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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
異世界参上編
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第2話 バトルと食事とスプラッタ

ディメン「スキルどぞ そして説明以上!がんば!」

 キジコ「あ やべ」

 魔物鹿「ガオー(`・∀・´)」

 開幕早々アイアンディアーの突進がこっちに向かってくる。

 これはまずいと思い避けてみたところ、ちょうど突進した先に丈夫そうな木があった。これはラッキー、そのままぶつかってくれ!!


 そんな思い虚しくアイアンディアーは木の前で止まりすぐこちらを再びロックオンしてきた。マジか。

 

 だが私には先程ゲットした複合スキル[ディメンノート]に備わっているスキル「肉体理解」と、この体になってから手に入れた触毛ヒゲによるレーダーでアンタの攻撃を避けることなど造作もない!


 そして再び突進してきたアイアンディアーをすれ違い様に爪でひっかいた。

 向こうが中々の速さで突進してきたこともあって予想よりも高い威力になっていたらしく、また息を荒げこちらを睨む。よくみるとひっかいた所が赤く染まっている。

 

 (攻撃アタックスキル:ソニッククロー≪1≫を習得)


 うお!なんか別の声が頭の中に聞こえてきた。女性の声のように聞こえたが今そこはどうでもいい。

 どうやら攻撃用のスキルをゲットしたみたいだが、えーとスキル名..ソニッククロー?序盤らしいスキル名で妙に安心した。

 

 「ヴォルルァァ"ッ!!」


 おっとなんだ、突進してはきたがさっきより遅い、スタミナ切れでもなさそうだが...。

 するとアイアンディアーの角が少し光だす。

 これは...まずい!

 

 嫌な予感は的中。アイアンディアーは私が横に回避する前の地点で角を大きく振り上げた。さらに振り上げた途端、少しだが風圧がきた。

 やばい、あれをくらえば大ダメージは確定だ。


 しかしそれだけでは終わらない、アイアンディアーはすぐ私を見つけロックオン。

 もう私を見つけるか、妙に探すのがうまいな...、野生動物ならぬ野生魔物はそんなものかな。


 とはいえヤツも生物、ずっと動いていればをしていれば流石に体力が切れかけていた。


 このチャンス逃さん!!

 くらえ必殺!ソニッククローー!!


 発動した瞬間私は居合斬りのようにすごいスピードでアイアンディアーの首を爪で切り裂き通り過ぎた。

 てっきり凄まじい速さでひっかくのかとおもったが予想以上の行動でビックリ。

 そして華麗に決めポーズ。そしてアイアンディアーは光って爆発...とかいった特撮演出かいじんどかーんはなく切った首から凄まじい血しぶきが噴き上げるのでした。

 とってもスローライフらしくない演出です。

 イッツ ア スプラッタァー 


 さて、重要なのはここから。ん?何かって?

 そりゃもちろん、このアイアンディアーを食べるんだよ。

 だが元人間あるゆえか無加工の肉素材素材食うのが何故か抵抗感が出る。私猫の魔物なのに。

 だがしかし、私は大昔田舎で親戚と鹿の血抜き作業させられた事あるんだよ!!めっちゃ怖かった!!

 だから加工に関しては知識ゼロではないが今の体だと包丁も持てないからな...。


 ....まてよ、意外とスキルでどうにかできるんじゃね?

 というわけでスキルをいざ確認....おお今使えるスキルが浮かんできた。えーと「パワークロー」ってのが使えそうだな。

 なになに..[魔力を用いた強い力の爪で対象を切ります]、おおなんとご都合、早速使ってみよう。

 

 というわけでここからは私がどうしたかを少々大まかだが説明しよう。

 まずは冷却。冷蔵庫も冷凍魔法とかないから川で冷やしておく。流れが割と速いためか川の水温が思ったより低く使えると思ったからだ。


 次に血抜き。前世では海外とかでは鮮度さえ保てば料理の材料に入るくらいらしいが今の私じゃそんな技術も設備もないため仕方ない。川でアイアンディアーの首の脈を切ってなるべく血を抜いた。


 そして内臓取りだがそれこそこの体じゃ下手に傷つけ鮮度や品質ガタ落ちさせかねないので、パワークローで食べれる部分を大まかに切り分けた。

 モザイクなしじゃ見づらい光景じゃー

 

 食糧を冷やしてる間、私は川で体を洗い水分補給をした。当然抜けた毛が付かないよう食糧からは離れた所で。

 日光も程よくさしているので毛は割とすぐ乾いたが、意外なことに毛並みが洗剤込みで洗いドライヤーでしっかり乾かしたペットのようにサラサラふわふわしていた。

 スキル飲食鑑定で調べてみたところこの川、というよりこの水は「精霊水」というものらしく、ゲーム風にいうなら飲むとHPやMPとかが回復するアレ。

 他にも浄化力もあると書いてあったが、私の毛並みサラふわはこれが原因だろう。


 さてさてある程度時間も経ったし、アイアンディアー食べてみますか。

 火炎魔法とかもないのでとりあえず川からモモ肉部位を引き上げ、皮を除去してそのまま食べてみた。


 鹿さんごめんね、いただきます。

 ガブガブ....



 ....


 ..なんと!?これは....


 ...美味い!!


 なんだこれ、いけるぞこれは!脂身が少ないのにジューシーで意外とクセもない!

 獣らしく赤身を食いちぎる爽快感、噛むと溢れるたんぱくながらも深い味わい、本当に美味いぞ!


 魔物になって味覚変わったか、舌の肥え度がリセットされたか知らないが、私はただ無我夢中に味わった。


 この体の大きさにしては結構な量を食べたが、モモ肉を食べ終わったところでお腹がいっぱいになった。

 余った部位はどうするか..精霊水に漬けてあるためか、飲食鑑定で見たところこれといった劣化が見られなかった。ついでに鹿肉も鑑定してみると、どうやらこの辺りを根城にして精霊水を摂取していたため臭みがあまりなかった模様。

 ちなみに額についていた宝石、どうやら特殊な音波を用いたレーダー機能を持っていた模様。

 だから私の位置をすぐ把握したのか。


 とはいえ冷蔵冷凍庫ほど長くはもたないだろうけど鑑定の見る限り今の鮮度は夜ご飯辺りまでは多分もつだろう。

 

 そうしてゆるゆる考えていたその時だった。



 ゾワッ


 ....は?...なんだこれ?..なにこの威圧感....この視線。

 

 それは突然だった。

 凄まじい威圧が後ろの方から来たのだ


 狙いはなんだ..、私?いや違う、だったらここまで威圧を出さなくてもいいはずだ。私はまだこの異世界に来たばかり、レベルとかは低いはず..。


 待てよ...まさか、アイアンディアーの肉か!?


 そもそも私が今いる立場は弱肉強食の自然界。

 都合よく食糧があれば狙うのは当然、その食糧に近寄る者がいればどうやっても追い払う筈だ。

 あわよくば威圧に屈して動けない奴も食える。

 そしてその存在は離れていても川に浸かったアイアンディアーの状態をおそらく理解している。


 そう、さっきの戦いが可愛いお遊びだった思えるほど私は今超絶大ピンチなのである。

 

 さらにまずい事に、その凄まじい威圧はさらに膨れ上がっている。いや違う、だんだん近づいて来てるが正しい。

 なのに威圧の元となる存在がまだ見えない。言い換えればそれだけの実力と立場を持った存在である事。

 

 あまりの威圧で自分でも気づかないうちに私の全身の毛は強く逆立てていて、耳もペッたんこで尻尾も内側に巻いている。 


 完全に怯えてしまっていた。

 逃げたくても意識しても体が動かない。

 なぜなら私は前世で30年以上生きてた元人間であっても今は幼い魔物。

 精神を保っていても肉体が本能的に負けてしまっているのだ。圧倒的なその存在に。


 まずい、まずいまずい、非常にまずい...。

 逃げなきゃ....逃げなきゃ....今すぐ逃げなきゃ。


 何度意識しても動けない。

 ヤツはどんどんこちらに向かってくる。


 はは....私..もう..終わりかな...。

 

 ドスンッ


 そしてヤツは現れた。


 黄金に輝く瞳

 

 木々の影に差し込む日差しがその体を白銀に照らす

 

 そしてこの開けた場所に姿が現れる


 おそらく体長11m


 穢れなき純白の毛は日光に当てられ白銀の如く輝き


 その威圧を象徴するかのような大きな立髪


 凄まじい力を感じるその体は美しく

 

 私を見ても威嚇の声一つ立てず

 

 歩く姿は神々しさと気高ささえ感じる


 この瞬間、私は恐怖している相手に見惚れていた

 その圧倒的な神々しさに、美しくしさに、その威圧感に

 

 (スキル、魔物図鑑がレベル2になりました。以降、一定の距離内で初確認する魔物は視認した時点で種族名が記載されます。)


 私はヤツから視線を離さない。

 下手に動けば死ぬかもしれない。

 どんな事でもいい、生き残るために私はただヤツに全力で警戒心を出す。


 あの白銀の


 「白銀の獅子」に


 シャイニング・ヴァイス・レオに

ディメン「あの子悪運強くない?」

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