番外:現世調査編①
ある時のお話
「じゃじゃーん!冥ちゃん、この服どう?」
「 ( ゜д゜) 」
カジュアルな服装、冥と同じ色の髪のディメンがいる。
「...あれ、寝てるの?」
「起きてるわよ、何よその格好。」
「現世調査するからじゃない。」
「現世ちょ...まさか、[原因]がわかったの!?」
原因..当時ディメンと冥は、キジコがあの世へ来た際に強い未練と共に絡みついてた謎の鎖を発見。
その鎖は現世に戻ろうと引っ張る力があった。その際2人はあまりにも強い未練が具現化したのだと思っていたがそれは違った。
ディメンはそれから調べて結論を出した。
それは第3者、キジコでもあの世の者でもない、現世から...キジコのいた前世の世界から繋がれていた物。
その正体は雉野小夏に対する何かしらの執念だったのだ。
ディメンは引き続きその鎖の大元を探すために長い事調査をしていた。
その結果、おおよそではあるが...
「あの鎖の発生源は日本、それもキジコちゃんがいた地域からなの。」
「...!、わかりました。では私も出来る限りこちらからでも調査しますのでお気をつk....
「冥ちゃんも来るのよ?」
「は?」
おい待ったイケメンオネエ野郎、なんて言った。私も連れて行くだと?
「...私は閻魔としての仕事があるのですが。」
「その辺りは大丈夫!先代に任せてあるわ!」
「へ?」
ーーーーーーーーーー
念話
冥「ちょっとじぃじ!ディメンから聞いたわよ!?私の仕事任せてあるってどう言う事!?」
じ「おお冥か!はっはー、大変な調査をすると聞いてのぉ、ワシもその件について聞いた時は驚いたわい。これも勉強の内だと思って胸を張って行ってきなさい!」
冥「じぃじ!?」
じ「なーに!公務仕事ばかりじゃ疲れるじゃろうて、たまにはエンジョイしてらっしゃい!それじゃ気をつけてね〜!」
ブツッ...
ーーーーーーーーーー
「と言う訳です(笑)。」
「貴様...。あーもうわかりましたよ、支度しますのでちょっと待っていて下さいよね。」
「やったー♪」
数分後...
「こう言う服装でバッチリですよね...?」
「うんバッチリ♪それじゃ行きましょうか!」
「はぁ...。」
そんな感じで2人の現世調査編、スタート!
ーーーーー
ガヤガヤ....
「ここが雉野さんが住んでた町ね。向こう異世界と違って平和ですね。」
ここはキジコこと雉野小夏が住んでいた町。特別何かあるわけでもないいたって普通の町。
「さて、行きましょうか。」
「ん?どちらに行くのですか。」
「そりゃあキジコちゃんに関わる所よ。」
「それはわかるのですが、場所の話です。」
「ああそれね!ついてこればわかるわよ!」
仕方なくディメンについて行くことにした。
そして...
「お待たせしました、こちら苺たっぷりフルーツパフェ2点、コーラとオレンジジュースが各1点、以上4点でよろしかったですか?」
「はい、大丈夫です。」
「ありがとうございます!それではごゆっくりお楽しみください!」
(キャ〜イケメンと美人〜!!)
なんだこの状況。
ここはどこかの喫茶店。
目の前には苺たっぷりのフルーツパフェがある。
「いただきまーす!..あれ、食べないの?」
「ディメン...この状況は一体...?」
「今はディメンじゃなくて天野 空って名前よ。んで冥ちゃんが天野 冥よ。」
「そう言うことじゃ...待って、同じ苗字?」
「兄妹の方が行動しやすいでしょ?カップルとかだと変に面倒くさい事なりそうだし。」
「...。」
「さて、なぜここに居るかっている話ね。冥ちゃん、カウンター席の方ごらん?」
「カウンター席...ん?」
ディメンの言う通りカウンター席の方を見てみると、そこには数カ所...黒いモヤがある。
実はキジコの魂に絡まっていたその鎖には同様のモヤがあったのだ。
「あれは...!?」
「少なくとも犯人はこの店を利用するみたいよ。」
「...人間があんな力持てるの?」
「少なくともこの世界は魔法なんてないから、あんなのあるなんておかしいわよ。」
雉野さんが住んでいたこの世界は魔法がない。あるのは魔法の異世界が驚愕するほど素晴らしい人類の知恵と勇気と技術で出来た世界。
他の一般人には見えていないようだが、一体どうやって手に入れたのだろうか...?
「とりあえずパフェ食べたら?私の奢り!」
「....わかりましたよ、いただきます。」
はむっ。
....!!
「んんんんんーーーー!!!!」
口に入れた瞬間、甘酸っぱいイチゴとふわふわクリームの甘さがいっぱい広がるぅ〜...!!
クリームの下にあるブルーチーベリージュレの甘みがクリームに合う〜...!
というかオレンジジュースもお店こだわり!爽快感ある酸味と甘みが好きぃーーー!!
もうたまりゃ〜ん♡!!!
「フフッ。」
はっ....
「...美味しいですね。」
あれ、今さっきの私の記憶が曖昧だ。何があった...?
ーーーーー
「さて、次はここね。」
次に来たのはいい香りのする店。色んな茶葉が商品として並んでいる茶屋だ。
「...あれね。さっきより大きいモヤだわ。」
「確か鎖はキジコさんへ向けた何かしらの思念。...しかし喫茶店の次に今度は茶屋って、やってる事半分食べ歩きじゃん。」
「いいじゃない、楽しいし。」
「はぁ..。」
「お、お二人さんご兄妹さんかい?」
「ああ..はい、そうです。」
「ちょうど人気の茶葉がまた入ったんだ、是非飲んでいかないかい?」
「では頂いていきます。」
「え、また飲食?」
「お待ちどーさん。」
「...いい香りですね。」
「だろう?俺もこの茶が好きなんだわ!がはは!」
「...いただきます。」
ズズッ...
...!!
やさしい甘さと苦さが口に広がり、豊かな風味が穏やかさをもたらす...。
...とても美味しい..!
「...はぁ、美味しい。」
....はっ
「...この茶葉後で買っていいでしょうか?」
「もちろんだ!是非とも!」
さっきよりは意識はあった、でもなんか..まいいや 。
「そういえば、今日はみねぇな...?」
「ん?どうかしましたか?」
「ああ、よく来る常連さんの話だよ。」
「常連さん?」
「この店立った時からよく来る客でなぁ、ここで淹れるお茶は好きだっていう面白い会社員の女性さんだったな。会社の後輩連れて来ることもあったり、ウチのカミさんとも仲良かったから覚えとるわぃ。」
「ん?その言い方だとその人は..?」
「ああ、この前向こうの交差点で事故があったらしくてなぁ....そん時その常連さん、亡くなったんだよ。人生別れは突然来るもんだぃ、それを知ってウチのカミさん、落ち込んで寝込んでしまったわぃ。」
(それって...!)
(...キジコちゃんね...。)
「それからか、その後輩さんが毎日この店にやって来ててなぁ。その亡くなった常連さんとよく飲んでた茶を飲むと、色々思い出して泣いているんだよ...。」
「それ...どんな方でした?」
「ん?なんであんたらがそんな事を?」
「その...僕達雉野さん...今言っていた常連さんの知り合いでして、しばらく会えていなかった時に亡くなったと突然聞きまして...。」
「おお、そうだったかぃ。そりゃちょっと辛い話をさせちまったかな。」
「いえ、雉野さんの知らない一面を知れて何か少しホッとしました。」
「さて、その後輩さんの話だったな。確かー...
「すみませーん、いつものお茶...ありますか?」
「!!」
「おお日菜さん、いらっしゃい!」
「....。」
「...!!?」
「お?ご兄妹さんどうしたんでぇ、そんな目をまん丸にして?」
....なに...あれ...?
本当に...ただの...人なの?
ドス黒く、
引きずっている錘の影、
声の裏に混じる重圧、
「ああそうだこの人だ、さっき言っていた後輩さん。」
彼女の名は谷口日菜。
雉野小夏の死を目の前で目撃した、キジコの大切な会社の後輩。




