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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
邪獣動乱編
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第255話 いつか訪れる、その衣姿

 サジェス帝国領域...


 文字通りサジェス帝王が納める帝国の領域だ。

 私にとっては結構苦い思い出が多い。

 そして今私はその地に立っている。


 「ありがとうね、妹ちゃん。」

 「ヒヒィーン!」


 そうここは帝国........ではない。


 帝国領域にある町...マルカ。

 リトルユニコーンを貸してくれた貴族が領主をする町であり...実をいえば目的地だ。ここに商品のお届け先となる店がある。


 私は貸してもらったリトルユニコーンを、貸してくれた貴族の館に届け別れる。去る私をみて大きく鳴いて元気アピール、まだ走れるってか...すげぇ。


 ああ、もう暗くなっちゃった。

 最短距離を結ぶ街道通ってかなり早く着けたけど遠いもんは遠いんだな、片道で6時間以上も掛かってしまった。


 ちなみにリトルユニコーンはすっげぇ速い。

 時速約80km以上を当たり前のように出すって流石異世界の生物だ。スピード違反も無かった。

 まぁ今のルザーナの方がずっと速いけどね。


 というか、ハルカには帝国に行くって言ってしまったから首都に行くと勘違いされてないよな....いや、しているだろう。ゴメンネ!

 (帝国行こうならもっと時間かかる。馬の疲労も考えリーツから最短2日かかる。)


 現在17時、風がさらに冷たい。

 さっさとそのお店に寄ろう。


 

 カランカラン...


 「はーい.....わひゃぁ!?」

 「どうも。」


 出てきたのはメガネをかけた女の子。

 

 「確か...ティラさんでしたっけ、お届けものです。」

 「きっ...キジコ様ぁ!?わ...わざわざこちらに直接来られるなんて!?」

 「私の作る布を扱うに相応しい人物だ、ちゃんと自分から出向くのが礼儀です。」


 しかし彼女は変態気味なクルジュさんの知り合いだけあって...その場で速攻土下座、


 「ああああなんと感謝のお言葉をすればいいのでしょうかああ!!ありがとう..ありがとうございますキジコ様あぁぁ!!」

 

 わーお泣いちゃった...。


 「...失礼しました。」

 「ふふっ、ではこちらを。」


 私は空間収納庫から布巻きを取り出した。

 

 「すごい...とても優しい肌触りで網目も綺麗。」

 「契約する時も触らせたけどすごいでしょ。品質は保証しよう。」

 「....あの!!」

 「?」

 「...前に、お試しで貰った布で作った物が....。」

 「ほほう、」

 「ぜひ、見てくれませんか!?」

 「勿論さ。」


 ティラは奥の部屋から布を被せた何かを台車に乗せて持ってきた。なるほど、人形に着せているのか...よく出来た子だ。


 「キジコ様、どうぞご覧あれ!」

 「...!!」


 それは白と黒の立派な袴。

 男性用ではあるがとても良く出来ている。 

 結婚式用に使えるかもね、相手いないけど。

 これ十万以上してもいいんじゃないかな...天才だ。


 「素晴らしい...素晴らしいよ!!」

 「...!!!!!」


 あーまた泣いちゃった。

 でも事実だしいいか。


 綺麗だな....私も前世で相手がいたならこれをきた素敵な姿を見れたのだろうな。今じゃそんな気はないけど。


 今は私の家族の誰かが...これを着るに相応しい人に出会えると嬉しいな。


 「そうだな...。」


 私は紙とペンを出して絵を描く。


 「白を中心、赤のライン、綺麗な髪を見せたいから角隠しとかそういうのは無し、髪飾りにしよう。それから...。」

 「はわわ...すごい...!」

 「これでどうかな、あれとセットにすれば結婚式で使えると思うんだ。私は相手いないけどいつかさ、家族の誰かのそんな姿を見れたらいいなってね。」

 「ならばやる事は一つ!!この私、全力で作らせていただきます!!」

 「ありがとう!では依頼代を出そ....。」

 「いいえ、お代は結構です!!それと納品のお金です!」


 この子もそういうタイプか...まぁ職人の腕振るってくれるならそれでいいか。魂燃えちゃってるから言っても無駄そう。


 「頑張ってね。私はこれで...ん?」


 扉の向こうに気配がある。


 「よ...ようやく見つけたました...キジコ様..。」

 「あれっ、ヴェアートさん。」

 「ハルカ様から聞きましたよ、帝国で新しく開くという服屋に行くと。てっきり帝国内かと思ってアタイずっと探してましたよぉ.......。」

 「久しぶりにアタイって聞いたね。」

 「むぅ....。」


 転移役もいる、これならすぐに帰れそう...ん?


 「待って、なんで私を迎えに来たの。介入要素ないはずだけど....。」

 「え、ああ...はい!今回...。」


 (ヴェアートさん、戻す理由については私がお母さんのために料理を作ったとか言ってくれないかな。)


 「...ってわけです。」

 「なんだってえええええーーーーーーーっ!!?」


 帰らねば。


 「では...................ぇ。」




 そこには背中から血を流す転移役。


 「...!!!?」

 「ひどいじゃないですか、たったそれだけの事で帰るなんて。」

 「お前は...!?」

 

 呪力系のスキル[ 死霊之厄災ゴーストディザスター

 かつてその地で死を迎えた存在の複製をするスキルであり、複製された個体は怒りに囚われ異常なステータスを持つ。


 「もう少しいてくださいよ、殺す楽しみが無くなってしまいます。ご安心を、皆さんの遺体は有効活躍しますよ!」

 「...お前まで来るか....ロティアート!!!」


 反吐を吐きたくなるその面を持った男は、

 私の前に再び姿を現した。

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