存在である。


 あんな凄まじい強さを持った存在に育てられていた事も驚きですが、ご主人様が元々この世界とは別の世界、異世界で生きていた事自体がもっと驚きでした。


 

 ヴァルケオ達がここに来た理由は、先程タビさんの言った事は信用して大丈夫という事だった。

 そして、ご主人様は今後は自分達が守るという事だった。


 「私も着いて行ってよろしいでしょうか?ご主人様を守るのが私の役目です。」

 「...それは君の意志も含めてかい?」

 「はい。」


 「ならば一度、我に一撃入れてみよ。」

 

 私はその瞬間、全力の脚撃を当てた。

 だが、ヴァルケオという者は今の一撃をあっさり片手で受け止めた。


 「...ダメだ。この程度じゃこの先キジコを守れないぞ。」

 

 その言葉を聞いて私は力が抜け、崩れ込んだ。圧倒的な実力を持った者が言ったんだ、説得力が違う。


 でも...ご主人様と別れたくない..。


 「...私じゃ...ダメなのですか...ご主人様を..守れないのですか?」

 「ああ、守れない。」

 「...。」

 「なら、お前が強くなればいいだけだ。」

 「え...?」


 「お前はキジコの家族として居たいのだろ?そして家族としてキジコを守りたい。ならお前が強くなればいいだけだろう。お前は強くなれる。」

 「...でも、私なんかがそんなすごい力、手に入れられるのでしょうか...?」

 「お前の努力次第だがな。エレムスの下に訪ねてみるといい、あいつなら色々教えてくれる筈だ。」


 ...私は決意した。


 「...わかりました。私は近々エレムス様の下に参ります。ですので...ご主人様をお願いします。」

 「固く約束しよう。」


 それからご主人様はヴァルケオ様達の下でリーツへ向かった。

 そして私も用意された準備を背負い、再びドゥークの森へ向かう事にした。


 この事はゼオさん達には帝王様が伝えておくと言っていた。


 ご主人様。また会う時には私、貴方を守れる強さになっておきます。

 だから楽しみにしておいてください。


 私、頑張る。

次回、ルザーナ頑張る

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