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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
邪獣動乱編
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第276話 討伐組

 その日の夜の事、


 「...綺麗な髪だな。私に似ずサラサラした髪だ。」

 「んふふ、いいでしょ。」


 寝る前のお話。


 娘は霊獣になった、

 ただでさえ本当に成長した姿を見せられて感動だって言うのに霊獣形態の私と行動すりゃ本当に親子だわ。


 暗い部屋、机の灯りをつけ買ってきたヘアブラシで愛娘の髪を梳かす。鏡に映る顔は照れて少し赤い。本当なら元に戻って一緒に眠るつもりだったがハルカは、


 「...このまま寝たい。その方が親子っぽいでしょ?」

 「ふふ、実際親子でしょ。」


 と要望があったのでこうしている。

 

 

 さてさてあの後の話をしよう。

 ハルカが霊獣の力を覚醒させた後、私達は教授と共に館へ戻った。当然だが獣人国の長ニコ....はまだしも、教授がやって来た事には。


 「貴方が教授って呼ばれてる方ね。」

 「...緋雨様の愛娘か。直接会うのは初めてだな。」

 「やっぱり...貴方でしたのね。」

 「!?、母上知っているのか。」

 「...約300年前、邪獣を討伐し封印した伝説の聖勇者マース。それがこの人よ。」

 「!!?」


 教授グラザム改めその男の名はマース。

 約300年前の聖勇者だ。...え?


 「三度か手紙のやりとりをしたな、確かあの時のお前が...。」

 「あ?」

 「............。」


 (※桃花様の年齢を詮索するのは超NG)


 「なるほど、通りで邪獣に詳しいはずだ。当事者なら血の回収が出来て当然だな。」

 「まぁな、当然だが持ってきたぞ。」


 教授は空間収納庫から今までまとめた膨大なデータが書かれた書類をドーンと桃花様達の前に提出。


 A4サイズの紙には丁寧にわかりやすくまとめられている。


 「これは...!」

 「これまでの邪獣前兆の情報や大昔の事をまとめている。」

 「情報...そういえば!」


 桃花様も空間収納庫から一冊の本を取り出す。


 「なんだこれ...って本当になんじゃこりゃ。ひらがなだ。」

 「これね、二つずらしで読むの。書いたのは最初に邪獣を倒した勇者よ。」

 「!」

 「そいつは驚いた、まさか前の邪獣倒した勇者様[も]日本人だったとはね。」

 「教授あんた...!」

 「お母さん、その人も元日本人だよ。」

 「不思議だねぇ、邪獣を倒そうとしている奴らは転生者ばかりだ。例えるなら魔王討伐のために呼ばれた異界の勇者様ってな。」

 「...転生者だって言うなら聞かせてくれ、あんた転生する際ディメンに...神様に会ったか?」

 「ん?誰だそいつは。」

 「...菫ちゃんと同じパターンか。」

 「竜人国の令嬢か、確かそいつも転生者だってな。ふっ、向こうは向こうでまた違ったラノベストーリーなライフを送ってるんだってな?」

 「なぜそれを....ああ、ハルカから聞いたのか。」

 「多少は共有した記憶を持ってるからね。」


 邪獣を倒す歴代勇者の2名が、

 悪役令嬢になりかけた子1名が、

 そしてこの私...、


 なんだろうね、思った事はあるんだが教授の言う通り転生者にはやたら濃い人生が待ち受けている。いやもしかすれば知らない所でそう言う事なくゆっくり暮らしている者もいるかも知れない。だが...、


 いや、


 「...今はそんな事考えている場合じゃないな。」

 「ああ、色々話したい事はあるだろうが今は今の事を考えるぞ。」


 「まずハルカ達にさっき言ったが、邪獣達は今禁足地の負のエネルギーを使いさらなる奥...次元を作りそこへ身を隠している。理由はわからないが器をより自分の物へと馴染ませるためもあるかもしれない。」

 「今回貯めた負のエネルギーを取り込む為もあるだろうね。なんとなくだけど...。」

 「どっちにしろ準備が整い次第突撃だ。」

 「準備って?」

 「今の邪獣は昔と違いルザーナを器にしているんだ。一人二人で倒せる自身が無い、それにクロマもスアも強化されているだろう。そうなると誰が誰と戦うか、誰を連れて行き組むか、私達がいない間の町はどうするかなど、今やる事は山積みだよ。」

 「下手に戦力を割く事も難しいわね...朱斗、蒼鈴。貴方達は討伐に回りなさい。」

 「えっ、でも町の守護は...。」

 「私は首都、リーツはスイに任せるわ。」

 「親父に!?大丈夫かな...。」

 「大丈夫よ!タビもいるんだし。」


 朱斗、蒼鈴...邪獣討伐組

 桃花、翠柳、タビ...守備組


 「ニコはどう?」

 「獣人国は基本戦力は十分揃ってるから、先生にこっちの助太刀してこいって言われてる、

討伐に参加させてよね。」

 「わかった。」


 ニコ...邪獣討伐組


 「当然だけど私もハルカも討伐組だ。」

  

 キジコ、ハルカ...邪獣討伐組


 「さて、勇者様はどうするの?」

 「俺も行く、これは邪獣を倒しきれなかった俺の責任、ケジメだ。後でフィアとも合流する。」

 「あの竜も来るのか!?」

 「戦力が多いに越した事はない。」

 「...教授はフィアとはいつ出会ったの?」

 「大昔、邪獣を封印した後だ。」

 「そんな昔からいたのか...。」


 教授、フィア....邪獣討伐組


 「そういえば...他のマギアシリーズはどうするんだ?」

 「...マギアシリーズはすでに撤廃済みだ、近頃は新型の置き換えで各地を渡り歩いていた。」

 「え!?」

 「サンプルだがこういうのだ。」


 教授が取り出したのは犬の体型に合わせたような金属アーマー。


 「これは...。」

 「フォースアーマーの完成品だ。こいつは体型に合った生物が着るだけで邪獣ウィルスに対抗出来る上に肉体強化の効果を持つ。徹夜で製造しなんとか各国でマギアシリーズを使っていた国や欲しがっていた国に最低限は配備出来ている。」

 「人型は無いのか?」

 「あるにはある。だがこの装備は作るのにコストも時間もそれなりにかかる、それに人が使うなら戦力に自信のある者が使うが必要が無い奴の方が多い。例で言うならお前らだ。」

 「あー...。」

 「まぁだからだ、それをこうした。」

 

 今度は黒く紫のラインの入った腕輪。


 「流石に指輪やネックレスは無理だ、今はコレで限界だ。」

 「腕輪か...どう使うんだ?」

 「はめて魔力を通す、以上。それで2分は効果が持続する。」


 とりあえず私がはめて使ってみた。


 「なんだ、淡い紫色に光り始めたぞ。」

 「コレでも半径3mは効果が広がる。もしもの時に使え。」

 「1つだけなのか?」

 「ああ、開発成功したばかりなんでな。俺以外が使っても安全は保証出来るらしい。」

 「サラッと人体実験してきやがった...。」


ーーーーーーーーーー


 「さて、討伐組はこれでいいのか?出来ればもう二人いた方が嬉しいが...。」

 「そうだな....。」


 「アタイ達を連れて行け。」

 「!」

 

 漫画みたいなタイミングで聞こえたその声の主は扉を開けこの部屋に入ってきた。


 「シルトさん、ヴェアートさん!」

 「おいおい、今の勇者様が揃って来るとは。」

 「私達も討伐組に参加させてください。」

 「アタイらも守りたいものがある、勇者として恥ずかしくない姿勢でいたい!」

 「...どうだ?悪くねぇ強さだと思うぜ。」

 「当然...連れて行くよ!」


 邪獣討伐組

 キジコ ハルカ ニコ 朱斗 蒼鈴 

 教授 フィア シルト ヴェアート

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