第273.5話 脱出、そして許さん
桃花から後退命令を受けた頃の朱斗と蒼鈴。
「朱斗様、蒼鈴様!」
「タビか...。」
タビが魔力や体力やらを回復する薬を持ってきたので飲む二人。
「今すぐ私にお捕まり下さい、レギスの森へ向かいますよ。」
「!?、キジコ達に何かあったのか!」
「ええ。守護獣イグニール様から連絡が届きました、禁足地にキジコ様達が閉じ込められてしまいました!!」
「なっ!?」
「やられた...!!」
それは今の状況に合わせて起きたかの様に起きていた。それを聞き二人は察した、邪獣はこの状況を狙っていたのだと。
タビは懐から転移の術式陣の描かれた紙を取り出した、
「行きますよ!」
三人は大急ぎでレギスの森の禁足地へ向かうのだった。
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それから朱斗達はイグニールの元へ辿り着く。
「皆さーん!!」
「イグニール様!」
「良かった!よくわからないの、変な蓋...魔法陣が!」
真っ黒な入り口に薄暗い紫色の魔法陣が張られている。その魔法陣は禍々しい魔力を帯びており下手に触れる事が出来ない。
「朱斗。」
「ああ。」
「え、え?これ開けられるの?」
朱斗は白く輝く魔力を、蒼鈴は黒く深い魔力を纏う。
「「神之猫拳!!!」」
バゴォッ!!!と大胆に魔法陣をぶっ壊した!
イグニールさん吹っ飛んですってんころりん、ポカーンと口を開ける。
その衝撃で発生した暴風は周囲の木々を吹っ飛ばす、やべぇーぜこの威力!
「ふぅ、母上程威力は出ないな。」
「まだまだ修行が足りないとお祖母上に叱られるぜ。」
「えーー....あんたらの家系化け物かよ...。」
「そうですが何か?」
「危ない危ない、バリアの魔法陣を張っておいて正解でした。」
「あ、付き人テメェ一人だけずりぃぞ!!」
「ではお二人共、お気をつけて。」
二人は頷き、穴へ飛び込んだ。
「...!」
一方キジコ達。
「この気配はあの兄弟だな。」
「なるほどね、邪獣は外から強力な壁でも張ってたんだね。イグニールではどうにも出来ないくらいのをね。」
「ああ.....、」
ゾワッ...........
「「....!?」」
毛が逆立つ、それは出口の先から感じる邪獣の気配...でもあった。
「...なぁ、邪獣ってのはさ。器を変えてどこかへ行ったんだよな?」
「...ああ。」
「........っ...行くよ。」
皆気づいた。
今邪獣が乗り移っている、器としている存在が誰なのかを。
その瞬間、霧が晴れその先に出口が現れた。
「...お察しの通りだ。」
「準備はいいな?」
そこには白い朱斗、黒い蒼鈴。
都合よくそこに出口が現れたのなら1秒も無駄には出来ない。
....待ってろ、ルザーナ。
私達は黒い穴に飛び込んだ。
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それから私達はタビさんの転移術式でリーツへ戻り現在に至る。
そこにいたのは白黒の桃花様と...黒いルザーナ。
加えて黒いクロマと黒いスア。
...邪獣め、やってくれたな。
「...邪獣。私の身内に手を出した罪、桃花様達に手を汚させた罪、私にあの子を手を出させる罪....死んだ後楽になれると思うなよ?」
「...。」
黒い霧が現れ、ルザーナ達三人はその姿を消した。
「「....スゥ...クソがああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」」




