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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
邪獣動乱編
283/302

第273話 白黒 黒黒黒

 邪獣を調査するために封じられた領域...禁足地へ乗り込んだ私達5人。そこで見たのは真っ黒な何か、それは邪獣ではなく邪獣が今まで集めた負のエネルギーそのもの。


 概念的な意味もあり存在があやふやな負のエネルギーをはっきりと見て存在を認識してしまった事で負のエネルギーは本物のエネルギーという存在へとなった。


 一方でリーツ、それに合わせ邪獣は動き出した。かつての器を捨て新たな器...ルザーナという新たな肉体を得て仲間へ牙を向けたのだ。邪獣を止めるため桃花ら神獣の血を引く者達は力を解放し戦うのだった。


 

 「はぁ...はぁ...恐ろしいわね、お母様が苦労するはずだわ。この強さ...全快でも無いのにもう私達と渡り合える強さを持ってるじゃない。」

 「ルザーナを肉体にしたせいかもな....最悪だ。」

 「最悪?まだまだ序の口だろ...。」


 邪獣と戦いしばらく時間が経った。

 邪獣はダメージを負いこそしているが何度も傷を癒し立ち上がる。それどころか肉体に馴染みより強さを増してゆく。


 地竜ルザーナという器が今までにないさらなる強さへと昇華させているのだ。


 鱗が刃を弾いた、既にその肉体は鍛えられた金属を勝る。


 「...。」

 「そう言えばキジコが言っていたよ、超強い味方は肝心な特に同等の強さの奴とぶつかってイマイチ強さがわからなくなるって。今の俺達じゃねぇか。」

 「ああ、神獣の血を引く者が情けない。」

 「加えて私、位階の3だよ?これでも世界で3番目強いのよ?」

 「母上は俺達を吹っ飛ばさないよう戦っているだけだろ。人手が減れば逃げるかも知れないからな。」


 しかし邪獣が既にとんでもない強さなのは事実。息子二人に気を遣っているとはいえ下手な手加減は出来ない。


 「!」

 「!?」

 「「母上っ!!」」


 邪獣の重い一撃が桃花を吹っ飛ばす。

 邪獣は回り込み桃花を打ち上げ、飛んで打ち落とした。

 

 「さっきの真似か!」

 「母上!!」

 「...大丈夫、直撃は防いでるわ。」


 だが今の攻撃、もし朱斗、蒼鈴に向けられていたらと思うとゾッとする。


 ...ならば今取るべき行動は何か...。


 「朱斗、蒼鈴。...退がりなさい。」

 「母上!!」

 「暴れさせてちょうだい、...この意味、わかるね?」

 「...朱斗、行くぞ。」

 「...母上、ヘマをするなよ!!」


 二人は結界の外へ出た。


 「...これで、思う存分....暴れられるわね。」


 その瞬間、白と黒のオーラが結界内を埋め尽くす。



ーーーーーーーーーー


 これ程の力を解放するのはいつぶりか、


 さっき受けた傷が癒える、


 力がみなぎる、


 体が...疼く!!!!!


 「黒き桜、舞い散れ。」

 「!?」


 例えルザーナの体であっても、あの子の魂が内にあったとしても、ここで情けを掛ければみんな死ぬ。


 ああ、動きが遅い、

 とても遅い。


 「...っ!!!」

 「そんな程度か...獣がぁ!!!」


 体が軽い、余りにも久しぶりで体が慣れない。

 力加減が難しい、でも邪獣の肉体は血を流しても吹っ飛ばさない。


 まだ斬ってもいいんだね?


 「...はは、あははは!!!」

 

 何度も突いても、

 何度も腕を切り落としても、

 何度も血を吹かせても、


 邪獣は死なない、

 ルザーナの肉体は修復される、


 無機質な顔で殴りかかってくる、

 血を流しても表情を変えない、

 刺しても斬っても、

 何一つ変えない、変わらない、


 ただ力を振るう、

 ただ力をぶつける、


 力を邪獣にぶつけても、

 その力は大切な子の肉を傷つけるだけ。


 だんだんこの手が震える。


 「ははは....っ.....いい加減に...出ていきやがれ!!!!」


 だんだん涙が溢れ出す、


 ああダメだ、下手な情けをかけるな、

 ここで終わらせなきゃ、


 キジコちゃんが.......この子を。

 

 

 バチッ


 「...!?」


 それは雷、

 当たりはしなかったが、地面を穿つその一撃に、

 私は見覚えがあった。


 「...。」

 『...。』


 ああ、私はどれだけ汚名を背負えばいいのだろうか。

 どれだけキジコちゃんに恨まれたらいいのかな。


 ....もういい加減にしてよ。


 それは黒い姿。

 黒い髪と赤く光る目。

 もう見たく無い...黒いオーラ。


 「クロマちゃん...スアちゃん....っーーーー邪獣貴様ああああああああああああ!!!!!!」


 三人が桃花へ迫った。






 「桃花様、あんただけ泣く必要は無いさ。」


 私を囲うように立つ三人。


 「ここまで手の込んだ嫌がらせをしてくるなんてな。」

 「邪獣...1万回死んでも殺し足りないな!」


 ハルカ、朱斗、蒼鈴だ。


 「あんた達!!」

 「私達にも怒らせてください桃花様。一番怒っている人が目標見失ってしまいます。」

 「え...。」


 そこに立つのは妖炎色の髪をたなびかせ憤怒を露わにしたキジコの姿。


 「...邪獣。私の身内に手を出した罪、桃花様達に手を汚させた罪、私にあの子を手を出させる罪....死んだ後楽になれると思うなよ?」

 「...。」


 黒い霧が現れ、ルザーナ達三人はその姿を消した。

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