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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
帝国之崩壊編
46/302

第44話 突入、サジェス帝国

 キジコです。


 現在、帝国軍副総隊長のゲトー達と合流し帝国に向かう私達。皆んな傷は回復したけど...ようやく目的地に着いたからか、疲労感が出ていた。


 そしてようやく....


 「着きました。帝国第三運搬通路、東の門です。」

 「ようやく...着いた!」


 帝国に到着しました。長かった。

 周りを見るとゼオ達は一安心したかのような表情になっていた。

 すると...


 「気を抜くな若人達!!」

 「おわ!?..はいい!!」

 「情けない事ながら帝国にも反神獣派のものが潜んでいる!最後まで油断をするな!私も油断しない!!」


 ゲトーの喝が飛ぶ。いや言ってる事は正しいけどすごい勢いだな。んで自分にも喝を入れるスタイル...顔の割に熱血系だなこりゃ。


 「みんな、副総隊長の言った事や君達の旅のように奴らはどこから来るかわからないんだ。帝国も全力で国内の捜査をしてるけど安心はまだ早いよ。」

 「りょ..了解ですロティアート隊長!!」


 「あれ、そういやロティアートさんって第7番副隊長なのに、なんで隊長って呼ばれてるの?」

 「はい、今はキジコ様の護衛任務としての特別編成隊の第1番隊長として活動していますからです。こう見えて防御に関するスキルに長けていますのでこちらに配属されたのです。」


 「なるほど、ご苦労様です。」

 「勿体ないお言葉です。」


 爽やかボーイは私に頭を下げる。ご丁寧な方だな、だからこそ隊長として配属されてるってところかな。



 それから私達は門を通り、いよいよ帝国内に入った。

 見渡す限り運搬用ルートとだけあって大型倉庫や運搬設備がほとんどであり、厳重な警備体制になっている。


 「こちらです。」


 そう言われゲトーの案内に従っていると、


 「...ん?失礼、念話通信だ。」


ーーーーーーーーーー


 「ゲトーか?」

 「はい、帝王様。」

 

 ゲトーに帝王からの通信が入った。


 「キジコは帝国にたどり着いたか?」

 「はい、現在、帝国内第三運搬通路にいます。このまま予定のルートを辿りそちらへ向かいます。」

 「うむ、頼んだ。今回の任務を無事遂行した5人の兵達には特別報酬を出しておいてくれ。後で金を回しておく。」

 「了解致しました!それでは失礼します。」


ーーーーーーーーーー


 「色んな物があるな..。」

 「運搬された荷物が集まる場所ですからね。近頃はドゥーカルンの果物がよく出回っています。」

 「おお、帝国にも回っていたのか!」


 質が良く、近頃実りが良いと聞いてはいたが帝国にも輸出されていたか!果物関係の食事は心配ないな。


 こうやって考えると1週間も経ってないのに懐かしく感じる。ロブスターは大変だった。


 しばらく歩いているうちに大きな門が見えた。


 「あの門は?」

 「あの門の先からは帝国城内になります。」

 「城内...って事はあそこから入るの?」

 「いえ、我々は別の通路を通って城内に入ります。

 そのためここからは我々の任務になるので、ゼオ達一般兵はここで任務終了になる。」

 「!」


 ...ついに来ちゃったか、みんなとの旅の終わり。帝国に辿り着いた時点で覚悟はしていたけど...なんか寂しいな。

 

 「ここから情報漏れをなるべく少なくする関係上だ。我々にはしばらく念話通信が届かないようにする。ルザーナもすまないがゼオ達と居てくれ。

 ...旅をした仲とはいえ、なるべく簡単な挨拶で済ませてほしい。」



 「...キジコ様、俺...この旅ができて本当に良かったです!何というか..ありがとうございました!」

 

 「あ..アタシも!色々やる事多かったけど、今までで一番楽しかった!」


 「この旅が出来て本当に良かったです、キジコ様。きっとまた会えますから、その時はまたみんなと旅をしましょう...!」


 「キジちゃん!!また..また会えるっすよね!?寂しかったら会いに行きますからねぇ!!私はいつでも駆けつけるっすよ!!」


 「...あなたのお陰で色々学ぶことがありました。本当に...ありがとうございました..!」


 「...こちらこそ、皆んなと旅ができて本当に良かった。..絶対また会えるよ、ありがとう。」


 「ご主人様!?私は...私はご主人様と一緒に居れますよね!?」

 「大丈夫だよルザーナ、用が終わったら迎えに行く。だから心配しなくてもいいよ。」

 「...はい!」


 「キジコ様、お気をつけて!」

 

 彼らと一度別れを告げ、私は帝王の元へ向かった。


ーーーーーーーーーー


 ...!

 ミーシャの元に念話通信が入った。


 「はい、」

 「ミーシャか!?キジコ様はまだいるか!?」


 突然慌てた様子で通信を掛けてきたヴェアート。どうやら只事ではないようだが...?


 「ヴェアート総隊長!?...す...すでにゲトー副総隊長らと護衛を交代致しましたが..。」

 「...!!遅かったか!」

 「どうかなさったのですか?」」

 「...反神獣派の構成員がさっき話したんだ..


ーーーーー


 これは私が終戦案を出そうとした時の出来事だ。

 一度本陣に戻り、捕縛した反神獣派の傭兵に聴取していた。


 (「は..ははは...!俺が負けちまうとは..流石魔勇者の称号はある..!」)

 (「...知っている情報を全て吐きなさい。」)

 (「はは...良いぜ、俺はただの雇われだ。情報漏洩を恐れ奴は俺に自爆術式仕込みやがったんだ、なんでも話してやる。」)

 

 なんだと...?


 (「...やけに素直なのですね。。」)

 (「ケッ、金を払うってっから雇われてやったのに奴は...[ティライター]は任務の終了後成功失敗関係なく消すつもりだった。だから俺はこうなった以上裏切るってわけだ。」)

 (「...!」)

 (「ああ心配するな、これでも俺は今じゃ珍しい術式学の知識がある。自爆の術式はとっくに解除している。」)

 (「...ティライターとは何者なのですか?」)


 (「ああ、ティライターは俺の雇い主で、反神獣派組織のトップだ。」)

 (「!!?、それは本当か!?」)


 ヴェアートは男の胸ぐらを掴んだ。


 (「ぐお...ああ..本当だ!奴は傭兵を雇う場合は自分から動く奴だからな、自爆の術式にも納得いくだろ?

 だがな..ティライターは偽名だ...俺のスキル、「透析」の見破りに狂いはねぇ..!」)


 (「....信用できませんね。あなたが嘘を付いてる可能性だってあります。」)

 (「あんた...仲間に[スキル:正直者ノットフェイク]を使えるのはいねぇのか?あれなら嘘か本当かわかるはずだ..!」)


 その後、私はそのスキルを使える者を呼び確かめた。

 結果は奴の言った事に嘘はなかった。


 (「わかっただろ...この情報は本当だ。俺を捨て駒にしようとした奴に、どんな形でも仕返しをするからな...!」)

 (「...わかりました。でもあなたは少なくとも逮捕はします。それだけはご承知を。」)

 (「いいぜ、償いはなんだってしてやるよ..。」)


 (「それで...ティライターの本名はなんなのですの?」)

 

 部下に正直者を発動させる


 (「ああ、ティライターの本名は....


 私は、その名前を聞いて驚いた。

 そいつは私もよく知っている人物だったからだ。

 部下の正直者ノットフェイクも嘘だとは判定していない、真実。


 反神獣派組織トップ、ティライター...本当の名前は....


ーーーーーーーーーー


 帝王の元へ向かうのは私、ゲトー、ロティアートの3人だ。


 今歩いている通路は本来、城で何かあった時の避難通路らしく、あまり多くの者にこの通路についての情報を知られてはいけない故にこの人数で通っている。


 今いる所は明かりこそあるが暗くちょっと広い程度の通路。


 「ゲトーさんとロティアートさんがここにいるって事は、二人は帝王にかなり信用されてるって事なのかな?こういう通路知ってるのってそういう方達だから。」

 「はい、我々以外でもこの通路と正しい道を知る者は5人もいません。それ故その者達はなんとしても生き残り、帝王様のために動かなくてはならないのです。」


 大変なんだな...そういう人達って。私も前世で同僚の昇進のために色々頑張った事もあったっけなぁ。


 「正直、僕もその内にいるのが今でもビックリだよ。」

 「ん?ロティアートさんは信用されるほどの実力者じゃないの?」

 「ロティアートは基本実力と才能が非常に高いからな。防御スキルの相性もあって採用は当然だった。何よりお前は努力家だからな、帝王様も評価している。」

 「へへ、ありがとうございます。頑張った甲斐あったなぁ。」


 

 少し歩いているとかなり広い場所に出た。

 どこだここ?ゲームでお馴染み城地下ダンジョンだったりして。


 「ここはどこなの?」

 「地下水路跡ですね。昔は人々の生活に重要な物だったみたいです。」

 「昔犯罪組織が通路として使っていたみたいですからちょっと怖いんですよね...。」

 「怖...でも昔って事は今は大丈夫なんだね。なら安心d.....

 「そして今は....。」

 

 シュルルル...


 大きいヤモリが3体現れた!


 「魔物の棲家になっているんだ。」

 「早く言えーーーーーーー!!!」


 戦闘を開始した!

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