第267話 とりあえず明日への準備話
「これらが教授とまとめたデータです。」
リーツの館の会議室、
原作私達は邪獣に関する定期報告会議をしている。
基本的にはハルカと教授が重要なデータをまとめており、ハルカがこうやって報告をしている。
邪獣の前兆の動向は短期間で色々変わっており情報の更新だけで各国は忙しいのだ。
「ふーむ...人型の出現...か。」
「現在発生が確認されたのは3件。[12月26日、エルフ国領内、街道]、[12月27日、帝国領内、マルカ]、[13月3日、エデル領、南西の廃村]です。現れたのは[ヴェレン...エルフナイトのフィースィの弟]、[ロティアート...帝国の大罪人]、[ヴェスパ夫妻...ロイヴィとアイの両親]の4人です。」
どれも私や家族、知人らと関係のある人物ばかり、現時点で誰にも無関係の人物は確認されていない。
「邪獣の前兆として現れる個体は知能や思考、行動が単純である生物ほど邪獣自体の消費する魔力が少ない、一方で私達人間はかなり複雑な生物かつ生態故に一体作るだけでも結構魔力を消費します。なるべく強く扱いやすい人型であればより多くの人の負の感情を集める事が出来るのではと考えています。」
「なるほど、確かに今は各国で魔物の前兆個体を倒せる様になってきた。だから強力なのを1人用意するだけでその辺大きく変わるわ。魔物と人間じゃ戦い方は違う上にその相手は超強いと来る、邪獣は思った以上に知能があると考えるべきだわね。」
だが今までの前兆個体がいなくなる訳じゃない上に、ヴェレンとやらは現在行方不明。
そして...
「もう一つ、ロティアート、ヴェスパ夫妻消滅後に恐ろしい気配を感じました。」
「恐ろしい気配だと?」
「大陸の中央から、ほんの一瞬だけど感じたんだ。」
「俺たちはそう言うの感じてないぞ?」
やはりか...感じていたならもっと大騒ぎになっていたはずだもんな。
「それを感じ取ったのは私と娘のハルカだけ。」
「私の推測だけど、邪獣の血が混じってる私が邪獣復活に近づくのを感じ取り、繋がりのあるお母さんもロティアート討伐時に感じ取れたんじゃないのかな?邪獣には邪獣ってところだ。」
「でもハルカ、お前はキジコの誕生日会準備の時は何も感じてなかったはずだ。」
「多分私がその時張ってた結界が防いだのかもしれないわ。絶対成功させたかったし。」
「つまるところ邪獣は確実に復活へ近づいている...それでいいんだな?」
「俺達は町結界の強化をしよう。こればかりは定期的に更新しないとな。」
「母上はまとめた資料を各国に。」
「私はヴァルケオ達のいるレギスの森に行って来るよ。向こうはなにせ邪獣封印の土地だ、一度調査に向かうよ。」
「なら私も行く。」
「わかった。」
「ひとまず明日以降のやる事は決まったね。今回の会議はここまでにしてもう休みましょう。」
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「...って訳さ。お願い出来るかな?」
「ああ、可能だ。」
その日の夜私はヴァルケオを家に呼んだ。
理由は森の奥深く、神域の中にあるそれに用があるから。
「鎧揚げ作りは初めてだな...ちょっと難しい。」
あ、今話してる内容とは関係ないよ?
現在ヴァルケオ呼び寄せたついで一緒にこの世界の唐揚げこと鎧揚げ作りをしていまーーす。
「意外だねぇ、ヴァルケオこういうのした事無いんだね。」
「まぁな、普段は巨大な獣として生きている。人型なんてお前がこの世界に来てから何度もなる様になったんだ。」
「でも包丁使いは意外と綺麗だ。」
もたつくヴァルケオが可愛い。
ほらほら鶏肉に衣つけろ、私が揚げてくから。
ちなみに鶏肉はドゥーカルンの鎧揚げ屋兼鶏の販売者であるおっちゃんから買いました。当然一から解体するのは面倒なのですでに加工されたのを買ってます。
パチパチパチ....
「良い匂いだね。」
「あぁ。」
「それが揚げ物だ。だからもう少し待ってねハルカ。」
「...そういえばルザーナ達はどうした。」
「今日は館に泊まるってさ。」
「そうか...多分気を遣われたな。」
だな...あの子達も最近自立心持ってきてるからなぁ...ぐすん。
「ヴァルケオ、とりあえず詳しい話はご飯食べた後でいいかな。」
「ああ。」
「...よし、出来たよ!」
早速だが食事を終え、縁側に座る3人。
タビさんから貰った気温上昇魔法陣を使ってるから寒くはない。
「...これじゃ祖父、娘、孫娘だな。」
「そうか?」
「ハルカを胡座の上に乗せてたらそう見えても仕方ないさ。」
「そうか...。」
「そうだよー。」
「...さっきも言ったけど、神域のさらに奥、禁足地の入り口を開いてくれるのよね。」
「ああ、そろそろ動かねばな。だが仮にも禁足地、人員は信用できる者であるかつ少人数。行くのは我ら守護獣とお前達の5人でだ。」
「わかった。あーでも、外からの見張りとかは大丈夫なの?」
「大丈夫だ。イグニールがその間見張ってくれる。」
「そう。」
「...今禁足地がどうなっているかは俺にもわからない。だからちゃんと準備しておけよ。」
それから色々話した後ヴァルケオは帰った。
私達も明日に備えもう寝る事にした。
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そして翌日...
「準備はいいな?」
「体調、お金、アイテム色々準備バッチリだよ。」
「よし、じゃあ行こうか。」
レギスの森へ行く私とハルカ。
「今回行う調査は少々奥の方へ行くよ。どういうものなのか、何が起きているかはちゃんとこの目で見ないと。」
「確か...ヴァルケオ達も詳しくは知らないのだっけ?」
「うん、あの領域...神域の奥深くは強い封印でヴァルケオ達守護獣でしか入り口は開けない。そして当然ヴァルケオ達は普段そこには寄り付いていないし開けてもない。今回開けるのは年が3桁あるぶりにはなるだろう。」
さて、玄関前で長話してるのもあれだ。
そろそろ出発するとしよう。
「燈朧。ハルカ、ほれ。」
「うん。」
ハルカをおんぶ、
当然移動方法はジャンプです。
飛べない転移出来ない、だからジャンプで飛ぶ。
「それじゃ飛ぶぞ。」
「なるべく安全運転でお願いします。」
「あいあいさー!」
私は足に力を込め、森に向かって飛んだ。
次回、敵地へ侵入




