第252話 崩れ始める計画
てきぱきてきぱき
白銀の塊をかいてかいて
冷たい風が吹くたび顔も冷たくなる
雪もサラサラ気味です塊具合が悪い
「お母さん、そーれ。」
「に゛ゃあ゛!?」
雪と舞う娘
冷たさに驚く母親
「やったな!?」
「うぎゃぁ!」
やり返す母親
冷たがる娘
「だいぶ片付いてきたね、お疲れ様。」
「薬草畑の方は大丈夫なの?」
「大丈夫、スアが今育ててるのは雪中物や越冬物だから。」
「あー、季節物のか。高いやつじゃん。」
「おまけに育てるのも難しい。けど大地の精霊のスアを前にはそんな事通じない、お陰で難易度の高い薬草を育成しては近所の薬局にお手頃価格で独占させてるんだ。その店の人が作る薬は効果が高い、だからわざわざこの町まで来てその薬を買いに来るお客さんがいるそうだ。」
「そりゃすごいや。」
「スアはそういった能力を見込まれ作物関連で朱斗達に仕事を頼まれるんだってさ。何してるかは知らないけど、出張とか行かされてたから頑張れてはいるみたいだ。」
雪の塊を魔力変形でとりあえず猫の雪像を作った。
「さて...雪かきはこれくらいでいいかな。何か温かい物食べよっか、家の中はエアコン術式で暖かくなってるから入ろう。」
「うん。」
「キジコさーん、郵便ですー!」
「あ、はーい。」
ーーーーー
「「ごちそうさまでした。」」
さて届いたものは...ふむふむ、
「何が届いたの?」
「...帝国の方でクルジュさんの知り合いが店を出すんだけどね、なんと...正式に私の布を買い取ってくれる契約が成立したんだ!!」
「えええっ!?」
そう、私が作る布の買い取り先が増えたのだ!
私の作る布は入手困難な糸で出来ており、この糸で作る布はとても丈夫で品質が高く長保ちするのだ。
だが価値が高く乱獲するわけにもいかないので売る先はしっかり見極めている。
たまにいるのだ、金目当てだけで来る嫌な奴。
「それで今からこのために作っておいた布を届けに行って来るよ。留守番大丈夫?」
「うん......え?」
「夕方までに帰れるかわからないけど今日中には帰ってくるよ、私に用がある人にはそう伝えておいて。」
「え...あ...わかった。」
私は布巻きを5本空間収納庫に入れ、再び魔法具に着替える。
だが流石に見てるだけで寒いなこれは...。
魔法具ファストサポーターことアンダー下着を今更だが魔力変形でロングにしておこう。
これでよし...あ、ちなみに下着だけどその下にちゃんとブラもパンツもしてるからな!?
ゲフン、さてと...
「行ってきまーす!」
「.......気をつけてねー。」
雪道で走るのは危険だが、帝国への街道は除雪してあるだろう。あそこは貿易路としての機能があるし帝国へは早く辿りつけるだろう。
手袋(クルジュ製)はめて、さぁ行こう。
やっぱりちょっと寒い...あ、そうだ。
ーーーーー
(ざわざわ...、)
(まじか...あれは...、)
赤い衣と白い衣、
2本の尻尾がゆらめき、
雉虎柄の長い髪が風で揺れる。
「(目立っちゃってるか...まぁ今更別にいいか、普段の姿も結局有名だから。)」
とまぁ、燈朧モードで歩く私。
白い衣の魔法具[化猫]は下を伸ばして普通の和服デザインに。
普段はマントみたいに後ろに掛かってる赤い衣の魔法具[鳳凰]に袖を通す。
簡単に言えば冬に合った見た目にしただけです。
冬和服です。
しかしこれでは走れないし、はしたない姿を見せる訳にはいかない。なのでたまたま通りかかった馬車に乗ってぶらり帝国へ。
「....!!」
「ブルル...ヒィン...!」
あー御者さんもお馬さん乗る前からド緊張してる。
安心しろ、おたくの馬車は乗り心地良いしお馬ちゃんえらいから。
と言うか覚醒前にミッドエデルで乗った馬車ではこんな反応じゃなかった。結構図太いな向こうの国民。すげーな...。」
さて、帝国着くまで時間はあるし...寝るか。
「(たたたたたた大変です朱斗さあああん!!)」
「どわあ!?」
朱斗の元へかかった突然の念話。
「おいどうしたハルカ!?」
「(実は....。)」
子猫説明中....
「はあ!?キジコが仕事で帝国に向かった!?」
「!!??」
「(しかも歩きで向かった!多分馬車使ってると思うけど帰り...遅くなるかもしれない!!)」
「ぬああああ!!」
大慌てする朱斗。
さあ大変どうする。
「帝国に緊急連絡!!転移役の配備を!!」
キジコの誕生日パーティ、成功するのか...?




