第37話 精霊とエルフの少女
今日投稿予定だったものですorz
お待たせしました
「レリィ..どこ?レリィ...?」
『ここだ!!ここにいるよ!ミーシャ!!』
...私はお母さんが居なくなった後、精霊さんの声が聞こえなくなった。ずっと私を守ってくれていた精霊、レリィの声も、姿も見えなくなった。
私はダークエルフの母と魔人族の父の間に生まれたハーフ種族、シャドーエルフ。
私は生まれつき精霊力を操る力が強かった。幻級と言われる精霊しか使えない技さえも少し使えたことだってあった。
母曰く、生まれつきの優しい心があったから。
父曰く、博愛の精神があるからだとも言われた。
精霊さんは私の家の近くの森に沢山いた。
水の精霊、風の精霊、光の精霊、大地の精霊、闇の精霊、いろんな精霊さんがいた。
その中でも特に私に過保護気味な精霊さんがいた。
名前はレリィ。なんでも昔からお父さんといたらしく、相棒とも言っていた。
お父さんはその昔強い魔法使いだったらしく、レリィはその時の旅仲間だという。
お母さんとはその頃に出会い、結ばれたのだとか。
そしてレリィは生まれた子..私を守ると決めたらしい。
レリィは私を友達であり家族として心配な時はずっと私といた。食事の時も、散歩の時も、寝る時も、ずっと、ずっと。
『ミーシャは将来どんなのになりたい?』
「私も皆んなを守れるような人になりたい!」
『ああ、それは楽しみだね。』
ーーーーー
そんな時だった、事件が起きたのは。
私が朝起きるとレリィの姿が無かった。
外からお父さんとレリィの声がしたので行ってみた。
「母さん見つかったか!?、」
『ダメだ...!どこを見回っても...他の精霊に聞いてもいないって!」
(え...?)
「一体...一体晩に何があったんだ!?」
『かなり高度な隠蔽魔術を使われたかもしれない...。ミルカーナにはワタシの加護ある..出来るだけ探知をしてみる。』
「頼む!!」
(お母さんが...いない...?)
私はお母さんの部屋で精霊術を使い調べた。
でも...何も出なかった。
「お母さん..どこ..?」
「...!ミーシャ...。」
「お母さん...いないの?どこにもいないの..!」
「...大丈夫だ..!母さんは戻ってくる..!俺達が絶対見つける..!」
それから刻々...日は重ね...2年経ってもその願いは叶わなかった。
私もだんだん、精霊が見えなくなっていた。レリィでさえも少しぼんやり見えてしまう時もあった。
そして...見えなくなった。聞こえなくなった。
「レリィ..どこ?レリィ...?」
『ここだ!ワタシはここにいるよ!ミーシャ!!』
『...お願い..心を閉ざさないで..ミーシャ..!!』
『ボクらはずっといるよ..なのに..。』
....精霊さん、あの時もずっと...私といたのね...なのに私は何も聞こえなかった。
「どうして...どうして!!みんな私からいなくなるの!?」
「....。」
お父さんは涙を堪え私を抱いていた。
私は泣きながらお父さんにしがみ抱きついていた。
それから部屋に閉じこもることが多くなった。
当時ゼオ達も私の家に来てはお見舞いで食べ物や綺麗な花、服や道具をくれた。
同じくヴェアートさんも心配で見舞いに来たり母の捜索を手伝ってくれていた。
でも母は一向に見つかりはしなかった。
そんなある日、
「ミーシャ、これを。」
お父さんは私にクマのぬいぐるみをくれた。
「これはお守りだ。父さんの故郷に伝わる言い伝えでな、探し人と探す者の安全を守ると言われていてな。」
「...。」
「このぬいぐるみが壊れない限り、絶対生きて会うっておまじないがある、ぬいぐるみが無事なら母さんも無事だ。このぬいぐるみはお守りだ、お前と母さんを絶対に守っている。だから諦めるな、絶対に母さんと会えるから。」
その時にあのぬいぐるみをもらった。
それから私は母の無事を願うとともに閉じこもる事をやめて、ちゃんと生きる事にした。絶対にお母さんに会うため。
ーーーーー
...ずっとその時も私を守っていたんだ、レリィ。私は心をずっと閉ざしたままだったのに、貴方はずっと私を...。
ごめんなさい...ごめんなさい...!気づけなくて...ずっと子供だったから!!
ずっと一人じゃなかった。
レリィがいたから。
みんながいたから...。
...そこに気づくべきだったんだね...。
[君は一人じゃない、そしてワタシがいる限り一人にさせない。]
[君はもう弱くない、誰かを救える。]
[ずっと一人にさせていたのはワタシが無力だったからだ。]
[だから...もう自分を責めないで。]
...レリィは悪くないよ。ずっと私を守っていたんだから。
私はもう...自分を責めない。
一人ぼっちだなんて思わない。
弱いなんて思わない。
だから...だから..また一緒にいて、レリィ。
『勿論だとも!』
ーーーーーーーーーー
「....はっ..!」
気がつくと宿のベッドで私は寝ていた。
外を見ると朝になっていた。
『起きたかい、ミーシャ?』
「...!!..れ..レリィ!!!」
私はぬいぐるみのレリィに抱きついた。
『ちょ..がぶ..ギブギブ...。』
「わああ!?ごめん、大丈夫?」
『大丈夫だよ、ヴァリールに色々されて今じゃこの体でも動ける。』
「おお...!?」
『ずいぶん可愛らしくなったわねレリィ。』
『うるさいよララ。』
『ホンッとお前ら仲悪いなぁ。まぁでも確かに可愛らしくなったな。』
『ラーヤまで...。』
突然部屋に沢山の光の玉が現れる...。
「....!!!精霊さん...!?」
『やぁミーシャ!こうやって話すのはずいぶん久しぶりだね!』
『君が旅に出てからもボクらはレリィと共に守っていたよ。』
『アッチらを焦らせないでほしいわね、もう!』
「あ...あああ....やっと..また..!」
『ああ、またワタシ達と過ごせる。この先もずっと。』
私は精霊が見えなくなった。
涙で何も見えなくなったから。
とにかく泣いた。
もう一人じゃないんだから。
私には...皆んながいるから。
だから待っててお母さん、私は諦めない。
絶対に。
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「ミーシャ、これでようやく一歩踏み出せたね。」
「ああ、あとは..。」
「...レリィという精霊が言っていた目的地、帝国にいるミルカーナさんだな。」
「なんの偶然っすかね...この旅は本当にただで終わる気がしないっす。」
「いや、反神獣派の奴らと戦ってる時点でもう既にただで終わってないよ...?」
食堂で会議をしている私達。
ちなみにヴァリールさんは早朝にチェックインしてまた旅に出たらしい。
その際「またどこかで会うといいね、楽しかったよキジコちゃん!」と手紙を残していた。
裁縫のレシピのプレゼントとともに。
「皆んな、とりあえず魔物は町の皆んな、エレムス達で討伐したからゼスィーには問題なくいけそうだ。1時間後には出発しよう。」
「...ああ、問題ない。準備は大方整えてある。」
「なんか進むほど謎が増えてくっすね。まぁ暇よりかはいいっすけど。」
「いやこういうのは穏やかな方でいいんだよケイ?」
「...お待たせ致しました、皆さん。」
「ケイ、おはよう。」
「その感じだとすっかり元気になったんだな。」
「はい!私はもう弱くありませんから!」エッヘン
「ああ、それじゃ食うもの食ってから行くとしますか!」
「おー!!」
「お待たせいたしました!ご注文の料理です!」
私は今がとても楽しいです。




