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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
帝国之崩壊編
60/302

番外:現世調査編②

 彼女の名は谷口日菜。


 雉野小夏キジコの死を目の前で目撃した、雉野の大切な会社の後輩。


 「あなたが...?」

 「は..はい?えーと...どちら様で..?」

 「ああ、失礼。僕達は雉野さんの古い友人の天野空と言います。こちらが妹の天野冥です。」

 

 するとディメンは幼い自分と冥と雉野の映った写真を出す。(偽造カミパワー)


 「...!そうでしたか。」

 「しばらく会えて居なかったのですが...最近になって事故で亡くなったと聞きまして...。」

 「...でぃ.....お兄ちゃ..ん、流石にお客さん達が増えてきてるしそう言う話は...。」

 「ん?ああ、そうだね。」

 「あの...もしよければ..私の家に来ませんか?」

 「「へ?」」



ーーーーー


 「...先輩、昔から色々な事を楽しんでいたのですね。」


 ディメン達が訪れたのは日菜の家。

 なんでも実家が裕福だったらしく、自分で頑張ると言ったのにせめて家だけでもと両親が与えたそうだ。(おまけにローン返済済みときた、すげぇ親だな。)


 「頑張りすぎてヒヤヒヤするような事もありました(今でも)。」

 「学んでみたい分野はすぐ学ぼうとしたね(今でも)。」


 「フフッ...。」


 日菜さんは笑顔だが少し涙目になっていた。


 「...先輩と同じ部署になってからは仕事は大変でも毎日が楽しかったです。私は休暇でしたい事は特にありませんが、それを知ってからか先輩は旅行や食べ歩きに誘ってきました。

 ...本当に楽しかったです。いつも笑顔で私と話てくれたり、相談に乗ってくれたり...今でも亡くなったのが信じられません。」


 日菜は暗い表情になる。


 「...その時の写真があれでしょうか。」

 

 壁には何枚か、キジコとのツーショット写真がある。先程通った茶屋での写真やどこかの温泉地の写真など。


 「はい。」

 「フフッ楽しそうですね、小夏ちゃん。」

 「だな。」


 転生する前は特に人生大きな絶望とかなく、その日その日を楽しんでいたキジコ。早くに死ぬべき人間ではないと改めて思える。


 「そういえば谷口さん。谷口は雉野さんといつ知り合ったのですか?」

 「あ、はい。それは...


 ...私が元々いた部署は酷いものでした。面倒な書類仕事は以前の私のような新人や立場の低い者にいつも回り、上司達は最低限あるかないかの仕事しかしなかった。


ーーーーー


 仕事の成果はいつも自分達がやったかのようにして失敗はいつも私達に回ってくる。それに加えてパワハラも起きており、仕事も辞めようとすれば個人情報に関する脅しをした上で減給、誰かに言えばただでは済ませないとも言っていた。


 その当時の部長は事実を巧妙に隠し、いつも金の事しか考えていない、まさに劣悪要素を詰め込んだ外道共でした。


 そんなある日、お昼休みで会社の廊下を歩いて居た時に...運命が変わったのだと思います。


 「...?どうしたの、すごく暗い顔をしてる。」

 「へ?」

 「ああ、私は雉野小夏。この階部署で働いてる社員です。」

 「...谷口日菜です。...上の階の部署の新人社員です...。」

 「!、...そっちの署内環境は良い?」

 「ふぇ!?...は..はい...。何も...ございません...。」

 「...そう、これ飲みなさい。私の奢り。」


 当時先輩はこの話を聞いてどこか驚いていた。


 「おお雉野くんお疲れさん、...?その子はどうしたんだい、ずいぶん疲れているように見えるが...?」

 「お疲れ様です部長、実は...。」


 先輩は、同じく休憩に入っていた先輩の部署の部長さんと話し始めました。


 「...やはりか..わかった、トウスケに伝えておく。こちらでも準備をしておく、動くなら今だ。」

 「ありがとうございます、ようやく奴らを...。」


 先輩達は何かとんでもない事を起こしそうでした。


ーーーーー


 それから3日後、私はいつも通り辛いけど仕事をしていた。上司達は相変わらず楽な作業ばかりしている。


 そんな時だった。


 コンコンッ、


 「あ?誰だよこんな時に...おい谷口!お前が出ろ、さっさとしろ!」

 「は、はい!」


 ガチャッ


 「失礼するよ。」

 「...!!?しゃ...社長!?」

 「!!?」

 

 すると部長は手のひら返しごまをするような態度でこちらへ来る。


 「これはこれは社長!本日はこちらへどのようなご用で...?」

 「サトル、雉野くん、あれを持ってきな。」


 すると先輩と向こうの部長さんが紙や機械を持って現れた。


 「...社長...これは何でしょう...?」

 「君達の不正や悪質業務、の証拠だよ。」


 その紙には明らかに労働基準として違反がつく項目や証拠が載っている。


 「なぁ!?まさか...うちの新人達が何か悪い事を...!?」

 「...私を前にシラを切るとは、やはり君はこの会社に置いておく人間ではないな。」

 「ま..待ってください、本当になんのことか..!はは..はは..!」

 

 ピッ


 (おいさっさとしろ!面倒な作業くらいお前らもできるだろ!)

 (おい今回のことは誰にもチクるなよ、いえばお前の個人情報はネットに流すからな。)

 (俺ら昼飯食ってくるから代わりに仕事やっとけよー。)


 上司達はその音声を聞き顔が真っ青になっていた。

 

 「もうシラを切っても無駄だ、すでに証拠の大半は労働基準監督署に届けてある。時期に君達の処分を検討する。」

 「な..あ...!」

 「日菜さんの顔や反応を見て、おおよそこの部署に何か隠されているのに気づいたの。あんたら人を殺す気なの?」

 「...谷口..貴様ああああ!!」


 そのクソ部長は私に殴りかかろうとした。


 「いっぺん...反省してこいやあああ!!!!」

 

 が、まわり込んだ雉野の見事なアッパーが決まる。


 「...。」

 「ノビたか、さてこれ犯罪じゃないよね。」

 「サトル、私はただか弱い女性を守ったヒーローしか見ていないぞ。」

 「おおトウスケもか。俺も同じ意見だ!」

 「ひ...ひえ..。」

 「君達も同じだ、新人や立場の弱い社員にした行いはちゃんと残っている。」

 「は...はい..。」


 こうして先輩達の悪徳部署狩りは完了したのでした。


 「そうだ日菜ちゃん、私達の部署に来ない?」

 「ふぇ?」

 「このまま退職しちゃったら再就活大変だと思うし、ぜひおいでよ。」

 「..良いのですか?」

 「構わんとも!今人手不足な所があるから来てくれると助かるよ!」

 「被害者の君達もおいでよ!仮に仕事合わなかったらちゃんと辞めても大丈夫だよ!」

 「...はい!」


ーーーーー


 それから私は先輩と一緒に働く事になりました。同じく入ってきた同僚達も辞める事なく今も一緒に働いている。


 新しい部署の人達はみんな優しく、大変な事もあるけどずっと楽しい日々になった。


 それからすぐに...


 「日菜ちゃん、ここ行ってみない!?


 「日菜ちゃん、今度の土曜...


 「日菜ちゃん、近くの茶屋...


 先輩と色んな所へ行くようになった。


ーーーーーーーーーー


 「...日菜さんも色々あったのですね。」

 「はい、今の人生は先輩に会えたからこそです。」

 

 ...色々話したからか、日菜日菜の表情が少し明るくなっていた。


 ピリリリッ


 「あ、すみません。会社から電話かかってきたので少し外します。」


 そう言って日菜は部屋から出た。



 「キジコちゃん、すごい行動力あったのね。きっとモテたのだろうねぇ〜。」

 「それはどうかわかりませんが、日菜さんの動きでおおよそ何か察する辺り、結構な洞察力を持っていたのでしょうね。彼女は実際ものすごく器用ですし。」


 「さて、ちょっとお茶のおかわりもらいましょうかな...わっ!?」


 ディメンは立ち上がった際、足が痺れ少しふらつきタンスに少し当たる。だが...


 「ちょっとしっかりしなさいよ、タンスの上、パワーストーンみたいなの置いてあるのだから..ん?」

 「イタタごめんごめ...え?」


 タンスの中から何かが出ていた。



 それは数々の...雉野小夏の写真。


 ツーショットや観光もあれば、[どこからか撮った雉野のみの写真]。

 

 それが...40枚、いや70枚..いやもっとある。


 「なにこれ...明らかに、はいチーズとかそんなので撮ったやつじゃないわ...!?」

 「...こっそり撮ったような感じがあるね。盗撮の類というか無許可というか...。」


 ガッ...


 「!!」

 「...見てしまったのですね。」


 後ろにスマホを落とした日菜の姿があった。


 しかしその姿は異様。


 引き摺る黒いモヤ纏う鎖はさっきよりも増えて、


 人とは思えない重圧はさらに濃く、


 写真からも溢れ出すドス黒いモヤ、


 「先輩...どこニいるノデスかぁ...。」


 「...ようやくわかった、鎖の正体。この鎖はキジコちゃんに対する[とても重い感情が具現化したもの]...!」

 「見えてるのは私達だけみたいだけど...これほっといたらどうなるの?」

 「...少なくともこの世界にあるはずのない力、いずれ力を増し暴走...この子を含めとんでもない事態にはなるね。」


 するとタンスの上に乗っている部屋飾りの石が光り出す。

 

 「...!?まずい、スキル転移!!」


 ディメンは慌ててどこかの草原に転移する。


 「ほら靴。...なるほど、あの力の源はあのパワーストーン...いや、[神光石]だったのね。」

 「神光石...!?なぜこの世界に...!」

 「...極めて稀だけど時空の流れって基本かなりもあれば微妙に異なっているの。けどそのごく稀に時空の流れが重なりすぎる事があって、その際異世界の何かが紛れ込むことがあるの。」

 「それじゃ!?」

 「ああ、偶然にも日菜さんはそれを拾い。知らず知らず力を得た。そんな力制御出来るはずがない、結果その心に秘めた感情が暴走してあんな写真や鎖の件に繋がった…。」


 「先輩...ドコぉぉォーー...?」


 黒い鎖は日菜さんを飲み込むように纏い始める。そのコア、中心部分には神光石。


 「...まさか現世でこんな事になるなんて...。」

 「ある意味、大惨事になる前に私達が発見してラッキーってやつだわ。...閻魔としていっちょ助けてあげますか!」

 「気をつけて冥ちゃん、仮にも神光石の力だから一筋縄ではいかないわよ。」

 「ええ。待ってて下さい日菜さん、今助けてあげますから!」


 いざ、救出作戦開始!

神だって足は痺れます。


ちなみにキジコの部長と社長は幼馴染であり、たまにお互い名前で呼び合ってたりします。

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