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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
帝国道中編
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第41話 打ち明け

金曜日忙しいので金〜土は1作にしておきます。

申し訳ありませんorz

 ゼスィーでの事件を終えたその夜、部屋で私達は明日に帝国へ向かうための作戦会議をしていた。


 そもそも今回の旅は私を帝国に送り届け帝王と直接話をするのが目的、しかし進むほどに明らかになっていく謎の事件と手掛かり。


 ミーシャの母の行方、非正式な神獣資格を持っている存在、そして大国内..各地にも確認されている反神獣派組織の構成員。


 おそらく帝国に届けてもまだ安心できる様子ではないらしく、帝国内に関しては隠し通路を通って向かうという事になっているらしい。


 「....はい、承知しました。」

 「...ゲトー副総隊長はなんと?」

 「帝国に入る少し前あたりから警護に加わるとの事です。やはり帝国内にも反神獣派の者が何人も確認されている模様です。」


 ミーシャは私の追加警護担当を請け負ったというゲトーという帝国軍副総隊長に、現状について連絡していた。


 「ゲトー副総隊長曰く、構成員の何人かはやはり、キジコ様の居場所について知っていた模様で、情報網からしてやはりキジコ様の居場所を特定できる者がいるのは確実とのこと。」

 「厄介だな...そこまでしてキジコ様を狙うって何が目的だ?」


 反神獣派が私を狙う理由、神獣は100年に一度、一体...一柱分しか現れない。

 そして現状資格を持つ者は非正式含め3体、黒幕の目的はおそらく、ライバルを減らして確実に神獣にしたい誰かがいる。

 それか黒幕自身が資格を持つ存在なのか..それはわからない。


 ...って感じかな、ディメンが言っていた事から考えるとだけど。


 「今いる資格保持を倒して神獣になる確率を上げているのかも。」

 「!」

 「黒幕は神獣にしたい何かのために動いてるか、黒幕自体が資格保持か、それか最初から神獣を憎んでいるのか...とりあえずこの3つのどれか、かな。」

 「...現段階でもまだ重要な結論を出せる程の情報量はないな。」


 結局考えてもこれといった結論に辿りつかないまま数分、

 すると、


 「...帝国に行けばアタシ達はその後どうするの?」

 「どうするって...キジコ様の護衛任務後はそのまま城の守護兵に役回りするんじゃないか?」

 「ならキジちゃんの帰りはどうするのっすか?」


 そういやそうだ、帰り道どうなるんだこれ。

 また来た道の逆戻りか?


 「...しばらく会えなくなるのなら、聞いておきたい事があります。」

 「...どうしたのミーシャ?」

 「キジコ様、...あなたは何者なのでしょうか。」

 「...!」

 「ど、どうしたのミーシャ?」


 ミーシャの言葉に驚く4人。


 「...それなら俺も同意見かもしれない。」

 「スーもか!?」

 「キジコ様、以前から気になっていました。あなたはその肉体的年齢以上に知識量が多いのは分かっています。しかし、あなたは知識どころか感情、言葉、思考などの能力があまりにも発達している。


 それどころか私達の知らない知識さえもある...神獣の資格を持ち、レギスの守護獣に育ててられたと聞きましたが...何か違和感がある。教えてください、あなたを。」



 そういや異世界転生者である事、言ってねぇ。

 

 いや、マジで忘れてた。自身が転生者であるのは誰よりも知ってるけど、よく考えたらミーシャ達にその事言ってないじゃん!?


 「あーその事ね...いいよ、話す。」

 「...!」


 「...私はキジコ、雉野小夏きじのこなつ。雉野が姓で小夏が名だ。」


 「...姓が名の前に..?」

 「キジちゃんのキジコってもしや略称っすか?」

 「珍しい名だな...どういう事だ?」

 「...二度目の人生と言ったところかな、猫だけど。」

 

 ミーシャ達が急な発言に驚く。


 「それと私自身...魂はこの世界の住民じゃないんだ。だから多少知識があっても知らない常識が多いんだ。」

 「...それって...、まさか!?」

 「...異世界...人?」

 「まぁそうなるね、今は人間じゃないけど。向こうの世界で死んで神様の力でこの体になった...ってところだ。」


 大まかだが合ってはいるだろう。


 「まさか...長い時をかけ今もなお研究されている並行世界の存在は...本当だったの!?」

 「だね。私のいた世界から見てもそれは同意見だ。」


 みんな納得してるような唖然としているような...


 「...異世界からの転生者...。」

 「..異世界ってどんなところなんすか?得意な魔法はなんだったすか?」

 「どんな精霊さんがいました?」


 似たような事を以前ヴァルケオ達に聞かれた気がするな。って事はおそらく...


 「魔法も魔力も精霊とかもないよ。基本夢や架空の存在だった。」

 「え?」

 「...魔法が...存在しない!?」

 「私のいた世界は人類の知恵と勇気と技術の結晶で出来た世界、マジックなんてないテクノロジーの世界だ。」

 「て...てく..?」


 やっぱり驚愕したか。私のいた世界の人々が魔法や幽霊なんていないっていう奴の常識がいればこの異世界では魔法のない世界なんてないって常識があるほど、この世界では魔法が根深く、根本的に歴史と共にあったという事なんだろう。


 「根本的に違うの、歩んだ歴史が。」

 「それが...キジコ様の世界...!」

 「...私達の世界から見ればみんなの存在なんて本や物語の世界の存在、エルフも獣人も魔物もドラゴンも。」

 「...!」


 そこも驚くか...やっぱ根本的な情報、常識と異なる事が出るとそんな反応になっちゃうか。

    

 前世の世界はドラゴンやエルフなんて漫画アニメ世界で会いたいキャラランキング上位だから、本来会えてビックリ喜ぶの私の方なんだけどね。


 「...向こうは平和だったっすか?」

 「...どうだろうね、他国は紛争戦争起きてる所があったから。

 ...でも、私の暮らしはとても平和だったよ。」

 「そうすか。..キジちゃんを見てるときっと向こうも平和だったのがなんとなくわかるっすね。」

 

 この世界に来てからの状況と比べりゃずっと平和だった前世。早くあの時のような平穏は訪れないのかな、それともまだ地平線の向こうか。


 「色々あってこの世界では平穏に暮らすつもりだった。けど今..来てすぐそんな状況じゃなくなった、だから私は平穏に暮らすために動いている...そんなところだ。」


 「..大変だったんだな。キジコ様..いや、雉野さん。俺...できる事があったら協力するよ!」

 「!」

 「あ..アタシも!雉野さんのおかげで色々楽しい事があったり..友達も助ける事ができた。」

 「私もです。この旅がなかったら..精霊さんも見えないままだったかもしれません。それにお母さんの行方も辿れなかったでしょう。」

 「私もキジちゃんに手を貸すっす!キジちゃんとはまだまだずっといたいんっすよ!」

 「..俺もあなたに全力で協力いたします。」


 「皆...。」


 ちょっと昔話と今の目的を話しただけなのにこの子達は私に手を貸すと言っている。

 ...そんなに悲しい事言ったかな?


 でも...嬉しいよ。私に協力してくれる事もそうだけど...こうやって君達と旅が出来ている事も、今の私にとっては一つの平穏だ。

 だから...そんな君達と過ごせる時間がもっと欲しいよ。


 「...ありがとうね。だから...前世で君達よりずっと歳上だったお姉さんから助言..いや、警告をしよう。

 命を無駄に捨てるような行為だけは避けるように!」

 「...!はい!」


 未来あるこの子達が下手に命散らすのは元大人として見過ごせない。

 前にも言ったような気もするけど、君達が私を全力で守るなら私は全力で君達を守る。



 「ちなみにキジちゃんいくつだったのすか?」

 「32だったかな。」

 「予想以上にお姉さんだったっす...。」


 予想以上とはどういうことじゃー。


ーーーーーーーーーー


 「帝国へはゼスィーから一度山間部へ入り、東の門につながる道を進みます。途中でゲトー副総隊長らと合流する予定になっています。」

 「..正門は交易通路や冒険者の出入り口として多く使われているから、下手に反神獣派の奴らと戦うのはまずいからな。その方法ならまだ他を巻き込まない。」


 帝国は門が3つあるようで、私達が向かうのは東側の門だという。今スー君が言ったように正門から入るのは関係ない人を巻き込む恐れがあるゆえ、あまり使われていない東側を使うという事らしい。


 「とりあえず明日は早朝に出発しよう。どの道帝国に近づくとなると一般人が増える、なるべく早いうちに行けるところまで行こう。」

 「賛成だ。ゼスィーも漁業が盛んな故、観光や交易でくる者達で溢れる前に行こう。」


 異世界に来て3週間ちょっと、1ヶ月もない超過密ライフはいよいよクライマックス...だといいな。


 この時の私は、この程度で平穏訪れると思っていました。

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