第249話 なんで、どうして?
本来2/10出す分でした!!
申し訳ありまっせん!!
レギスの森のとある夜、
森の中を進むカラミアとディザスアは精霊に連れられ精霊水の川へやってきた。
しかしそこには....、
『初めまして...私は位階序列の2、精霊神。』
その姿は神々しさそのもの。
自分達が見て良い存在ではない、とにかく高位。
威圧や恐怖なんてものじゃない、果てしない高潔さ。
見る事が出来ない、気づけば2頭は伏せていた。
「あ...ああ...!!」
『...!!失礼しました、これで大丈夫でしょう。』
「あ....貴方様..は....?」
『改めて、私は位階序列の2である精霊神、名を[ルナ]と申します。』
「精霊神...様...!?」
しかしそれでも恐れ多いので伏したままの2頭。
なにせ位階序列の2。
彼女は世界で2番目に強い、3である桃花様よりも。
魔物としての本能と、キジコに与えられた知識が心のそこからその身を震え上がらせる。アリと象なんて比じゃない、1円と1億円なんて差じゃない。[次元が違う]...ただその言葉だけが、いやその言葉そのものまでしか認識出来ないのか?
「る...ルナ様はどうしてこちらに...?」
『つい最近...ここは邪獣の前兆で滅びかけ、この子達の小さな灯火が消えかけようともしました。しかし霊獣キジコがこの森を救い、救われたこの子達の様子を見にきましたの。』
「そうでございましたか...。」
どうやら邪獣の前兆被害の後を確認しに来たようだ。
『...あら、貴方達は霊獣キジコの召喚獣でしょうか。』
「!...そうでございます!」
『であれば...そうですね、そのお方と出会ってしまわぬ前に去らねばなりませんね...。』
「そ、それはどう言う事で...?」
『貴方達は今肉体が欲しいとお考えではありませんか?』
「...!」
精霊神は白いエネルギーと黒いエネルギーを見せる。
「なんで....!?」
「一体...。」
『...これはお礼です。私は桃花と違ってあまり誰かに姿を見せたり干渉をする訳にはいかない身なのです。本当は本人に何かをするべきなのでしょうけど、訳あってそれが出来ません。言葉足らずで申し訳ありませんが、貴方達は私と会った記憶は消させていただきます。」
「!」
「それでは....!」
ーーーーーーーーーー
「懐かしいな、夜のレギスの森は。」
「向こうに精霊水の川があるはずだ、行ってみるか?」
「うん。」
夕食を終えて夜の散歩。
闘王闘技前にも同じ事をしたけど、今回は娘もいる。
邪獣の前兆で森は酷い傷を負ったが、精霊水の川の力で時間をかけて完全に元通りになったようだ。
お、魚が跳ねた。思ってた以上に環境が戻ってたようだ、良かった良かった!
『あ、おねーさん!』
『おねーさんだ!』
おや、この声は。
「やぁ、精霊さん。」
『やっほー!』
『やっはー!』
森の中に煌めく光、
まるで宇宙にいるかのような星のような輝き。
無邪気で、健気で、可愛らしい輝き。
「すごい、ホタルみたいだ。自然精霊がこんなに沢山...!」
「精霊水の川だからな、場所が場所だけあって結構いたんだ。ミーシャとレリィに会うまでは気づかなかったさ。」
精霊を見る事自体は後天的に精霊と共に行動していると見える事がある。たまにそんな事をしなくても見える特殊パターンもある。
例で言うならスアやリーデンとか。
『みんなー、たいへーん!』
『たいへんたいへーん!』
「!」
「どうしたの!?」
慌てた様子で向こうから精霊がやって来た。
『向こうに、人が倒れてるの!!』
「「ええっ!?」」
どゆこと!?
神域に人が...じゃない、倒れてるってまずい!
急げ間に合えー!!
「う..うーん.....。」
「あ...あ...。」
「「これは......!?」」
白と黒の和服、
白と黒の長い髪の毛、
よく見ると短い尻尾もある、
下駄を履いている、
白と赤の女性、
黒と赤の男性、
...鹿の角が生えている。これは.......
「「......誰?」」
「んん....?」
起き上がると、
2人とも顔には[◯]と書かれた顔隠し紙。
あらっ、黒い人の方が背が高い。
「あれ...主様...?」
「何が起こ...。」
「.........お母さん、この声どこかで?」
「うん、どこかで。」
「何言ってんすか...アタシですよ...名前ないけど。」
「なんだ...体に違和感が....。」
え...いや、まさか...まさか...。
「カラ君。」
「ん....?」
.....。
「.......マジで?」
ーーーーーーーーーー
「驚いた...、これは一体...?」
「...これ精霊の体だ、一体どうして?」
2頭改めて2人の体は精霊の肉体となっていた。
その見た目はまるで[式神]。
顔隠しの隙間からはイケメン美男美女顔。
金色の目がとても綺麗。
というか、それで前見えてるの!?
「何があったの?」
『...わからない、思い出せねぇんだ。』
『思い出せない...何があったのか。』
「どういう事だ....。こんな短時間で何が起きていたんだ。」
「森に何かいた気配も無かった。ますますわからない。」
「...あれ、2人とも。」
『?』
「鑑定してみたんだけど、2人とも破邪と呪力に関する力があるんだ。」
「ええっ!?何そのご都合展開は!」
「余計にわからなくなって来た....。」
現状況をまとめよう
レギスの森でお泊まりだぜ!
↓
夕飯いただきます!
↓
鹿2頭お散歩。
↓
夕飯ご馳走でした!
↓
食後の散歩。
↓
2人発見
↓
ふぁー?
「...まぁ、何が起きたかわからない以上考えても仕方がない。」
「せっかくだ、その姿になった感想はどうだ?」
「いや...まぁ、不思議な気分だ。」
「アタシも....。」
ぐぅ.....。
「...!」
「精霊になったから飲食出来るようになったからね、スープまだ残ってるし温めて直そう。」
「ホントか!ありがとう主様!!」
元気だなぁ白いお姉さん。
元が鹿だからか、2人とも細く華奢だ。
私らが触れば壊れてしまわないか不安で仕方がない。
前世だったらモデル行けてた。
「なぁ、2人は名前どうする?」
「え?」
「流石にカラミアディザスア言うわけにはいかないからさ、この際いい名前あった方が呼びやすいの。」
「...我らでは思いつきませぬ、元の暮らしの違いと言いますか、」
「アタシも同じです。」
「そうか...じゃあ私達が名を付けるよ。」
「白い君は....アマナ。」
「黒い君には....ヤグルマ。」
「「それが君達の名前だ。」」
ーーーーー
「...主様。」
「どしたヤグルマ。」
「我は...違う所に行きたいのだ。」
「え!?」
それは突然だった。
「え...え....!?」
「あ、いえ、主様が嫌いな訳ではありません。ただ....今回の王国のように人手の足りていない地域では我々のような力が必要だと思います。主様の住む場所は心配が要らない気がするのです。」
「確かに...。」
過剰戦力にすると他の国がうるさくなりそうだ。
だったら何かいい所が...。
「竜人国はどうだ?」
「?」
「竜人国は種族によって魔法の適正差が激しいと聞く。2人を向かわせるにはいいのではないか?」
「...確かに良い案だ、ハイドラ種の竜人は魔法適正が弱いから危険だ。それに...[あの子]もハイドラ種だってのはわかってるから。」
「決まりだね。」
「では...。」
「アマナは出会ったばかりでごめんだけど、明日使者をここに転移させるからついていって欲しい。ヤグルマも頼む。」
「勿論だ、主様に与えられた任務をしっかりこなすと約束しよう。」
「アタシだってやってやるわよ!!」
出会って早速だから寂しいけど、
2人ならあの子...ヴィオレットと仲良く出来るだろう。
なにせあの子は私以上の...ラノベ好きだからな。




