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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
帝国道中編
29/302

第27話 ドゥークの森(2/4)



 スーロッタです。


 ドゥーカルンという町に向かうため暗闇の森ドゥークを進んでいます。

 森の中は夜のように暗く、日時方向狂いそうで大変です。


 現在、ようやく1/4くらい進んできた所です。

 ですが道中は魔物も多かった。


 超音波で相手の位置を捉えるコウモリ魔物

 嗅覚で探知できるオオカミ魔物

 

 この2つが主に多いです。


 森から入り抜けるまではおよそ6km。

 短いようにも見えますが、この暗闇相手ではそうはいきません。

 無闇に進めば命がいくつあっても足りないかもしれません。



 「なぁスー、空間収納使えたっけ?」

 「?、使えるがどうした。」


 彼はゼオ。幼馴染でよくつるんでいた。


 「リンゴねぇかな?」

 「リンゴだと?」

 「ルザーナがちょっと空腹気味らしい。今のルザーナは重要なレーダー係だから出来るだけ手伝おうかなと。」


 それは大変だ。空間収納は重要だと昔ミーシャに叩き込まれたっけな。

 実際役に立ってるから感謝モノだ。


 「なるほど、ほら3つだ。」

 「ヴル!」

 「「おわ!?」」

 「のわぁっルザーナ、リンゴへの食いつきすごいな...。慌てて食うなよ。」


 びっくりした。

 ルザーナさんはキジコ様にリンゴを与えられた際すごい食いつきだったらしい。

 きっとリンゴが好きなのだろう。

 実際この反応、見てると納得だ。


 「ふーむ..この辺り魔物の気配がないっすね。ああ、キジちゃんは見失ってないっすよ。」

 「目の前にいるのに見失うか?」

 「はは、けどおそらくこの辺りは特に資源がないのかも。入ったばかりの時は川の音がしてたけど今はない。魔物も特に用のない場所へ行くのはそうないわ。」


 アリアの言った通りかもな。

 己の生活命関わるものが近くにないのに遠くへ行くのはリスクがある。

 特にこの暗闇。

 俺達も魔物達も完全に把握しているわけじゃないから、お互い下手な行動が打てないと言った所だろう。


 「なぁミーシャ、確かこの森ってすげぇ強い魔物がいるって噂聞いたことあるんだけど..実際どうなの?お前そういうの詳しそうだし。」

 「...聞いたことはありますが..私も噂程度でしか。」

 ケ「いるっすよ。」

 ア「いたわね。」

 「なんだいるのk...って、え?」

 「なんでも猫の魔物らしいっすよ。黒い色らしいっす。」

 「へ?鋭い爪を持った鳥の魔物じゃなかったっけ?」


 ケイとアリアは何か知っているのか..?

 お互い情報が異なるが...。


 「でも言い方変えりゃ両方いるかもって事だね。私と同じ猫の魔物かぁ...どんな奴なのやら。」


 キジコ様もそこはやはり気になられるか。

 だが確かにどうなるかちょっと気になる..。


 そんな感じで歩いていると...

 「..!魔物の気配っす。」

 「いないわけじゃないから、やっぱ現れるか..。」

 「...?ちょっと待って、狙いは私達じゃない?」


 ?、オオカミ魔物の向いている方向に何かがいる?


 「..なぁ、あそこに何かいるぞ?」

 「...白くてちっちゃいのがいるっすよ?」

 「...コウモリ?白いコウモリがいるわ。」

 「!、アルビノか!?」


 アルビノ..道中で珍しい真っ白で赤い目の蛇がいて、キジコ様はアルビノ個体かと言っていた。

 キジコ様の知識では、白い蛇は神聖だとか言っておられた。

 なんの情報かはわからないが、あのコウモリも似たようなものかもしれない。


 「...まだ子供か?でも魔力量が他の魔物よりも多いわ。なんならあのオオカミよりも。」

 「高いのは事実っすけど、まだ使い方がわからないのかもしれないっす。オオカミ魔物はその力を狙ってるっすね。」

 「よくみりゃ誰が食うか同族で争っていやがる。」


 オオカミ魔物はその強い魔力のコウモリを誰が食うか争っているらしい。

 群れで行動する奴らにとって強さの優劣も重要なんだろう。


 「どうします?キジコs...キジコ様?」

 「あれどこに行った....


 「魔砲貫通光線マジックペネトレーザ!!」

 「ギャウ!?」


 降り注ぐ細い光がオオカミ魔物を瞬時に掃討した。

 奴らは脳や重要器官を貫かれ討伐されていた。


 「大丈夫か?..羽を怪我しているな。小治療ミニヒール。」


 白いコウモリの羽の傷がみるみる消えてゆき数秒程で治った。


 「ピッ?」

 「また狙われる前に行きな。」

 「ピピッ!」


 そのまま元気な姿を見せ、その白いコウモリは暗闇に姿を消した。


 「ふぅ、」

 「お怪我はないっすか?」

 「ああ、大丈夫!」


 ...お優しい方だ。

 

 人間の間では強い魔力の魔物は実験や腕試しなどに狙われる傾向がある。

 そして生まれながらあの白いコウモリは比較的大きい魔力を有していたのだろう。

 それゆえ弱い内に他の魔物は狙っていたのかもしれない。


 だがキジコ様は倒さないどころか傷を治した。

 その優しさはこの身を持って知っている。

 傷ついた誰かを簡単に放っておけない、そんな人だ..。




 ...人?

 いやいや違う、でも妙に人間らしさを感じる。

 なんというか、優しさだけでは成り立たない何か。


 ..考える程悩む事が多くなりそうだな。

 

 

ーーーーーーーーーー

 キジコ視点


 ふーむ、さっき魔砲貫通光線マジックペネトレーザ撃ってみれば、気のせいか威力も速度も上がっとる。

 相手の脳天や脊髄辺り狙えば倒せるイメージで撃ってみたが周囲感知を発動しなくてもちゃんと命中した。

 

 この前の過密スケジュールで経験値やレベル的なのが上がったのかな...?

 まぁ強くなったのは変わりないだろうきっと。


 それにしても...さっきから険しい道ばかりだ。

 

 砂の地面から今度は高低差ある地面となっていて進むペースが落ちている。


 「ねぇミーシャ、今どの辺りなの?」

 「はい、今は2/4辺りには入っていますが...この辺りまでくるとそろそろ...。」

 「?」


 ..ザー....


 「お、川の音っす。」

 「...ということはつまり。」

 「はい、魔物の生活区域内に再び入ります。」

 「まじかぁ、またいっぱい魔物来たりするのか。」

 「だから一応この辺りで一旦休憩したいと思うのだけどいい?この辺りは魔物は現れないから。」

 「いいわよ、アタシもそろそろきついから。」

 

 アリアさんの言う通りそろそろきつそうな雰囲気の状態になっている。

 

 「..もうそろそろ夜になりかかる時間だ。今日はこの辺で泊まろう。」


 流石に疲労状態のまま、魔物のいる所に突っ込むわけにはいかない。

 今日の所はおしまい、お疲れ様でしたー....。




 あれ、そういや元々帝国まで3泊4日のルートで街に着いてたはず...?

 

 ゼオ曰く別の土砂で塞がった道もドゥーカルンまでは倍の時間がかかると言っていた。

 妙だな...

 「ミーシャさん、」

 「?はい、なんでしょう。」

 「確か元々3泊4日のルートだったよね。この旅は。」

 「はい、トラブルあって狂っちゃいましたけど。」

 「ドゥークの森の分は入っていたの?」

 「ええ、元々ヴィールからは早朝に出発するのが予定でしたので。夜には確実にドゥーカルンに付いている予定でしたが...やっぱり難しいようでした。すみません...。」

 「いやいやミーシャは悪くないよ。計画あってこそ今無事に行動できているんだし。」


 そういうことか...確かに私とスーが起きたのは大体9時前だった。それにいつ起きるかわからないゆえできる準備とできない準備があったのだろう。

 寝坊って怖いね!

 「ハックシュッ!」

 「ん?スー大丈夫か、風邪とか引いてない?」

 「いや..大丈夫だ。」

 「キジコ様、ミーシャ、キャンプの準備できたぞー。」

 「はーい!じゃ、行こうか。」

 「はい、お料理頑張っちゃいます!」

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