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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
帝国之崩壊編
61/302

番外:現世調査編③ 終

 この世界に迷い込んだ神光石の力により暴走した日菜。

 ディメンと冥は彼女を助けるために動くのだった。


 「炎術、焔大蛇の渦!!」

 「ドぉぉコォおおぉぉオ...!?」

 「驚いたわ...結構強めに撃ったのに。」

 「神光石は仮にも神の力が宿った石。簡単にどうにかできる方がおかしいわ。」


 冥の術をあっさり防ぐ黒鎖。ディメンの言った通り神光石による神の力で出来た物だけあって一筋縄ではいかない。


 「神術、破邪の光!!」

 「あ゛あ゛あ゛...!?」

 「おお、今のは効いた!冥ちゃん、神術持ってる?」

 「ええ、ディメンほどは持ってないけど。」

 「十分よ!はああ!!」


 鎖はコアと日菜を守るように鎖で抵抗する。だがとりあえず弱点らしき力がわかった以上あとは行動のみ。


 ディメンと冥は徐々に距離を詰めてゆく。


 ガキィンッ! ガキィンッ!


 「よし、あともうちょっと!」

 「セン...ぱ..イィー...!」

 「あ!?」


 突然、黒鎖は日菜ちゃんとコアを包み込みドーム状になる。


 「ディメン!!」

 「いっけえええ!!」


 ディメンは神術エネルギーを纏ったパンチを当てる...が、


 「...?おかしいわ、日菜ちゃんの反応が...ない!?」

 「え...?」


 バキッ...


 「!!離れて!」


 突然、鎖のドームにヒビが入る。そして中から凄まじいエネルギーが吹き出す。すると中から...


 「先輩...ドコ...アイ..たいよぉ...。」

 「嘘...!?」

 

 「...こういうのってもっと後にくるべきなのよ、何でこんな数分で早速くるわけ!?」


 そこに現れたのは服が一部ボロボロで、肌には黒紫の鎖模様、目は青黒く輝き、全身黒いオーラ。


 そう、開始数分で第二形態突入なのだ。


 ちなみにこれにはちゃんとした理由がある。ディメンと冥は仮にもあの世、神の世界の存在というだけあってそもそも実力が高く、今回弱点として見つけた神術も異世界でも持ってるやつはあまりいないのだ。


 つまり口ではああ言ってるが実際は思いの外なんとかなりそうな状況なのだ!


 「みて..日菜さんの額、神光石が..。」

 「...日菜さんの肉体を使い異形化するなんて..これは尚更のんびりしてる場合じゃないわ、魔力を持たないただの人間があんな事なれば、肉体は...10分ももたない!!」

 

 ディメンは力を解放し、異形黒鎖に突撃する。異形黒鎖は魔力エネルギーの鎖を作り攻撃を始める。


 「私も急ぎあの術を使うしか無いわね...。あの術は無詠唱とかが出来ないから手間と時間がかかる、一刻も早く日菜さんを助けないと..!


 我は払う者、我は救う者、我は神力を使う者。

 邪悪取り憑かれし者を助ける力、破邪を司る力、....!」


 冥の周りに魔法陣が現れる。


 「ああ゛アあ!!」

 「うお!?危ない、元が人間とは思えないってこれは。」

 「あ゛あ゛あ゛!」


 ディメンは冥の術に合わせるように異形黒鎖を誘導している。異形黒鎖の動きは非常に速く、いくら実力がずっと上の神であっても油断も出来ない。


 それに作戦の目的は倒すのではなく取り憑かれた日菜の救出、下手に威力の高い技を撃てば日菜ごと消し飛んでしまいかねない。


 だから冥は黒鎖のみを消し去るための術を発動しようとしているのだ。そのためディメンは最低限のダメージで誘導しなければならない。


 (まずいな、この黒鎖予想以上の速度で神光石の力で強化されているぞ。間に合ってくれ、冥!)


 「オオ゛オ゛オオ!!」

 「しまっ!?」


 ディメンの腕に鎖が掛けられた。だが、

 

 「..いや、これは都合がいい!どりゃああ!!」


 ディメンは鎖を全力で引っ張り、異形黒鎖を引き寄せた。

 

 「..我は光照らす!!」

 「...お、都合がいい!今だ!!」


 「今こそ光を下せ!神術・神威破邪之滅光!!!」


 その瞬間、空から降りる神々しい光が暴走黒鎖を飲み込む。

 

 「うまくいってくれ..!!!」

 「お願い...!」



ーーーーー


 ...あれ、私...なにしてたんだろ..?


 確か...あれ、思い出せない。


 ...でも、とても悲しい夢を見た気がする。


 ...


 何だろう、ずっと先輩を探していた気もする。


 もう...先輩はいないのに。


 この目で...血染まった姿を見たのに。

 

 会えるのだったら会いたいよ。


 

 ...でも叶いはしない。


 なら、言えるなら2つ。


 今までありがとうございました、先輩。


 そして、もし神様がいるなら...いつかどんな形でもいい、先輩とまた会いたい。


 先輩はいつもひょっこり現れて私を色んなところへ連れてった。


 なら、またいつか...会える気がする。


 先輩、私はまた会う時までに今よりもずっと、


 立派な人間になりたいと思います。


 だから心配しないでください。


 私は先輩の一番の後輩、


 谷口日菜ですから!



ーーーーー



 「....うぅ...あれ?」


 目覚めるとそこは日菜の部屋。

 目の前にはテレビを見ている美男美女兄妹。

 ...そういえばテレビ見ても大丈夫ですって言った気もする...?


 「あ、起こしちゃいましたか..?」

 「やっぱりもうちょっと音量下げても良かったんじゃない?」

 「あ..あ、いえ大丈夫です。」


 ...しまった、お客さんの目の前で寝ちゃってたのか...あれ、いつから?


 「あのー...私いつから寝ちゃっていました?」

 「お茶を飲んで一息ついた頃よ。疲れているなら休むのが一番よ。」

 「大変そうな時にお邪魔してすみません。」

 「いえ!私は...。」


 カタッ


 「あらら、写真立て落ちちゃった。これどこ置いてたかしら...?」

 「へ?」


 そこには私と一緒にお茶を飲む先輩の姿が映ったツーショット写真。

 そういえば以前一緒に飲んでいるところを店主の奥さんに撮ってもらった。...でもあの時の写真は飾ってたっけ..?


 「多分そこのタンスの上なんじゃないかしら?」

 「え?」


 タンス...そういえばあのサイドチェストの上...何かあった気がする。...やっぱりあの写真を飾ってたのかな。


 ...でも大切な物があの辺りにあった覚えはある。きっとそうだ、あそこに写真立てを置いていたんだ。


 ...あれ?あの辺り?確か...


 日菜はサイドチェストの中身を見る。その中に入っていたのは..


 「...あれ、こんな数少なかったっけ..?」

 「...?あれ、そこにも雉野さんとの写真あったのですね。」

 「へ?あ、はい。」


 ...気のせいだな。今の私にとって何よりの宝物。


 そこにあったのは一緒に撮ったお互いの笑顔の映った写真や旅行先で撮った景色、ツーショットなど。


 「あら、d..お兄ちゃん。そろそろ、」

 「ん?ああ、もうこんな時間か。すみません、私達はそろそろ帰ります。」

 「あ..はい!...なんというか、色々ありがとうございました。」

 「いえいえ、こちらこそお茶をご馳走様でした。」

 「小夏ちゃんの話を色々聞けて良かったです。ありがとうございました。」


 「あ、そういえば名前...なんでしたっけ?」

 

 「天野空...またはディメン。」

 「天野冥、冥って呼ばれてます。」


 そう言って兄妹さんは帰った。

 ...お兄さん変わったあだ名をしているんだ。

 いや、外国での名前だったりかも..顔立ちがハーフっぽいようにも見えたし...。


 ...でも、もうこんな時間かぁ。夕飯の支度を..


 ピリリリリッ...


 あれ電話..


 「もしもし...?」

 「もしもし、谷口さんですか?僕..上田です。」

 「あ、上田さん?」


 以前私と同じ酷い部署で働いていた同僚、同じく先輩に助けてもらい今も一緒に働いている上田さん。


 「どうしましたか?計算どこか間違えてましたか!?」

 「いえ..そういうのではなくて..。」

 「?」

 「...こういうのはちゃんと面と向かっていうべき事なんだろうけどここで言います、谷口さん、僕はあなたの事が....!」



ーーーーーーーーーー


 「ふぃ、お疲れ様。これにて一件落着ね。」

 「ああああーー...疲れた。」

 

 全てを終え豪邸に戻ってきた2人。


 「まさか、神の力が宿った神光石が発端だったなんて..世の中どこも物騒ね。」

 「ええ。とりあえず日菜さんからは神光石によって暴走していた記憶だけを綺麗に消して仕事とかは支障が出ないよう改竄...閻魔や神がする事かなこれ..。」

 「あの恐怖の写真と神光石も消したしまぁ大丈夫よ。まだ脆い所もあるけど、あの子はこれから強くなるわよ。」 

 「ええ、きっといつかは自分なりの幸せを得るでしょうね。」


 「おかえりなさいませ、ご主人様、冥様。」

 「あら鈴音、ただいま。」

 「キジコ様がお目覚めになられました。」

 「おお、2週間くらい眠ってた事になるわね。」

 「それじゃ私は仕事に戻りますのでこれで。」

 「ああ待って、今度キジコちゃんに神獣の件で話したい事あるから、2日後また来てくれる?」

 「...確かにその事は色々話さなくてはなりませんね。わかりました。」


 こうして、神と閻魔の現世調査は無事終了したのでした。

次回からまたキジコの冒険始まるよー!

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