第39話 また豪邸に来ました
ラーシャさんの館を出、宿に向かった私達。正直みんなもう疲れてるので部屋でゆっくりする事にした。
〜女子部屋〜
「お?キジちゃんその紙は...。」
「ヴァリールさんから貰ったレシピ。すごいや、色んな服の縫い方や布の編み方など詳しく分かりやすく書いてある..。」
「はわわわ....。ヴァ..ヴァリールさんのレシピ..!」
せっかくの休憩なのでヴァリールさんが私にくれたレシピを読んでいた。載っている服に関しては驚く事にパーカーやコート、和服など前世でも見た服が多く書いてあった。
どうやらこの世界でもこう言った服はあったらしいが冒険者からすれば鎧より脆い故、着る機会が少ないから一部では文化的に衰退したそうだ。
町には町の文化、衣装もあるからこういう服は王国帝国など守りの強い大国の中でしか着る人は見ないそうだ。
実際ヴァリールさんも、そう言った服を足して2で割ったような服だった。最低限の安全とオシャレのある見た目である。
魔法具なら見た目以上の頑丈さとすごい効果を得られるのだが作ろうと思って作れるもんじゃない。
残念だなぁ、オシャレ文化が予想以上にちょっとなかったとは。
作った所で私は着れない。私今猫だし。
あー、私も人間の体に戻りたいという気持ちがこうも早く来てしまうとは。ヴァルケオ達も獣人化とか持ってたけど長生きか何かで得たらしいからなぁ。
猫は100年生きると猫又という化け猫になると言うが生憎私は短気気味だから早く方法を見つけたいもんだ。
まぁでも、いつ獣人化なるかわからないし今の内服生成スキルとか覚えたいな。
だが驚いたのは次のレシピだった。
「あ?なんだこれ、靴?」
「はい靴っす。見た感じ私生活用っすね。」
このデザイン、柔軟性を感じる靴底の絵、間違いない...スニーカーだ。
「それ歩きやすいわよね。私も休暇はそれ履いてお店によく行くわ。」
「私は持っていませんね...。」
すごい、なんというか...もし獣人化したら欲しく感じるような物がちゃんと載っている..!
ヴァリールさん、ありがとーーー!!
さて...せっかくの休憩だし、
「ごめん、ちょっと寝る。眠気が強い。」
「わかったわ。私達はこの部屋にいるからゆっくり寝ててもいいわ。」
「ありがとう。」
休める時間はまだあったので、私はそのままベッドの上で眠りについた。
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どこかで見た豪邸
高級感あふれる庭園
お高いテーブルと椅子
「久しぶり、キジコちゃん。元気にしてた?」
180cm前後のオネエ口調ハンサム男
....ふぁ?
ふぁあああああああああ!?
「そっちの世界、結構大変な事になってしまってる見たいね...転生させたのにごめんなさいね。」
「いやいやいやいや待って待って!!私なんでここにいるの!?過労死!?」
「違うわよ、意識を一度こちらに呼んだだけよ。」
「それは器用な...。」
「神ですから。」
死んだ時以来のディメンの豪邸です。
意識だけではあるが猫の体で来るのは初めてだな...。
近くにはメイドさんが何人かいる。何者だ?
「直接こうやって会うのは初めてですね、雉野さん。いえ、キジコさんの方がよろしいかしら。」
すると今度は長髪黒髪のちょっと目つき悪い美人さんがやってきた。
「あら冥ちゃん。キジコちゃん、この人は前に言ってた現閻魔の冥ちゃんよ。」
「閻魔!?」
「はい。先代のじぃじ....コホン、祖父から役を受け継ぎました。」
これまたビッグな方と出会ってしまった。
「それで...私が呼ばれたのは..?」
「...向こうの世界の状況についてよ。」
「状況...?」
「今向こうでは100年に一度の神獣が現れる世代..と言った情報はもう聞いた?」
神獣に関する話だったのか。そりゃ確かに私呼ばれるわな。
「はい、私自身その神獣になれる資格の称号がありますから..。」
「キジコちゃん、今その称号と同等...神獣になれる資格を意味する称号を持つ者はあなた含め[3体]いるわ。」
「私含め3体か...。」
「けど..その内一つは正式なものじゃないの。」
「正式じゃない...?」
急に変な展開に入ってきたぞ。
どういう事だ?1体だけ正式じゃないって…、私は知らない間に資格称号得てたけど...。
「私ではないの?魂はこの世界の住民のじゃないし、知らない間に手に入れてた。」
「キジコちゃんじゃないよ。称号は知らない間に決まるみたい。だからキジコちゃんは正式よ。」
そんなあっさり誰かの生きる運命を定められるなんぞある意味クソゲーかな。
「それで、正式じゃないのって?」
「...人工的に作られた生命体に、神に関する物を合成させ、かなり無理矢理力を与えた事で偶然生まれた存在...と言ったところかしら。」
「それは物騒な...。」
「神に関する物としてはおそらく...神光石を使ったのかしらね。」
神光石...?なんだそのキーアイテム。
「それは一体なんなのでしょうか?」
「過去にディメンとは別の神があの世界に降り立った際、周辺の石がその神聖な魔力で変質した物です。その石は近辺にあった当時の帝国が管理しており、悪用されないためにも厳重に保管されています。」
「....今追っている事件に何か関係ありそうだな。」
「ええ、間違いなく。」
かなり重要な情報を聞けた。やはり神獣というだけあって神に関する事なので、できる限りの行動をしている...のかな?
「私はあなたを第二の人生(?)でゆっくりしてもらうために転生に特別許可を出したのですが...まさかこんな事になるなんて...。」
「...その資格は辞退する事ができないの。本当に最悪の事態だわ。」
まっじか...神様と閻魔様が苦悩するほどイレギュラー展開だったのか...。なんというか...ごめんなさい。
「...とりあえず私は平穏に過ごせるように生きればいい感じなのでしょうか...?」
「そうね。...だから私と冥から[スキルを一つずつ渡そうと思うの。
本当はもっとサポートしたい所なんだけど急にえげつない力を身につけると怪しまれるし、余計に狙われる危険性があるの。」
「何より、あなたの今の肉体はまだ幼い故、神から下手に力をもらえば耐えられず...肉体も精神も崩壊するわ。」
ひぇ...アニメ漫画で見た転生転移時に無双級超パワーアップとか展開あったけど、現実はそう甘くないようだ。
「とまぁ...ありうる話をしたけど、実際は今キジコちゃんは最近、過密な行動が多いから経験値的なのが余ってるの、スキル2つ分。」
「ですから今のあなたに耐えられる分=2つをこの際私達から授与するって感じです。」
そういう事だったんかい!
いやまぁ超ありがたいのだけれど...。
「それで、どんなスキルが欲しい?」
「どんなと言われると....そうだ。」
「まず...裁縫に関するスキルが欲しいの。」
「裁縫!?そんなのでいいの..?」
「うん、この前会った人から服のレシピを貰ったのだけど、前世で得た知識や技術じゃ足りない所があるし、この趣味を楽しんだり学ぶ時間も多くないから、この際貰おうかなと。」
「...わかったわ。一つ目からキジコちゃんらしいね。」
「それで、二つ目はどうしますか?」
二つ目...うーむ、何かあったっけな。今という事態に役立ちそうな...この疲れてる体に...あ。
「...疲労回復効果アップとか..ナイカナ...?」
「あるわね、普通に。」
「思ったよりリアリティなの選びましたね..。」
これでも疲労で間接的に死んだのです。ならいっそこの際貰っておけば旅もより楽になるはず。
「それじゃ....、」
ディメンと冥さんが目を閉じ、何かを念じ始める。すると...
[スキルを特別授与により習得いたしました。]
[補助スキル:裁縫師を習得しました。このスキルは裁縫に関する知識が増え、裁縫に関する行動がより円滑に行えます。また、知識量の増加に伴い精神安定効果も上昇いたしました。]
おおお!?これはすごいの手に入ってしまった。しかもこのスキル習得時に聞こえる女性..の声も心なしかいつもよりはっきり聞こえるような...?
<[補助スキル:疲労回復効果上昇を習得しました。休憩に関する行動時の疲労回復の効果が上昇します。]
[以上で授与を終了いたしましゅ...。」
「あら、噛んじゃった?」
「...しゅ..すみません..。」
...ふぁ!?
「...ちょっと待った、頭の中に響いてたというか聞こえてた声がそのメイドさんから聞こえたのだが...。」
「そりゃスキルのアナウンスはあの子がしていたもの。」
「え?」
「申し遅れました、キジコ様のスキルに関するアナウンスサポートをしております鈴音と申します。」
「ええええええ!?」
最後に衝撃の事実。
「キジコちゃんはスキルどれだけ得るかわからないから、ちょっとしたサポートをあの子にさせているの。鈴音は念話スキルが上手だからね。ちなみに他の人には聞こえないよ、一度だけ別の人にも聞こえたけど...。」
(ヴァリールさんか...スカーレットハートを作成した時に...。)
「とりあえず今回の要件は済んだわ。そろそろ意識を向こうに戻すけど特に質問はない?」
「いえ、特に。久しぶりに会えて良かったです。」
「あはは、わかったわ。それじゃ気をつけてね〜。」
「どうかご武運を。」
私の周りが光に包まれた。
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あーよく寝た。と言っても、向こうでずっと起きてたけどね...。さて...日の傾きからして17時くらいかな。
「あら、お目覚めですか?キジコ様。」
「ああ、おはよ。」
部屋にはミーシャがいた。..アリアとケイはどこだ?
「アリアとケイは?」
「[例の準備]をしています、ゼオとスーロッタも。」
「..!わかった。アイツらそろそろ何かしらの手段で仕掛けてくるだろうからね。ミーシャ、そろそろ作戦行動を開始しよう。特殊通信念話で皆んなに伝えて。」
「はい!」
「お客様、領主様がお呼びになられています。」
鈴音「生麦生米生卵!生麦生米なみゃ...うう。」
冥「普通の口では割とボロボロなのですね(´ω`)。」




